宇宙に一番近くないのに「宇宙展望台」「宇宙の鐘」がある理由とは?

【清里町】天文台や宇宙関連の実験場ならわかるが、眺望の良い展望台に「宇宙」と名付けてしまった景観スポットが存在する。それが清里町の高台にある「清里宇宙展望台」だ。この展望台には「宇宙の鐘」というものも付いているのだ。こんな壮大な名前の付いた鐘を鳴らす機会なんてそうそうないはず。

宇宙展望台があるのは、清里町市街地から南方向へ約6km進んだところの町営牧場・東端にある。札弦市街地からは東方向へ約5kmだ。[地図] 周辺はのどかな平野部が続くが、ここ町営牧場のエリアは高所に位置している。その一角に噂の宇宙展望台がある。標高は107.01m程度。したがって、地球上で宇宙に一番近い展望台というわけではない。

地元小学校OBらが初代を建設し命名、現在は二代目

駐車場に止めると、立派な展望台が聳えているのが目に飛び込んでくる。高さは11.73mで4階相当ある。展望台の頂上までは階段を上っていく。3階部分にシルバーの宇宙の鐘があり、鐘をつくことができる。

立派な展望台だが、実はこれ二代目。2001年秋に、木製の電信柱と廃材を再利用して設計・改築された。


初代の清里宇宙展望台はもっと低かった。1981年9月5日に木を使ってやぐらを組み作られたという記録が残っているのだが、それは地元・江南小学校(閉校)の同窓会が中心となり、江南小学校PTA・自治会の協力で建設されたという。当地には、その当時の展望台と記念撮影した子供たちの姿を写真で見ることができる。

理由:宇宙が身近に感じられるから

なぜ宇宙展望台と名付けたのだろうか。それは、郊外の牧場の高台に位置し、近くに街灯がなく、晴天なら星空が間近にあるように見えることから、つまり宇宙が身近に感じられることから、命名されたという。以来、地域住民や観光客に宇宙展望台として親しまれてきた。


夜間は星空がきれいだが、日中は晴れていれば斜里岳や防風林と畑作地帯を見渡せる。そのようなこともあり、この展望台付近上空からの斜里岳を望む景観は、1992年4月に全国農村景観百選にも選ばれている。


夜も昼も美しい自然を楽しめる清里宇宙展望台。是非一度訪れ宇宙の鐘を鳴らしていただきたい。冬季は利用できないが、観光シーズンは清里町オートキャンプ場も近くにあるので、一泊して星空を楽しむのもいいだろう。