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「エサンベ鼻北小島」が消失!いったいどんな島だったの?

海上保安庁は2019年9月24日、北海道にある無人島「エサンベ鼻北小島」について、測量等を行った結果「島は存在しない」と発表しました。地図に載っているのに、島影が見当たらないってどういうこと? 正式に命名登録されてから5年、“短命の島”となってしまうのか、その行方に注目が集まります。

エサンベ鼻北小島はどんな島だったの?

エサンベ鼻北小島は「えさんべはなきたこじま」と読みます。島がある場所は、道北の稚内市の隣りにある猿払村(さるふつむら)。オホーツク海岸にある道の駅さるふつ公園の北東の沖合い、約500mに位置します。

▼最北の地、宗谷岬に近い猿払村にその島はある
「エサンベ鼻北小島」が消失!いったいどんな島だったの?

▼浜鬼志別市街の南東、道の駅さるふつ公園の沖合い。意外と遠くなかった
「エサンベ鼻北小島」が消失!いったいどんな島だったの?

▼国土地理院の地図によれば、北緯45°20’06.0”、東経142°10’52.8”にある(測ると、最も近い海岸から約435メートル)
「エサンベ鼻北小島」が消失!いったいどんな島だったの?

この島は、本土海岸から3つ連なる岩礁のうち最も沖合いにあります。32年前の1987年に第1管区海上保安本部が測量し、その当時は平均海面から140cmほどの高さがあったといいます。このときの測量をもとに、海図と国土地理院の地図に記載されました。

本土の海岸からエサンベ鼻北小島を目視できたと話す村民もおり、測量よりも前から小さな岩や島のようなものがあると認識されていたことがわかります。特に、海上を行き来する漁業者の間では周知の事実だったそう。

▼国土地理院の航空写真ではわからない
「エサンベ鼻北小島」が消失!いったいどんな島だったの?

測量が行われた後も、正式には名無しの島でした。名前がつくのは2014年のこと。2009年12月に総合海洋政策本部が策定した「海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針」に基づいて、領海の外縁を裏付ける158の離島に名前が付されることになりましたが、北海道の15の離島に含まれていたのがこのエサンベ鼻北小島でした。ちなみに、このとき登録された島で最も北に位置していたのが、エサンベ鼻北小島。今では国土地理院の地図にも名称が記載されています。

島が見当たらない! 海上保安庁が調査したら……

▼道の駅さるふつ公園の沖合い約500メートルにある……はずだった
「エサンベ鼻北小島」が消失!いったいどんな島だったの?

この島に世間の注目が集まるようになったのは、ちょうど1年前の2018年9月に端を発します。『幻島図鑑』の著者、清水浩史さんが取材で訪れたところ見当たらなかったことから、島の消失が初めて明らかに。村民からの情報もあって、海上保安庁第1管区海上保安本部が現地調査に乗り出すことになりました。

第1管区海上保安本部はまず、2018年11月に上空から目視調査。2019年5月には、島の周囲の海域について、船と水中音波探知機(ソナー)を使って水深測量等の調査をしました。その結果、干潮時でも海面上に現れなかったため、2019年9月24日、「同島の位置付近では島は存在せず、一方非常に水深の浅い浅瀬が存在することが判明しました」と、島の消失を正式発表しました。

ただし、領海の外縁を根拠付ける重要な国境離島であるため、直ちに海図に反映せず、潮位の精密な調査を今後行って、最終的な判断を行うとしています。具体的には、島の近くの港に験潮器を設置して一定期間、連続潮位を観測し、最低水面(潮汐により海面が低くなった位置=水深の基準)を精密にはじき出して決定します。

島が消えた理由として、第1管区海上保安本部は、波や風雨、オホーツク海特有の流氷によって削られた可能性を示唆しています。

気になるのは、日本の領海に影響を与えるのかということ。排他的経済水域(EEZ)の外縁には一切影響はないものの、領海の外縁については「代替の基線を近傍に確保可能なため、ほぼ現状を維持する見込み」と発表しました。

精密な調査の結果、もし「非常に水深の浅い浅瀬」が干潮時だけ姿を現すようなら「低潮高地」と定義されるため、領海は変わりません。しかし、干潮時も姿を現さない場合は、近くにある別の離島が領海の外縁の根拠となる島となり、領海が0.03平方キロメートルほど狭まる可能性があります。

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