駒大苫小牧高校野球部ー夏の甲子園2連覇+準優勝の全記録

南北海道代表駒大苫小牧が、2004年第86回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で優勝!!2005年第87回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で連覇!!

566万の北海道民が涙した・・・・・・3回も感動をありがとう!!

2006年第88回全国高校野球選手権大会で、駒大苫小牧は準優勝!! 惜しくも1点差で3連覇(V3)はならなかったけれども、限りなく優勝に近い決勝戦を戦いました!
2007夏甲子園南北海道大会で駒大苫小牧が同大会史上初の5連覇達成!

序章~北海道野球年2004

2004年は、北海道にとって、北海道の野球界にとって忘れられない1年になりました。まず「日本ハムファイターズ元年」として、北海道に北海道日本ハムファイターズがやってきて、道民を大いに沸かせてくれました。

それだけじゃない、北海道民を熱くさせた夏の思い出、「駒大苫小牧初優勝」という出来事がありましたね。甲子園地区大会の南・北海道や北・北海道という枠組みを越えて、北海道全域で喜びの渦が巻き起こりました。そして翌年の2005年には、2度目の優勝をして史上6校目となる連覇を成し遂げ、日本全国に衝撃を与えました。

これら2つ、つまり「北海道日本ハムファイターズが北海道へ」「駒大苫小牧初優勝」はいずれも2004年に起こったもので、いずれも道民にとっては大ニュースだったのです。その証拠に、2004年の北海道新聞主催の十大ニュース道内編の第1位は「日本ハムファイターズ旋風」だったし、国内編に含まれていた「駒大苫小牧初優勝」も、新潟中越地震に押されて2位とはいえ上位に食い込みました。

冬には雪がある北海道で一見不利だと思われがちですが、2004年を節目に北海道の野球が盛り上がりを見せてきています。そんな野球の話題から、北海道を歓喜の渦に巻き込んだ「駒大苫小牧初優勝」及び「駒大苫小牧連覇」を記録として残しておきたいという思いから、特集を制作いたしました。

駒大苫小牧高校のデータ

正式校名(私立)駒澤大学附属苫小牧高等学校
(こまざわだいがくふぞく・とまこまいこうとうがっこう)
一般的略称駒大苫小牧(こまだいとまこまい)・駒苫(こまとま)
開校1964年4月18日
特徴名前のとおり駒澤大学系列の高校。男女共学。近くには苫小牧駒澤大学があり、同じ系列の高校としては空知支庁、岩見沢市に駒大岩見沢高校がある。道央圏胆振支庁、苫小牧市にある高校。スケートの街としても有名。同校出身者としてスピードスケート選手だった橋本聖子さん、相沢真紀さん、そして元横浜内野手加藤謙如さん。
野球部監督香田誉士史

駒大苫小牧2004の軌跡!!

東北以北で初優勝しちゃいました!!

「白河の関を越えることはできない」、そういわれてきました。甲子園の深紅の大優勝旗のことです。北海道を含む東北以北の高校が甲子園で優勝したことは今までありませんでした。しかし、2004年にとんでもないことがおきました。白河の関どころか、津軽海峡を渡ったのです。

それは2004年8月22日の出来事でした。駒大苫小牧が、東北以北の高校として初優勝。もちろん、北海道勢としても初優勝でした。大優勝旗が史上はじめて津軽海峡を越えて北海道にやってきました。もう大興奮の北海道です。北海道でかつてない偉業を達成したからです。

前代未聞の紙面構成!!

初制覇を伝える翌朝の北海道新聞一面

8月23日の北海道新聞の朝刊では、この喜びが感じ取れる紙面になっていました。なんと前代未聞の紙面構成。通常新聞は縦書きですので、右上から「北海道新聞」と始まります。また、裏面はTV欄ですね。この日の新聞は、TV欄から1面までが見開き状態。「北海道新聞」が左上になり、トップ記事の題字が見開きいっぱいに展開されました。「駒苫優勝 大旗初の海峡越え」と。

号外もしっかりと出されました。号外が出されるのは、甲子園出場が決定する「南・北海道地区大会優勝」と「北・北海道地区大会優勝」から、初戦突破以降優勝まででした。ですから、「甲子園へ」「初戦突破」「ベスト8入り」「ベスト4入り」「決勝へ」「優勝」の合計6つが出されたことになります。

8・9の悲劇の悔しさがあったからこそ!!

駒大苫小牧は、南・北海道地区ですが、過去には1966年、2001年、2003年と甲子園出場しました。そのいずれも初戦で敗退してしまっています。

2003年度に甲子園に出場した際、駒大苫小牧には「8・9の悲劇」がありました。8月8日の岡山県代表の倉敷工との試合、8-0で大量リードしていたものの台風10号の影響で雨で無効に。翌日8月9日の再試合でなんと2-5で敗退してしまったゲームです。

その後、駒大苫小牧の野球部では、「北海道でもやれるんだ」ということを証明するために懸命に努力することになりました。監督は感覚を鈍らせないようにと、冬の雪上でも野球の練習をさせたといっています。つるつるのグラウンドでノックを受けたそうです。加速し、不規則に飛ぶそうです。

その結果が、夏の甲子園大会新記録となる4割4分8厘という打率にあらわれました。また、堅い守りと監督の選手起用の采配が光ったことも勝因の一つとしてありました。雪が降る北海道だから、、、といういいわけは通用しないことを証明したといえますね。

誰一人として優勝するとは思っていなかった!

「北海道史上最強のチーム」と信じてやまなかった苫小牧のかたがたには申し訳ないけれども、「どーせ北海道勢は初戦敗退でしょう」と思っていたたいていの北海道民。もう敗退に慣れっこでした。2004年の第86回全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)では、北・北海道代表の道立旭川北高校が山口県代表の岩国高校に負けて1回戦敗退。

一方の南・北海道代表の駒大苫小牧高校は、初戦を勝利。この時点では「へぇ」程度の反応だった。つまり、次の試合は負けるでしょう、みたいな。しかし試合を重ねるごとに勝利していき、8強入りになって「なにぃ?」、4強入りを果たすと「なになに?いけるんでないかい?」になり、決勝進出が決定すると「なんだとー?決勝だとぉ?」と誰もが驚きを隠せなかった状況に。

勝ち進めるうちに、次第に報道も過熱していき、北海道民は甲子園の中継に目を奪われるようになっていきました。今まで甲子園の中継を見たことがなかった人、野球に興味がなかった人までもが、テレビの前で観戦・応援するようになったわけです。そして迎えた決勝戦で見事初優勝を飾って「ありえねー奇跡だ!」という反応が各地で見られました。

決勝戦の最高視聴率は46%!

その証拠が、決勝戦の最中の北海道の視聴率結果にあらわれています。NHKとHTBで実況生中継され、NHKで最高視聴率46.2%だったと、調査結果が示していました(札幌地区では年間視聴率第2位38.2%)。まぁほぼ半分の道民が、駒大苫小牧の初優勝に期待をしていたということですね。

確かに、甲子園に出発した最初のころは関心も比較的低くて注目もされなかった駒大苫小牧。優勝して帰ってきてからの、道民の熱烈な歓迎振りとの違いは顕著すぎるわけです。優勝したとたんに自分に関係あるかのように、わが子のように大絶叫&大絶賛。これが道産子気質でもあります。

駒大苫小牧は北海道に到着後大忙し。凱旋、道庁へもいったりしました。そして、高校生としては初めて知事表彰「栄誉賞」を受賞することになりました。また、大優勝旗や優勝たてなどの展示会が苫小牧や札幌で開催されて、多くの人が見物に訪れました。

※おりしも、第86回高校野球選手権大会の大会歌には、北海道札幌出身のZONEが歌う『栄冠は君に輝く』でした。

駒大苫小牧、2004夏の甲子園の軌跡!!

駒大苫小牧概要
監督: 香田誉士史
主将: 佐々木くん(3年生)
部員数: 73人
1投: 岩田くん(3年生)
2捕: 糸屋くん(3年生)
3一: 桑島くん(3年生)
4二: 林くん(2年生)
5三: 五十嵐くん(2年生)
6遊: 佐々木くん(3年生)
7左: 原田くん(3年生)
8中: 桑原くん(3年生)
9右: 沢井くん(3年生)
10補・投: 吉岡くん(2年生)
11補・投: 鈴木くん(3年生)
12補・捕: 津島くん(2年生)
13補: 遠藤くん(3年生)
14補: 刈谷くん(3年生)
15補・投: 松橋くん(2年生)
16補: 辻くん(2年生)
17補・投: 樋江井くん(3年生)
18補・投: 佐々木(優)くん(3年生)

2004年優勝時のトーナメント表

<南・北海道大会>

室蘭支部 1回戦駒大苫小牧 8-1 静内
室蘭支部 準決勝駒大苫小牧 8-0 苫小牧西
室蘭支部 決勝駒大苫小牧 7-0 鵡川
南北海道 1回戦駒大苫小牧 8-1
南北海道準々決勝駒大苫小牧 9-2 立命館慶祥
南北海道 準決勝駒大苫小牧 3-2 東海大四
南北海道 決勝駒大苫小牧 6-3 北海道栄

<2004年8月12日>2回戦第1試合
駒大苫小牧 7-3 佐世保実(長崎県代表)

佐世保実0 0 1 1 0 0 0 1 03
駒大苫小牧0 0 2 1 1 0 2 1 X7

4回に同点にされるが、その後も着実に点を積み重ねて、15安打で快勝。この試合は、北海道勢の夏通算50勝目となった。

<2004年8月16日>3回戦第1試合
駒大苫小牧 7-6 日大三(西東京代表)

日大三0 0 2 0 0 0 0 2 26
駒大苫小牧1 2 1 0 0 0 0 3 X7

8回で4-4の同点に追いつかれるも、その裏で3点とって、9回でも相手の2点に抑えて競り勝ち。競合に価値ある勝利。

<2004年8月19日>準々決勝第2試合
駒大苫小牧 6-1 横浜(神奈川県代表)

駒大苫小牧0 1 1 0 2 0 2 0 06
横浜0 0 0 0 0 1 0 0 01

この試合では林くんが史上5人目となるサイクル安打を記録した。18安打で快勝し準決勝進出。北海道勢の夏の甲子園としての準決勝進出は、1928年の北海高校(当時北海中)以来76年ぶり2度目の快挙。

<2004年8月21日>準決勝第2試合
駒大苫小牧 10-8 東海大甲府(山梨県代表)

東海大甲府0 0 3 0 0 2 2 0 18
駒大苫小牧0 2 2 3 3 0 0 0 X10

点の取り合いとなった試合。3回に逆転され2-3になるもその裏できっちり点をとって、その後も得点を重ねた。北海道勢の決勝進出は史上初という快挙。

<2004年8月22日>決勝
駒大苫小牧 13-10 済美(愛媛県代表)

済美2 3 0 0 1 3 0 1 010
駒大苫小牧1 0 2 3 0 3 3 1 X13

両チーム通じて23得点をあげる打撃戦は、決勝としては最多得点記録を樹立した試合。2回までに1-5と劣勢に立たされるも、6回には同点に追いつき、7回には逆転の勝ち越し得点。8回に1点ずつ取り合ってそのまま勝利、初優勝。この逆転による快進撃は後まで語り継がれるほどの名試合だった。北海道勢及び東北以北での優勝は史上初という快挙。

駒大苫小牧2005の軌跡!!

ぜひとも連覇を!!

準決勝で勝利したことを伝える北海道新聞

2004年の全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)では、東北以北初、北海道勢初の優勝という快挙を成し遂げ、史上初めて大優勝旗が津軽海峡を越えました。それから1年。地区大会も順調に勝ち進んで優勝し、甲子園への切符を手にした駒大苫小牧。

今度は優勝旗を返還するという任務がありました。北海道から送り出されるときは、北海道民は「ぜひとも連覇を」という願いを少なからず持ったはずです。でも、まぁ、連覇なんてそう簡単にさせてくれるものじゃないし、これまで史上5校しか成し遂げていない偉業ですから、あまり期待していなかった人もいました。

もちろん、2連覇を狙ってのぞんだわけですが、プレッシャーもあったそうです。あまりうまくいかずに、春の高校野球選抜では、2回戦敗退という屈辱も味わいました。春の全道大会でも初戦敗退という屈辱もありました。

それでも連覇を!!

連覇を伝える朝日新聞の号外

そして、やってくれました! 2005年8月20日は記念すべき日になりました。2005年の第87回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で、57年ぶり、史上6校目、戦後では2校目となる2年連続優勝(夏の連覇)を達成したのです。この価値はとてつもなくでかいものです。57年前の出場校の3倍以上の全国4137校の頂点に立ったわけですから。

北・北海道代表の旭川工業高校は初戦で敗退し、3年連続出場の南・北海道代表の駒大苫小牧に夢を託して北海道へ帰ることに。同じ北海道の代表としてこれができるのが北海道のいいところ。北海道民の中には旭川工よりも、駒大苫小牧のほうが気になるという人がほとんどだったはず。昨年優勝校ですからね。

駒大苫小牧は初戦(2回戦)を完封勝ちし、3回戦も勝って8強になりました。昨年の優勝の感動を知っている道民は、「まぁまぁこれくらいはね」というフムフム感覚。続く準々決勝での、大差をつけられてからの逆転勝利は、昨年の決勝戦を髣髴させるものでした。

連覇……しちゃった……

準決勝では、「西の横綱」とも言われる大阪桐蔭に勝って決勝戦に駒を進めました。「え?もしかして連覇しちゃうの?」と誰もが思ったはず。高橋道知事も甲子園アルプス席に観戦しに行き、「もう一年北海道で優勝旗をあずかりましょう」とかなんとか言って激励していました。

決勝戦では京都代表に勝って見事に連覇達成。「……ほんとに連覇しちゃったよ……すげぇやつらだ」。道産子のおじさまがたのお茶の間の声が聞こえてきそうでありました。2連覇を信じていたとはいえ、信じられないですよね。でも本当に、北海道の高校が、夏の甲子園で、なんと2連覇しちゃったのです。

1万点の試合!

大優勝旗は再び北海道の地へ舞い戻ることになりました。まぁ、甲子園に預けた状態でした。キャプテン林くんは「1万点の試合・みんな最高だぁ!」と興奮振りを話し、監督は「なぜ連覇できたかわからない」と話していたのが印象的でした。もともと「われわれは北国のチャレンジャー」と自分たちのことを言っていた監督ですから。

気になる北海道新聞のトップ記事の状況ですが、昨年度優勝時の前代未聞風な紙面構成ではありませんでしたが、拓銀破綻の時なみのでかさでトップ記事を飾っていました。題字はいたってシンプルに「駒苫 夏連覇」でした。

また、駒大苫小牧ナインが苫小牧に帰ってくる際の飛行機の中で「深紅の大優勝旗がまもなく津軽海峡を渡ります」(Yahoo!NEWS)「57年ぶりに連覇の偉業を達成された駒大苫小牧高の皆さん、優勝おめでとうございます」(北海道新聞)とのアナウンスがあったとか。全日空も気合が入っています。

駒大苫小牧の応援も熱が入る!!

駒大苫小牧にはオリジナルの応援曲があるんです。そのタイトルは「チャンス」。駒大苫小牧の90人あまりの吹奏楽部(実は全国大会で2年連続銀賞の実績あり)が演奏して甲子園を盛り上げています。応援団が演奏するとほぼ得点につながるというからすごい曲。野球部の香田監督と吹奏楽部顧問の先生との合作で、「いつかは日本一になる」と2000年くらいにできあがった曲だとか。さらにはチアリーディング同好会も10名いるそうで、今回の中継にも何回か映し出されましたね。

さらにテレビ視聴率では、決勝戦を放送したNHKとHTBあわせて50%の視聴率だったとか。NHKの最高視聴率は39.7%(札幌地区では最高視聴率31.7%)。また、2局あわせた占拠率もあって、なんと8割という驚異的数値を示したそうです。そのほかにも札幌の大型ビジョンなど、集まって感動を分かち合った人たちも数多くいますから、すごいことですよね。

来年も、V3を狙って!!

560万の北海道民に感動を与え続けた駒大苫小牧。2年連続で夢と感動をありがとう。

大変難しいとは思いますが、3連覇をすでに狙っている駒大苫小牧。もし、甲子園で3連覇すると、戦後初で、1973年以来史上2校目というこれまた偉業になります。でも、ぜひ夏3連覇に向かって突き進んでほしいと思います。

駒大苫小牧、2005夏の甲子園の軌跡!!

駒大苫小牧概要
監督: 香田誉士史
主将: 林くん(3年生)
部員数: 97人
うちマネージャー: 3人
1投: 松橋くん(3年生)※
2捕: 小山くん(3年生)
3一: 岡山くん(3年生)
4二: 林くん(3年生)※
5三: 五十嵐くん(3年生)※
6遊: 辻くん(3年生)※
7左: 青地くん(3年生)
8中: 本間くん(2年生)
9右: 山口くん(2年生)
10補・投: 吉岡くん(3年生)※
11補・投: 田中くん(2年生)
12補・捕: 津島くん(3年生)※
13補・投: 岡田くん(2年生)
14補: 三木くん(2年生)
15補: 鷲谷くん(2年生)
16補: 白岩くん(3年生)
17補: 高野くん(3年生)
18補: 佐藤くん(1年生)
※うち2004年優勝メンバー6人・出場経験3人

2005年優勝時のトーナメント表

<南・北海道大会>

室蘭支部 1回戦駒大苫小牧 11-1 苫小牧南
室蘭支部 準決勝駒大苫小牧 9-0 えりも
室蘭支部 決勝駒大苫小牧 10-0 伊達
南北海道 1回戦駒大苫小牧 6-4 札幌第一
南北海道準々決勝駒大苫小牧 5-0 札幌国際情報
南北海道 準決勝駒大苫小牧 9-0 駒大岩見沢
南北海道 決勝駒大苫小牧 5-4 北照

<2005年8月11日>2回戦第2試合
駒大苫小牧 5-0 聖心ウルスラ(宮崎県代表)

聖心ウルスラ0 0 0 0 0 0 0 0 00
駒大苫小牧1 0 0 1 1 0 2 0 X5

エース松橋くんが2安打完封と大活躍し、快勝。

<2005年8月15日>3回戦第2試合
駒大苫小牧 13-1 日本航空(山梨県代表)

日本航空0 0 0 0 0 0 0 1 01
駒大苫小牧1 5 0 1 1 1 3 1 X13

16安打でどんどん点をとっていった圧勝の試合。12奪三振の2年生の田中くんの好投も光った。大会62回目の毎回奪三振はこの試合で、田中くんと吉岡くんの2人で実現させた。また、大会タイ記録となる21人目の1試合最多二塁打3の記録は岡山くん。この試合での辻くんのホームランは大会通算1100本目の節目の本塁打だった。

<2005年8月17日>準々決勝第2試合
駒大苫小牧 7-6 鳴門工(徳島県代表)

鳴門工2 0 1 0 0 0 3 0 06
駒大苫小牧1 0 0 0 0 0 6 0 X7

北海道勢としては春夏通じて通算90勝目の節目となった試合。この試合ではまるで昨年の決勝戦を見ているような見事な逆転劇を演じた。5点差とされ6-1となった7回裏に、なんと打者11人で6点をもぎ取って6-7の逆転に成功した感動の試合。

<2005年8月19日>準決勝第2試合
駒大苫小牧 6-5 大阪桐蔭(大阪府代表)

駒大苫小牧0 5 0 0 0 0 0 0 0 16
大阪桐蔭0 0 0 0 0 0 3 2 0 05

延長までいった健闘した試合。相手ピッチャーが序盤うまくいっていなく5点先取。しかし7回と8回で立て続けに5点取られて5-5の同点。9回で決着つかず延長10回で1点とり、その裏でおさえて勝利。2連覇の偉業に王手をかけ、決勝へ進出した。前年度優勝校の決勝進出としては1984年の大阪府のPL学園以来21年ぶり。連覇すれば57年ぶり6校目。

<2005年8月20日>決勝
駒大苫小牧 5-3 京都外大西(京都府代表)

京都外大西1 0 0 0 0 0 2 0 03
駒大苫小牧1 0 0 0 1 1 2 0 X5

南・北海道大会室蘭支部予選以来準決勝まで11試合連続無失策試合記録だったが、この試合で2失策してしまい、12試合連続はならなかった。初回に1点取り合ってその後膠着、5回と6回に1点ずつ取るものの7回に2点取られて同点に追いつかれ3-3の同点に。しかしその裏で2点取り返し、その後点は入らず試合終了。1947年1948年に連覇した福岡県代表の小倉高校以来 57年ぶり6校目の夏連覇、1県1校制度になってから初の連覇。

駒大苫小牧2006の軌跡!!

ぜひとも3連覇を!!

2004、2005年の全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)では、なんと歴史的2連覇を果たした駒大苫小牧。またまた夏の甲子園の季節がやってきました。地区大会も順調に勝ち進んで優勝し、第88回甲子園への切符を手にした駒大苫小牧。

今度も優勝旗を返還するという任務がありました。ぜひ3連覇を!と誰もが願った駒大苫小牧の甲子園出場。3連覇なんてできるわけない、という声もあり、駒大苫小牧のチームは一丸となってチャンレジャーとして挑みました。

去年の夏、連覇の後には、前野球部長による暴力の不祥事が発覚し、一時は優勝旗返還か?と心配されました。また春の選抜甲子園出場決定後には、今度は生徒が補導される問題が発覚し、出場辞退&香田監督も辞退する、という苦しい時期が続きました。その悔しさをばねに……と甲子園2006年がスタートしました。

今年は2005年の春の敗戦を最後に、それ以来公式戦負け無し連勝記録更新中の強いチームです。2005年には、夏の甲子園連覇だけでなく、秋の岡山国体高校野球でも優勝、さらにその後の明治神宮大会でも優勝と、すごいことに3冠を達成しました。

3連覇なるか??

今年も2回戦からの出場でした。2回戦、3回戦、準々決勝、準決勝を勝ち進んでいきました。3回戦以降ねばって逆転劇の試合が3試合ありました。特に3回戦は6点差をひっくりかえすというすばらしい試合をしました。多くの高校が駒大苫小牧対策を行っており、苦戦するシーンが多かった今年の甲子園。エースピッチャーの田中投手が調子が悪いとも報道されてきました。しかし、試合ごとに調子を上げていきました。

3大会連続で決勝進出した駒大苫小牧。3連覇がかかった決勝戦。今年も3連覇なるか?ということで大注目でしたが……しかし、早稲田実業と大接戦になりました。終盤にともに1点ずつをあげるとあとは堅い守りでゼロ点続き。延長に入り、合計約3時間半に及び、延長15回まで戦ってもスコア1-1で決着つかず。規定により翌日に再試合を行うという珍事に見舞われました。決勝戦の引き分け再試合は、37年ぶり2度目。試合後、両チームに熱い拍手が送られ、歴史に残る名試合となりました。札幌での瞬間最高視聴率は49.7%でした。

準優勝を伝えるスーパー入口

第16日目となった決勝戦再試合。月曜日で、仕事や授業などが集中できなかったと思われる午後の時間帯。試合早々から早稲田実業は得点を重ね、試合終盤には3点差になりました。3点を追いかけてあとがない9回表。粘り強い駒苫打線はツーランホームラン。1点差まで追い上げますが、反撃もそこまで。田中投手の打席で三振で終了。

73年ぶり2校目、戦後初となる3連覇(V3)の偉業はなりませんでしたが、しかし、全力を出し切り胸をはれる「準優勝」。3年連続決勝というだけでもすごいことだから……。しかも、優勝に限りなく近い準優勝、互角の戦い、美しい敗戦。そんな言葉がピッタリの決勝2連戦でしたね。そして戦後、最も3連覇に近い試合だったのではないでしょうか。ちなみに札幌での瞬間最高視聴率は38.4%でした。

駒大苫小牧、2006夏の甲子園の軌跡!!

駒大苫小牧概要
監督: 香田誉士史
主将: 本間くん(3年生)
部員数: 105人
1投: 田中くん(3年生)
2捕: 小林くん(3年生)
3一: 中沢くん(3年生)
4二: 山口くん(3年生)
5三: 三谷くん(3年生)
6遊: 三木くん(3年生)
7左: 岡川くん(3年生)
8中: 本間くん(3年生)
9右: 鷲谷くん(3年生)
10補・投: 対馬くん(2年生)
11補・投: 菊地くん(2年生)
12補・捕: 及川くん(3年生)
13補・投: 岡田くん(3年生)
14補: 小崎くん(3年生)
15補: 奥山くん(3年生)
16補: 本間くん(3年生)
17補: 西田くん(3年生)
18補: 渡辺くん(3年生)

<南・北海道大会>

室蘭支部 2回戦駒大苫小牧 7-0 伊達緑丘
室蘭支部 準決勝駒大苫小牧 8-1 苫小牧西
室蘭支部 決戦駒大苫小牧 10-0 伊達
南北海道 1回戦駒大苫小牧 10-0 夕張
南北海道準々決勝駒大苫小牧 7-0 北海道栄
南北海道 準決勝駒大苫小牧 3-0 北照
南北海道 決戦駒大苫小牧 11-1 札幌光星

<2006年8月10日>2回戦第3試合
駒大苫小牧 5-3 南陽工(山口県代表)

南陽工0 0 0 1 1 0 1 0 03
駒大苫小牧1 1 2 0 0 0 1 0 X5

中盤以降に追い上げられるも田中投手の力投で逃げ切り。

<2006年8月15日>3回戦第1試合
駒大苫小牧 10-9 青森山田(青森県代表)

青森山田0 4 2 1 0 0 0 1 19
駒大苫小牧0 1 0 1 0 2 1 3 2X10

強豪青森山田が6点リードしたものの、その6点差を終盤で追いつき。9回表で青森山田がさらにリードしたため、もうだめかと思いかけたとき、9回裏でサヨナラ勝利をおさめた名試合。

<2006年8月17日>準々決勝第1試合
駒大苫小牧 5-4 東洋大姫路(兵庫県代表)

東洋大姫路2 0 0 2 0 0 0 0 04
駒大苫小牧0 0 0 0 0 4 1 0 X5

これもまた逆転の試合。4点先取されたものの、6回に一気に4点とり同点、さらに7回に1点を加えて勝ち越した。その後堅守でゼロ点に抑えて4強進出。

<2006年8月19日>準決勝第1試合
駒大苫小牧 7-4 智弁和歌山(和歌山県代表)

智弁和歌山1 2 0 1 0 0 0 0 0 04
駒大苫小牧4 0 1 0 2 0 0 0 0 X7

今回は1回で4得点を入れて一気に有利な立場に。5回までに得点を重ね5回以降相手に点を与えず試合を決定付けた。

<2006年8月20日>決勝
駒大苫小牧 1-1 早稲田実業(西東京都代表)

駒大苫小牧0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 01
早稲田実業0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 01

3年連続の決勝進出、3連覇を狙う駒大苫小牧は強豪早稲田実業と対戦。しかし試合は得点が入らない。8回に両チームともに得点を入れた後はお互い譲らず、延長15回まで戦っても決着つかず、引き分け、規定により再試合となった。決勝戦の引き分け再試合は37年ぶり2度目。

<2006年8月21日>決勝(再試合)
駒大苫小牧 3-4 早稲田実業(西東京都代表)

駒大苫小牧0 0 0 0 0 1 0 0 23
早稲田実業1 1 0 0 0 1 1 0 X4

再試合で決着がついた。3連覇なるかと注目された駒大苫小牧。駒大苫小牧は早稲田実業のピッチャーの好投でなかなか出塁できず。3点差を追いかける展開で後がない駒大苫小牧は9回表、ツーランホームランで2点を追加し1点差に詰め寄る。しかし反撃はそこまで。ピッチャー田中の打順で三振になり、試合終了。1点差に泣き、チームとしての公式戦の連勝記録は48連勝、夏の甲子園の連勝は14連勝でストップした。しかし胸をはれる準優勝。そしてこの名試合は歴史に残るだろう。73年ぶり2度目のV3の夢は惜しくもかなわなかったが、道民に勇気と感動を与え続けた駒大苫小牧に、道民は感謝している。

駒大苫小牧の公式戦48連勝(夏の甲子園14連勝)!!

(05春)全道大会(1回戦) ●7-9 VS 白樺学園
(05夏)室蘭支部(2回戦) ○11-1 VS 苫小牧南
 (準決勝) ○9-0 VS えりも
 (決勝) ○10-0 VS 伊達 (南北海道大会出場決定!!)
(05夏)南北海道(1回戦) ○6-4 VS 札幌第一
 (準々決勝) ○5-0 VS 札幌国際情報
 (準決勝) ○9-0 VS 駒大岩見沢
 (決勝) ○5-4 VS 北照 (甲子園出場決定!!)
(05夏)87甲子園(2回戦) ○5-0 VS 聖心ウルスラ
 (3回戦) ○13-1 VS 日本航空
 (準々決勝) ○7-6 VS 鳴門工
 (準決勝) ○6-5 VS 大阪桐蔭
 (決勝) ○5-3 VS 京都外大西 (優勝・連覇!!)
(05秋)室蘭支部(1回戦) ○6-3 VS 鵡川
 (2回戦) ○10-2 VS 伊達
 (準決勝) ○5-1 VS 室蘭大谷
 (決勝) ○13-1 VS 苫小牧東 (全道大会出場決定!!)
(05秋)全道大会(1回戦) ○8-0 VS 駒大岩見沢
 (2回戦) ○9-0 VS 函館工業
 (準々決勝) ○12-2 VS 武修館
 (準決勝) ○5-4 VS 旭川実業
 (決勝) ○15-2 VS 北海道栄 (優勝!!)
(05秋)岡山国体(1回戦) ○2-0 VS 京都外大西
 (2回戦) ○7-2 VS 清峰
 (準決勝) ○8-3 VS 静清工
 (決勝) ○9-1 VS 遊学館 (優勝!!)
(05秋)明治神宮(1回戦) ○6-2 VS 清峰
 (2回戦) ○4-3 VS 高岡商
 (準決勝) ○5-3 VS 早稲田実業
 (決勝) ○5-0 VS 関西 (優勝・三冠達成!!)
(06春)室蘭支部(2回戦) ○10-0 VS 室蘭栄
 (3回戦) ○6-4 VS 鵡川
 (準決勝) ○12-0 VS 苫小牧中央
 (決勝) ○11-4 VS 北海道栄 (全道大会出場決定!!)
(06春)全道大会(1回戦) ○11-1 VS 白樺学園
 (準々決勝) ○7-3 VS 北見北斗
 (準決勝) ○10-1 VS 札幌日大高校
 (決勝) ○14-9 VS 旭川実業 (優勝!!)
(06夏)室蘭支部(2回戦) ○7-0 VS 伊達緑丘
 (準決勝) ○8-1 VS 苫小牧西
 (決勝) ○10-0 VS 伊達 (南北海道大会出場決定!!)
(06夏)南北海道(1回戦) ○10-0 VS 夕張
 (準々決勝) ○7-0 VS 北海道栄
 (準決勝) ○3-0 VS 北照
 (決勝) ○11-1 VS 札幌光星 (甲子園出場決定!!)
(06夏)88甲子園(2回戦) ○5-3 VS 南陽工
 (3回戦) ○10-9 VS 青森山田
 (準々決勝) ○5-4 VS 東洋大姫路
 (準決勝) ○7-4 VS 智弁和歌山
 (決勝) △1-1 VS 早稲田実業 (引き分け再試合)
 (決勝再試合) ●3-4 VS 早稲田実業 (準優勝!!)

写真集等のご紹介

大旗は海峡を越えた―駒大苫小牧野球部の軌跡
田尻 賢誉(著) 日刊スポーツ出版社240ページ
オススメ:★★★★★
初優勝をした駒大苫小牧野球部を中心に、北海道の高校野球事情に迫る納得の一冊。なんで駒大苫小牧は強い? これを読むと香田監督の指導の仕方が見えてきます。駒大苫小牧の秘密が見えてきます。駒苫ファンなら、ぜひ読んでみたい本ですね。

全国制覇 駒大苫小牧―2004夏 甲子園熱闘ドラマ
北海道新聞社
オススメ:★★★★
駒大苫小牧ファン必見の一冊。駒大苫小牧が初優勝した2004年を記念して発行され、駒大苫小牧の活躍ぶりを振り返ることができます。写真が多く、選手たちのコメントもあって、保存版になりそうですね。