霊園に巨大「頭大仏」や「モアイ像」が!? 驚きいっぱい真駒内滝野霊園

札幌市南区の、とある霊園に巨大な「大仏」や「モアイ」がいる! と聞きつけて行ってきたのは、北海道札幌市南区滝野。
札幌市中心部から車を走らせること約45分、道道341号真駒内御料札幌線沿いに、それは確かにありました。

巨大な大仏の頭だけが見え、ずらっと一列に並ぶ多数のモアイ像や大小様々なバラエティに富んだ建造物……。
その独特な世界観は、通りがかる市民や観光客らを驚かせると同時に楽しませてもいます。
そんな知る人ぞ知る、噂の霊園が「真駒内滝野霊園」です。

実は巨大な「頭大仏」や「モアイ像」だけではありません。他にも驚きの建造物が待っていました。
今回は管理事務所の岩渕事業部長にいろいろとお聞きしました。早速レポートしたいと思います。

北海道随一の規模。「でっかいどー」を体現する異色のマンモス霊園!

真駒内滝野霊園は1981(昭和56)年に開園。総面積は約54万坪で、何と札幌ドーム約32個分というデカさ。
その敷地内には4万基以上の墓石が建っており、最終的には7万基を予定という、北海道最大級の規模を誇る「公園霊園」なんです。まさに「北海道はでっかいどー」が霊園でも経験できる訳です。

「この霊園は、お墓ばかりの暗い場所ではないんです。子供たちも来たくなるような明るい気持ちになれる場所にしたいと考えています」と岩渕氏。

確かに、「公園」と冠がつくだけあって、全体の6割が緑地です。霊園内にはそこかしこに、巨大な建造物と共に、リラックスして過ごせるベンチや広場が散在していて、とても明るい雰囲気があり、取材当日も子どもたちがはしゃぐ姿が多く見受けられました。

また、毎年一回8月には「御霊祭」というイベントがあり、慰霊を目的とした「花火」の打ち上げがあるんだとか。霊園で花火とは驚きです。打ち上げの時は、霊園内の至る所に「送り火」という灯りがともり、花火と相まって美しい光景が広がるそうです。
こちらも一度は体験してみたいですよね。

ユニークな不思議建造物設置の訳とは?

そもそも、何故このような世界各地の有名建造物を一堂に作ったのでしょうか。
「私共の霊園は宗教法人ではなく民営霊園で、『宗派を問わない』形をとっており、宗教・宗旨・国籍一切問わずどなたでもお墓を建てることができます。実はモアイもストーンヘンジも、元々は先祖を祀る墓だったそうです。そういった事から、これらの建造物はこの霊園の考え方『宗派を問わない』という特色を体現したものでもあるのです」と岩渕氏。

一見、何の関連性もないと思われた不思議な建造物にも、意外な共通点があると分かり、なるほどなぁ、と妙に納得しました。

あの世界的建築家がデザイン! 話題の「頭大仏」に潜入!

大仏の頭が一面のラベンダー畑にぽっかりと浮かぶその姿が何とも非現実的で浄土感漂う「頭大仏」。
2016年7月17日に一般公開されたばかりです。

このエリアは、世界的な建築家である安藤忠雄氏に設計を依頼。
安藤氏いわく「精神性のある場所」として、ランドスケープ整備全てがラベンダーの丘に抱かれるような形状の設計となっています。
大仏は原石4,000tより選別・加工し57魂より構造され、高さ13.5m総重量1,500t。
実は鎌倉大仏(神奈川県鎌倉市)と同じ大きさがあるんだそう。

話を聞いただけで近くで見たくなります。早速行ってみました。
まずアプローチ(参道)が約60メートルあり、とても長く作られています。

参道を過ぎるとそこには、16.2メートル×61.2メートルの「水庭」があります。

その奥には長さ約40メートルのトンネル通路があり、そこを抜けるとやっと大仏様に会える事ができます。
真下から仰ぎ見る感じになり、背景の空と重なることで神々しさが強く感じられるものでした。

動画で見る「頭大仏」とラベンダー(提供:真駒内滝野霊園)

そして、帰り際売店があり、ここに来なければ買えないという「頭大仏オリジナル写真集」も発見しました。

こういった場所でなかなか写真集が売っているという経験がないので、ここでもサプライズがありました。

イースター島にあるはずの「モアイ像」が!

頭大仏を堪能している時にも、ちらちらと奥の方に視線を感じます。
それが霊園入り口付近にずらっと同じ方向に立ち並んでいるモアイ像です。

霊園によると、大きいもので高さ9.5m・重さ120t。その他は高さ6.5m・重さ60tという、こちらも頭大仏に負けず劣らずのデカさ。近づいてみると、「33モアイ地蔵」という碑がありました。
実は地蔵というサプライズ。

そう言われると迫力がありながらも、どこかユーモラスで日本の「お地蔵さん」のようにも見えてきて、和ませてくれます。
また、地上にはなぜか鹿たちの像も数体あり、奇妙な親和をその場にもたらせていました。

このエリアにはベンチが数か所にあるので、まったりと過ごすには最適なベストスポットです。

~ちょっとブレイク~「モアイベンチ」&ゆるキャラ「モイくん」が、可愛い!

風のうわさで「モアイベンチ」なる脱力ベンチがあると聞き探してみると、ペット霊園エリアの一角に静かに存在していました。

とても小さなモアイが向かい合って両手にベンチを持っているという姿。
何ともけなげで、ベンチが重そうです……。
座るのがはばかられます。見るだけにしておきました。

また、霊園管理事務所内に行くと、「モイくん」という、みるからに「モアイ」な「ゆるキャラ」の可愛いイラストが描かれたPOP。そこには「モイくんようかん」の文字。

これは、札幌市内の障害者施設とのコラボ商品だそうで、十勝産小豆使用で人気があるとのこと。
そこには、モイくん効果もありそうです。霊園発の珍ゆるキャラとしてこれから知名度が上がるかもしれません。
こちらも要チェックです。

イギリスにあるはずの「ストーンヘンジ」が!

さて、モアイ像から少し奥に進むと現れるのが、かの有名な「ストーンヘンジ」。
世界遺産であり、神官の神殿や古代の天文台、また、豪族の墳墓として使用されていたといういわれがあります。
つまりストーンヘンジは、とても神聖な場所という理由から、ここのエリアには永代供養墓が併設されています。

石の周りを少し歩いてみましたが、不思議な事に自分が今日本にいるのを忘れ、とても静かな異国の地を歩いているかのような錯覚に。周りから隔絶されたような静寂を感じる体験をしました。

他にも様々な像が!

これだけではありません。まだまだ変わった建造物を見つけることができました。紹介してみたいと思います。

まずは玄関エリア。
そこには、南無阿弥陀仏の文字と共に並ぶ大小のお地蔵様たちが。

同時に、四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)像の姿も。

これらの像が、来園者を最初にお出迎えしてくれます。
そしてふと横の草地を見てみると……ちょっと小さめのモアイたちが。

さきほど紹介した巨大モアイたちと比べ実に控えめ。気づかない人も多いのではないでしょうか。来る機会があれば注意深く発見してほしいと思います。

門をくぐると、そこには「人頭有翼の獅子像」なる変わった像が。モアイたちとの対比が何とも独特です。

最後に、「鎮墓獣」。

こちらは、お墓を守護し悪霊をはらうための像で、頭大仏の参道前で睨みを利かせています。その背後には色々な宗派のお経文言の柱が建てられています。

このように、ふとした瞬間に様々な場所から、変わった建造物たちの視線を感じるのです。
普通の霊園では滅多に感じることができない、異色の体験でした。

今年で35年を迎える「真駒内滝野霊園」。その入り口エリアに集まる変わった建造物の存在。それは、この場所を霊園としてだけではなく、近隣にある国営滝野すずらん丘陵公園や札幌芸術の森と併せて
新しい「札幌名所」として見ることもできると強く感じました。

札幌市民のみならず、道産子全体、そして全国の方々にも知って実際に見ていただきたい、そんな風に思える札幌市民自慢の場所と言えるのではないでしょうか。

一般の方も自由に入れます。地下鉄真駒内駅から「頭大仏前」発着の路線バスがありとても便利ですので是非一度来てみて、実際に体感してみて下さい!

<取材・写真協力>
◆真駒内滝野霊園
経営主体:公益社団法人ふる里公苑
所在地:札幌市南区滝野2番地
総面積:1,800,473㎡(札幌ドーム約32個分の敷地面積)
予定総基数:69,829基(北海道最大規模)
【園内施設】
墓所:265,328㎡(14.8%)
園路:322,433㎡(17.8%)
公園緑地:1,114,833㎡(61.9%)
駐車場:2,964台(無料)
※頭大仏を拝観の際は、ラベンダーの維持管理のため、お一人様300円のご協力をお願い致します。