煎餅(せんべい)といえば、食べればぱりぱり、ぽろぽろ落ちるものです。
硬いのがほとんどの煎餅の特徴でしょう。しかし、柔らかい煎餅があるの
です。濡れ煎餅よりも柔らかい、煎餅とは呼べないような煎餅です。
その名はオランダせんべい
オランダせんべいは円盤のような形をした直径約15cmのせんべいです。
厚さは1cmにも満たないものです。そして、前述の通り、柔らかいため、
この厚さと大きさでは、持つと しな~っとたれさがります。柔らかいだ
けでなく、湿気があるようなしっとりさ、もちもちさも特徴です。普通に
噛んだだけでは切れません。
表面には凹凸の模様がつけられています。円形を中央を基点に4分割し、
ハート型、四角型、菱形などの模様を格子状に刻んでいます。縁にはぐる
っとミミが付属しています(ミミだけというのもツウには人気の品)。透明
の袋にオレンジ色の文字で「元祖オランダせんべい」と表記されて4枚入
り200円ちょっとで販売されています。
こうしてみると、ワッフルのようです。原材料を見ると、小麦粉、砂糖、
塩、膨張剤として重曹が使われています。ほぼ小麦粉と砂糖だけで作って
いるもので、大変シンプルな材料ですが、その素朴な味わいは病み付きに
なります。
最初に製造したのは「立花菓子店」(廃業)。現在主に製造しているのは
「端谷菓子店」という根室市の会社(1950年創業)。お宿「エクハシ」も製
造するようになっていて、黒糖味など新作が誕生しています。根室市内で
はあちこちで購入できる地元なじみの銘菓です。道内では根室市及び近郊
でのみ販売される地域限定商品になっています。
ところで、オランダと何か関連があるのでしょうか。江戸時代、鎖国し
ていた日本では、オランダは長崎にやってきました。持ち込まれたオラン
ダ菓子(ワッフル~当時:オランダ焼き)は長崎から北前船により北上し根
室まで伝わりました。
表面の幾何学的模様もオランダから持ち込まれたものといわれており、
オランダ人の靴の跡ではないかといわれています。オランダの石畳に似て
いることから名づけられたという説もあるようです。
ちなみに、同名のお菓子は山形県酒田市にもありますが、これは小麦粉
ではなく米をつかっていますし、柔らかくないのでまったく異なります。