ニセコの4スキー場は何がどう違う? それぞれの特徴と楽しみ方とは

今や世界的に有名なニセコのスキー場。
シーズン中は外国かと思う程、海外からの観光客で賑わっております。
もちろん国内のスキーヤー、スノーボーダー達からの人気も高く、毎年楽しみに訪れる常連も多いですし、夏は地元で働き、冬はニセコで働くというルーティーンの若者も昔から数多くおります。

そんな魅力を持つニセコのスキー場は、どのような規模で、どんな所なのでしょうか。今回はニセコアンヌプリに広がるスキー場を一挙ご紹介します。
ニセコでスキーを楽しむ予定の方は是非参考にしてみてください。

開設55年の老舗スキー場

ニセコのスキーの歴史を辿ると、1907年(明治40年)にある医師が、自作の一本杖スキーで遊び始めたところから始まります。
大正、昭和初期には、北大や小樽高商(現小樽商大)のスキー部が合宿練習の場にしたり、
1928年(昭和3年)には、秩父宮殿下のスキー登山の様子が全国に伝えられ、知られる事となります。
その後も、スキーの底面にシールという滑り止めを貼り、斜面を登って滑る山スキーを楽しむ人が多くおりました。

1961年(昭和36年)スキーリフトを設置し、「ニセコ高原比羅夫スキー場(現グランヒラフ)」がオープンします。
その後、1972年(昭和47年)「ニセコアンヌプリ国際スキー場」、1982年(昭和57年)「ニセコ東山スキー場(現ニセコビレッジ)」、
1991年(平成3年)「ニセコひらふスキー場花園コース(現ニセコHANAZONOリゾート)」とオープンし、
現在までにニセコアンヌプリ1つの山に、4つのスキー場が存在する事となります。

世界に類のない「積雪」と「雪質」と「環境」がニセコの魅力!

ニセコのスキー場での積雪量は、最高5.6m、気温はハイシーズンでー10度前後。
世界的に見ると、もっと積雪が多いところや寒いところはありますが、ニセコの人気の理由は、
スキーやスノーボードを楽しむのに最高な雪質であり、滑る為の環境にあるようです。

近年スノーボードを楽しむ人が増え、幅の広いスキーが流行り、圧雪していない斜面の降りたての雪の中へ滑り込むのが人気です。
海外から訪れる方のほとんどが、ニセコのパウダースノーを求めています。
昔からこのパウダースノーを楽しむ人はおりましたが、かなりスキーの腕前が必要でした。
それが道具の進化によって、多くの人が楽しめるようになったのです。

海外の方にお聞きしたところ、
「ニセコのパウダースノーは、適度な湿り気がありスキーやスノーボードが雪の中で浮く。その浮遊感がたまらない」、また、「いつも雪が降っていて、滑りまくった斜面でも次の日にはまた跡が消えていて、何度でも楽しめる」、さらに、「標高が1000mもないスキー場の一番下なのに、最高の雪が積もってる」との答えが返ってきました。

灯台下暗しとはこの事ですね。
地元に住んでいると、当たり前のように感じる事ですが、世界的にみると実はどこにも無い魅力に溢れていたという事ですね。

各スキー場がまとまった「NISEKO UNITED.」


ニセコアンヌプリに広がる各スキー場をまとめて「NISEKO UNITED.」として全山を楽しめるようなシステムがあります。
ニセコアンヌプリの南西斜面に広がる「ニセコアンヌプリ国際スキー場」、南斜面の「ニセコビレッジスキーリゾート」、
東斜面の「ニセコマウンテンリゾート グランヒラフ」、北東斜面の「ニセコHANAZONOリゾート」の4つのスキー場全てのゴンドラやリフトを利用できる全山券、またスキー場麓から各スキー場を周回するシャトルバスをリフト券で利用できます。

このシステムは、1993年(平成5年)~1998年(平成10年)のフリーパスポートシステムから始まりました。
それ以前にも各スキー場のリフトが利用できる「共通券」はありましたが、自動改札やシャトルバスの導入がニセコ全山の魅力をより引き出したものと思います。
最近ではインターネットを利用してリフト券の購入もでき、非常に便利になっています。

ニセコ全山では、ゴンドラ、リフト合計26基、総コース数69、総滑走距離47km、標高差900m、
全てを回るのは相当の時間と体力が必要になります。
そこで、各スキー場の特徴や楽しみ方等を、私の独断と偏見で挙げてみます。
少しでも皆様のお役に立てれば嬉しく思います。

ファミリー向け!「ニセコアンヌプリ国際スキー場」

ウェブサイト
営業時間8:30~16:30/ナイター16:30~20:00(3/21迄)

昔からファミリー向けとして知られているスキー場で、地元や近隣の子供達が多いスキー場です。
スキー場の麓から見ると正面に急斜面が見えるので、初級者は不安に思うかもしれませんが、迂回路があるので大丈夫です。

その急斜面の上へ登ると、長く気持ちのよい斜面があり、初級者でも楽しめます。
中級者には、ゴンドラの降り場から麓まで、一気に滑り降りるのがお勧めです。
適度な斜度と、豊富なコースバリエーションの滑走距離約2400mを一日飽きずに楽しむことができます。

リフト最上部へ登ると、左手に羊蹄山を見つつ滑り降りることになるので、羊蹄山バックに斜面を滑る横位置からの写真撮影ができます。
また、天気の良い日は岩や木等の障害物が無い、真っ白で広い斜面を楽しめます。
スキー場の麓にあるホテル「ニセコノーザンリゾート・アンヌプリ」は、スキーイン、スキーアウトが可能で、
落ち着いた雰囲気と、スキー場へのアプローチの良さで人気があります。

上級者に人気!「ニセコビレッジスキーリゾート」

ウェブサイト
営業時間8:30~16:30/ナイター16:30~20:00(3/21迄)

麓にあるホテル、「ヒルトンニセコビレッジ」は、すぐ間近にゴンドラ乗り場があり、大変便利です。
もう1つのホテル、「ザ・グリーンリーフ・ニセコビレッジ」もスキー場内にあり、スキーイン、スキーアウトが可能です。

全体的に急斜面の割合が多いコースなので、パウダースノーを狙う上級者が多く滑りに来ます。
リフト最上部はもちろんですが、一番人気は全面圧雪をかけない斜面を繋げたコースどりで、雪の降った朝には滑走距離2000mを越えるパウダーコースとなります。
ゴンドラ降り場から、麓のホテルまで一気に滑り降りると、コースごとの斜度変化が大きく、かなり手強いです。
スピードを出しすぎると斜面変化で飛んでいきますので要注意です。

とにかく大規模!「ニセコマウンテンリゾート グランヒラフ」

ウェブサイト
営業時間8:30~16:30/ナイター16:30~20:30(3/21迄)

リフト数、コースの数、麓のホテル、ペンションの数が最も多いスキー場です。
さらに麓には居酒屋、カフェ、バー等も多数あるためアフタースキーは皆、ここへ集まります。
昼間はスキー場全コースを網羅、夜は数ある食事処を網羅しようと思ったら、一週間滞在しても足りません。

規模が大きいだけあって、初心者から上級者迄だれでも楽しめます。しかし、混雑は覚悟しましょう。
スキー場内も初めてならコースマップは持ち歩くべきです。油断すると迷います。
ゲレンデを滑りながら正面に羊蹄山を望めるので、何処でも写真ポイントになります。
ストイックに滑りを求めるよりも、滞在中の全てを楽しもうと考えるなら、最高のスキー場です。

雪が降り続く日はナイターが狙い目です。ナイターのコースが多いのと、滑る人が少ないので混雑なしに楽しめます。
ハイシーズンに麓の町を歩くと、海外の人しか見かけないので、外国に居る雰囲気を味わえて面白いです。

雪が最も積もる!「ニセコHANAZONOリゾート」

ウェブサイト
営業時間8:30~16:00/ナイター無し

スキー場の中腹が初級者にとって最高の斜度で、練習に最適です。
パークコースがあり、ジブやワンメイクジャンプ等、アクロバティックな滑りを楽しめます。
麓ではスキー以外に、ジップラインやスノーチュービング等、ファミリーで楽しめる遊びも充実しています。

ニセコの各スキー場の中で、地形的に一番雪が積もる場所の為、雪の降った日に真っ先にここへ来る人もいます。
スキー場独自に、HANAZONO~グランヒラフ間でシャトルバスを運行しており、無料で利用できる為、便利に使えます。
麓にある「レストラン&カフェ308」では、和食でありながら外国っぽいメニューを楽しめます。

まだまだ魅了はいっぱい!

各スキー場では、通常のリフト、ゴンドラの開始時間より早くに登って滑ることができるサービスや、
独自に圧雪車に乗って山を登るCATスキーを開催していたり、様々なサービスやイベントを行っています。
また、スキー場の麓に温泉が多数あり、その泉質も場所によって違います。
吹雪等で滑るのが困難なときでも、暖かな温泉を楽しむという手があります。
簡単にまとめてみましたが、各エリアにはまだまだ書ききれないくらいの魅力があります。

広大なエリアを少ない滞在日数で最大限に楽しむ為にお勧めなのは、地元のガイドを雇う事です。
海外ではあたりまえですが、日本ではまだ一般的ではないようですね。
ガイドを雇う事により、滑る当日の一番状態の良い斜面へ案内してもらえる事や、スキー場での便利だったりお得な情報を教えてもらえたり、
地元のお勧めの食事処を紹介してもらえたり、送迎をしてもらえる事もあります。
せっかく楽しむなら、迷ったり考える時間を無くし、目一杯楽しみたいものですね。

スキー場は冬山

最後に、全山を通して注意するべきことを書きます。
スキー場の上部リフトを使うと、各スキー場へ簡単に行き来できるのが魅力の1つですが、
他のスキー場へ滑り下りた場合、無理をしてまた登らなくても、麓で運行しているシャトルバスを利用できます。

ニセコアンヌプリの森林限界は標高約1000mですので、その上へ行くと天気の良い日は岩や木等の障害物が無い、真っ白で広い斜面を楽しめますが、何も無いため風が直接吹き付けます。
また、大雪や霧等での視界不良の日も、ちょっとコースをはずれると目標物がありませんので、
自分が何処にいるのか分からなくなる可能性があります。

基本、冬山ですので、事前に天気予報を確認する事と、スキー場のパトロールの指示には絶対従いましょう。
また、ニセコでは「ニセコルール」という安全に滑りを楽しむ為のルールがあります。
特にスキー場各所に設けられた、スキー場外へ出る事の出来る「ゲート」を利用する際は、
必ず「ニセコルール」を尊重し、当日の天候や「ニセコ雪崩情報」の確認、パトロールの指示に従い、楽しむようにしましょう。

NISEKO UNITED.
ニセコアンヌプリ国際スキー場(営業 5/5迄)
ニセコビレッジリゾート(営業 5/5迄(4/4~4/28 一時クローズ))
ニセコマウンテンリゾートグランヒラフ(営業 5/5迄)
ニセコHANAZONOリゾート(営業 4/3迄)