『遊び心』郵便の宝庫!南区にある「おもしろ遊便館」に行ってみた!

【札幌市】国道453号線(真駒内通)を芸術の森方面に向かっている途中、ふと右手を見ると「おもしろ遊便館」という赤字の文字が。「遊便??」 
一見すると普通の建物なのだが、そのネーミングからして既に気になりすぎる。

ということで車をUターンさせ、突然の取材申請。
対応してくれたのが館長の渡辺さん。快く取材を承諾してくれた。そして後日、色々なお話しをゆっくりと聞かせてもらってきた。

▼館長の渡辺信雄さん(※ちなみに、ご近所の「札幌芸術の森」という施設ネーミング、何と館長が名付け親だそう!)

所狭しと並ぶ「これが郵便物!?」という品々

館長に案内され、2階にある館内に一歩足を踏み入れると、そこは一見何の脈略もない変わった雑貨類が大量に置かれているだけようにも見える。しかし、よくよく見ると、全てのものに「あて先」と「切手」が貼ってある!
「2003年に、退職金を元手にこの建物を購入して開館。現在の展示数、大体2000点ほどになります。これまでに約2000人、1万6千通ほどのやりとりをしてきました」とのこと。


実は、郵便物は郵便法規格内であれば「そのままの状態」で送れるんだとか。それがこの「遊便」アイデアの原点だそうだ。
元々、北海道郵政監察局で長年「郵政監察官」として勤務していたという館長。その時代、郵便収入を上げるためにこの「遊便」アイデアが浮かんだという。そして自ら「折鶴」(下記参照)を折り、道内500の郵便局員に「郵便収入アップのヒント・アイデア」として送ったのが「遊便」の始まりだった。

▼この折鶴郵便が全ての原点。


「時には子供たちに『遊便教室』を開いたりもしています。そのお礼に、こんな『かさ郵便』(写真)にメッセージを入れて送ってくれたり。嬉しいですねぇ!」

「そうそう。これも面白いですよ」と廊下に案内された。
「全国から多くの方が訪問してくれています。その方々から頂いた『おもしろ名刺』も廊下に展示しているんです。雪だるま形や、年輪入り木形、警察の階級別など楽しいですよ。是非こちらもお見逃しなく!」との事。確かに面白い名刺が並んでいて、思わず見入ってしまった。

M.NARITA独断セレクト! 固定概念を覆す『アイデア』郵便ベスト8

多種多様なおもしろ郵便に感心したり、驚いたりしながら、しばし見学。
全て見終えて、私独断で「これは……」と太鼓判を押した「遊便」をピックアップしてみた。それが以下の8点である。


NO.1 石炭



NO.2 牛の哺乳瓶



NO.3 アルミホイル



NO.4 サルノコシカケ



NO.5 ヅラ



NO.6 便所スリッパ



NO.7 手編みのベスト



NO.8 化石


いかがだろうか?
かなり斬新で面白いと個人的に感心した8点である。
興味を持った方は是非「生」で手にとって、実際に味わってみて欲しい。そんな風にお奨めしたくなるほどの「逸品」郵便たちだった。

「知恵の輪ダンボール」の謎、解明者には記念品贈呈!


「謎の郵便物があるんです」。
館長が取材後半に、突然そう切り出した。それが「ダンボール知恵の輪」郵便だ。これは世界的な現代美術家でもある故・嶋本昭三さんから送られたものだという。よく見てみると、切れ目のない大小の輪が連結されている。実に不思議だ。その作り方については「ご本人に聞いてみたのですが、教えてもらえませんでした。未だ謎のままなんです。解いてくれる人を常時募集しています。解いた方には記念品を贈呈するつもりです」との事。ファンマガジン読者の方にも、是非この謎解きにチャレンジしてみてほしい。

取材撮影もほぼ終わりに近づく。
館長に「おもしろ遊便」の魅力について最後に尋ねてみた。
「そのアイデアには、手作りの『ぬくもり』が溢れています。だからこそ、受け取った人と心のふれあいができて、元気や勇気が伝わるのではないでしょうか。メールが中心の今だからこそ、こういう遊び心のある交流も時には必要だと思うんです。是非一度、体験してみてほしいですね」

無数の『アイデア魂』に囲まれて、クリエイティヴな刺激となった。
私も誰も思いつかない「遊便」を館長に送って驚かしてみようと、帰り道の車内で一人ほくそ笑んでしまった。

おもしろ遊便館
札幌市南区常盤2条1丁目5-3 [地図]
TEL・FAX:011-591-8976
営業時間:13:00~17:00
定休日:水曜日
(入館有料です・要問い合わせ)