カキえもん~カキ(牡蠣)の名産地・厚岸

国内に占めるカキ漁獲量はそれほど多くない北海道ですが、全国的に名 高いカキ名産地があります。江戸時代から明治時代には「蝦夷の三絶」の 一つとして、北海道の海産物の代表でした。道内の三大カキ名産地は厚岸、 サロマ湖、知内町です。

厚岸町とカキ

釧路管内厚岸町(あっけしちょう)。釧路の東側に位置する港町ですが、 この町で漁獲される海産物といえばカキです。道内有数のカキ水揚げ量を 誇るカキの町です。そして町の名前からしてカキです。町名「厚岸」の由 来の一つに(諸説ありますが)、アイヌ語の「カキの多いところ」があります。

海とつながっている海跡湖である厚岸湖では、昔から天然のカキが生 息していたといいます。少なくとも明治時代までは、カキの殻でできてお りカキで覆われた60もの島々(カキ島)が湖にはありました(現在もいくつ か残存する)。

厚岸町のカキ乱獲の歴史

天然カキが枯渇することになったのは、明治時代以降の乱獲が原因でし た。1874年から小島利兵衛氏により厚岸産乾カキ製造開始、1880年から開拓 使により厚岸産カキ缶詰製造を開始、1887年をピークに漁獲量は減少して いき、最盛期の1000分の1程度になってしまいます。カキがいっぱいいた時代には、夏の卵を放出する時期になると湖が真っ白になったといいます。

大正時代に入ると、厚岸産カキの再生に向けて動き出します。禁漁期間 を設けたり、宮城県などから移植して稚貝をまいて養殖するなどしますが、 1983年に大量死発生してしまいました。対策として垂下式(つまりホタテ の貝殻に稚貝をつけて湖につるす方法)を試みますが、うまくいきません でした。現在でも道内産のカキはほとんどが宮城県産カキの養殖です。

厚岸町のカキえもん

これをうけ、国内初のシングルシード方式が導入されることになりまし た。これはオーストラリア・クラレンス市(姉妹都市)から輸入した技術で、 カキ殻の粉末1粒ごとに、水槽で受精させた幼生を付着させ、網かごに入れ て海中で育てる方法です。つまり純厚岸産の地ガキ養殖をし地ガキを復活 させようという取り組みです。1999年から町をあげてスタートしました。

これは、波に揺られながら育ち、貝殻は丸みを帯び、ふっくらした身、 やわらかめの身、太い貝柱、深い甘みが特徴です。厚岸の水温が低いため、 成長が遅くじっくり育つということも厚岸産の特徴です。

これが後に「カキえもん」として流通することになったブランドカキで す。ドラえもんに似せた名称は、2004年10月1日に全国公募で決定されまし た。2003年秋に本格的に販売されており、首都圏などでも高い評価を受け ていますが、数が少ないため割高です。

カキの町・厚岸

厚岸町の厚岸駅では、この駅の駅弁「かきめし」(厚岸駅前氏家待合所 製造)が販売されています。1960年に考案された駅弁で、甘みの強い厚岸 のカキでなければ出せない味わいです。道の駅コンキリエなどではカキの燻製、カキ そばなど、カキを使った土産品が数多くありますので、訪れた際にはお試 しあれ。