陸の孤島!秘境駅「小幌駅」でいったい何をすればいいのか(前編)

日本一の秘境駅として鉄道ファンに知られる室蘭本線「小幌駅(こぼろえき)」。道路が通じておらず、JRからしかアクセスできない場所で、停車する列車もごくわずか。まさに陸の孤島です。廃止が取り沙汰されている同駅。降り立ったら、いったい何をすればいいのでしょうか? 何か見所はあるのでしょうか? 実際に降り立ち、駅周辺を散策してみました。

トンネルとトンネルの間にある無人駅







小幌駅は豊浦町西端の礼文華地区、長万部町との境界線近くにある駅です。隣の駅である礼文駅から6.1㎞、長万部側の隣の駅 静狩駅から6.9㎞の山間にあります。新辺加牛トンネル(上りは幌内トンネル)と礼文華トンネルの間の切れ目 約80mほどのぽっかり空いた幌内沢に二面二線のホームがあり、三方は崖に囲まれ、一方は海に通じています。

同駅を発着するのは、長万部行きが5本、東室蘭行きが3本とアンバランスな設定。それ以外は札幌―函館間を結ぶ特急や貨物列車が往来しますが、すべて通過していきます。

小幌駅時刻表
<長万部行> 7:14・8:33・11:35・15:12・19:12
<東室蘭行> 9:16・15:40・17:55

2時間ほど滞在するなら、東室蘭方面から朝一の列車で降り立ち、同方向に向かう朝一の列車で帰るパターンです。逆方向では長万部方面から朝一の列車で降り立ち、同方向に向かう3本目の列車で帰るパターンが考えられます。19:12着の便で降り立つと当日は帰れないことになりますのでご注意を。

小幌駅発着パターン
東室蘭方面からアクセス:7:14着、9:16発(約2時間)
長万部方面からアクセス:9:16着、11:35発(2時間強)

信号場として誕生、かつては海水浴場利用客も

小幌駅は単線時代の1943年9月25日に列車行き違いのための信号場として開設されたのがはじまり。複線化工事が完了したことに伴って1967年10月1日に仮乗降場となり、無人化ののち1987年4月1日に駅に昇格しました。室蘭方向にある3つのトンネルのうち真ん中は開業当初の単線トンネルでしたが、複線化工事が完了したことで不要となりました。

▼東室蘭側のトンネルと長万部側のトンネル





▼保線区詰所兼倉庫とトイレ





乗降客はかつては小幌海岸海水浴場やキャンプ場の利用客やわずかな民家の人たちがいました。小幌海岸は古くから好漁場として知られており、漁期には100人を超す人々で賑わった時代もあるとか。今や民家も生活している人もおらず、釣り人や鉄道ファンが訪れる程度の駅とされています。

駅に通じた山道は今や消滅、陸路は危険!!

周辺の礼文華地域は「蝦夷三険」の一つとされ、明治時代のイギリスの作家イザベラ・バード氏も『日本奥地紀行』でこの「礼文山道」について記しています。小幌駅すぐ北側の峠の山並みは中央分水嶺であり(峠から南側に降った雨は太平洋に、北側は日本海に流れます)、標高差と崖が続く海岸線で交通の難所として知られていました。

現在、室蘭本線と並行して山側400~500m先を国道37号線が通っています。信号場開設当初は国道への山道も地図に記され、西側からと東側からの山道が存在していましたが、いつしか消滅しました。現在、国道・礼文華トンネル脇の旧国道から林道を通り沢を降りて岩尾観音(後述)付近に出ることも可能ですが、崖、笹藪と深い森、ヒグマなどの野生動物出没の危険があり、陸路でのアプローチはおすすめできません。

小幌駅に見どころはあるの?

小幌駅の三方は崖に囲まれた小幌駅。どこかに行くなら海に出るしかありません。小幌駅からは山道が大きく3本あります。

(1) 南東側の岩屋海岸の入り江と小幌洞窟と岩屋観音に通じるルート
(2) 南側の海岸「文太郎浜」に通じるルート
(3) 西側の海岸「美利加浜」に通じるルート

1と2については、駅から同じ道で、途中で分岐します(看板あり)。

▼映像で小幌駅探訪!(出演:るみちゃん&ばんくん)

参考文献:豊浦町史、豊浦町教育委員会著秘境「小幌その自然と歴史探訪」