恐竜ブームのきっかけとなったエゾミカサリュウ

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三笠市で1976年に発見され、全国的に大きな話題となったエゾミカサリュウ。 当時はそれがきっかけとなり、日本国内に「恐竜ブーム」が広まりました。 そんなエゾミカサリュウっていったいなに?

エゾミカサリュウの発見

後にエゾミカサリュウと名付けられるようになった化石(高さ25cm、 全長30cm)は、1976年6月21日、三笠市桂沢湖付近の白亜紀地層の沢で 発見されました。8300万年前に生息していたとされています。

頭部だけの化石でしたが、当時は、小畠郁夫博士により肉食恐竜 「ティラノサウルス」類ではないかと鑑定されたことから、日本初 の肉食恐竜化石発見として大々的に報じられ、1977年に国指定天然 記念物となりました。

地元三笠は化石での町おこしをしようと、早くも1979年に三笠市立 博物館を竣工し、化石を展示しました。その後も、桂沢湖畔公園に ティラノサウルス像が建てられたり、恐竜まつりを毎年夏に開催する など、三笠=恐竜・化石というイメージを強めていきました。

エゾミカサリュウの正体

しかし、その後の研究で、エゾミカサリュウというのは実際には恐竜 ではないということがわかってきました。化石が発見された付近からは アンモナイトの化石が大量に発掘されていることもあり、発見から13年後 の1990年頃には、海に住んでいたトカゲの一種であると訂正されました。 トカゲとはいえ、肉食恐竜に匹敵する海の肉食生物です。

さらに研究は進み、2008年には、海にすむオオトカゲ「モササウルス」 の新種であることが判明しており(モササウルス科ティロサウルス亜科 タニファサウルス属)、「タニファサウルス・ミカサエンシス」という名称 がつけられました(2008年6月12日発表)。

発見32年にして初めての身元確認でした。タニファサウルス属では、 南半球に2例ありますが、北半球では三笠が唯一の例であり、大変に貴重な 資料とされています。

エゾミカサリュウと恐竜ブーム

エゾミカサリュウの発見が一因で恐竜ブームが起きました。もっとも現在 は恐竜ではないことが判明していますが、当時は恐竜と考えられていました。

たとえば、円谷プロダクションは、恐竜3部作「恐竜探険隊ボーンフリー」、 「恐竜大戦争アイゼンボーグ」、「恐竜戦隊コセイドン」の特撮テレビ番組 を1976年10月から1979年6月にかけて制作・放送しました。

しかし、陸生恐竜ではないことが判明したとたん、1990年代以降は三笠の 恐竜熱が一気に冷めました。夏の祭りも、恐竜まつりと堂々と名乗ってい ません。ちなみに、三笠市立博物館は、アンモナイト化石所蔵量が日本一 を誇るということはあまり知られていません。