滝を裏側からも見られる珍しい滝!丸瀬布の奥地にある「山彦の滝」

【遠軽町】皆さんは、滝を裏側から見たことがあるでしょうか?遠軽町丸瀬布に行けば、そんな滝に出会えます。その名は「山彦の滝」。360度あらゆる角度から滝を見ることができるのです。今回は、森林鉄道蒸気機関車「雨宮21号」で知られる森林公園いこいの森からさらに奥に行った場所にある武利川支流の「山彦の滝」、そしてその近くにある「鹿鳴の滝」を合わせて紹介します。

落差28mの美しい男滝「山彦の滝」は裏側から見るのが楽しい!



道道1070号線を通行止めまで進むと、30台程度収容の駐車場[地図]があり、そこから「山彦の滝」へ徒歩で向かうことになります。駐車場から「山彦の滝」へは200m。森の中の散策路を進んでいくと、滝の流れる音が聞こえてきます。断崖に突き当たると、高さ28mの滝を見上げる形となります。

滝の落ちるところは、滝つぼがあるわけではなく崖にくぼみがあるので、滝の落下点のまわりをぐるっと歩くことができます。滝を裏側から見ることができるのです。そのことから、別名「裏見の滝」とも呼ばれています。滝を裏側から見る機会はそんなにないと思います。落ちてきた水が向こう側に流れていくのは不思議な感覚です。360度いろんな角度から様々な滝の表情を楽しみましょう。





村山カイカウックの言い伝えがあります。彼は1897年に猟に出て吹雪にあった際、突然断崖下に落下し意識を失ったものの、気が付くとせせらぎの音と巨大な氷柱を目にしました。ここが滝であったことを知りますが、かすり傷ひとつ負わなかったそうで、以後、神霊の滝として崇められてきたといいます。

さらに、この滝は真東を向いていることからご利益があるとして、成田不動尊を祀っています。滝の裏側の崖のくぼみには、古くなった賽銭箱、小さな鳥居が置かれていたりします。水しぶきはもちろんかかってしまいますし、地面が泥状になっていますので、気を付けて歩きましょう。

なお、冬には滝が巨大な氷柱になります。滝は上から着実に凍っていくのと同時に、下からも氷の山のように凍っていき、最終的に上下がつながります。1月から3月の夜間には滝の裏側からライトを氷柱に向けて照らすライトアップ観察会(炎の滝、紅の滝などと呼ばれる)が行われていますので、冬に行くのも良いでしょう。また、結氷初日(上下の氷がつながる日)を当てるクイズも行われており、ピタリ賞には先述の村山カイカウック賞の名がつけられています。

落差15mの小さめの女滝「鹿鳴の滝」にも行っておきたい!



「山彦の滝」の傍らから山の中を500m進むと、もう一つの姉妹滝「鹿鳴の滝」にたどりつきます。命名の由来は、北海道内でエゾシカの三大生息地の一つとされていて、鹿が水を飲みに集まるところから名づけられました。落差15mほどで、「山彦の滝」ほどの迫力があるわけではないのですが、岩肌の斜面を水が幾筋にも分かれて流れていく滝です。これはこれで美しい滝です。

なお、「鹿鳴の滝」へは「山彦の滝」から山の中を500m進んで行きますが、帰りは「鹿鳴の滝」前の分岐から200m進んで道道(通行止め区間)に出てしまったほうが早く帰ることができます。どちらの滝も周辺は苔が繁茂し原子の森のよう。つまずきやすい場所やぬかるみがあり滑りやすい場所があるため、歩きやすい靴で行きましょう。