苫小牧市「ノーザンホースパーク」のポニーショーが凄い5つの理由

新千歳空港から車で15分。札幌からでも道央道を使えば、約1時間ほどの距離にあるノーザンホースパーク。そこは国内最大の『馬のテーマパーク』でもあります。繋養されている12種類、約80頭もの馬の中には、競馬のGⅠレースを優勝したような名馬たちもいれば、あのディープインパクトのお母さんである、ウインドインハーヘアにも会うことができます。

体験乗馬やホーストレッキングといった、馬に騎乗できるアトラクションもあれば、冬期間は体重が1トンはあろうかという、大型馬の引くソリに引かれながら、敷地内の雪原を駆け抜ける体験も可能。

また、日本を代表するサラブレッドの生産牧場である、ノーザンファームを母体としたノーザンホースパークでは、そのノーザンファームで生産された、様々な名馬の足跡と言える優勝トロフィーなども展示されています。競馬ファンにとって、まさに聖地と言えるような場所かもしれません。

ノーザンホースパークについて取り上げた記事はこちらからご覧ください。

一年中を通して、様々なイベントが行われているノーザンホースパークですが、通年のアトラクションとして行われているのが、この時期はパラッツォ・ベガ ポニー館で開催されている「ハッピー ポニーショー」。11頭のポニーたちが愛らしく、そして、まるで人の言葉を分かっているかのように、賢く演技を披露しています。

▼2018年クリスマスのポニーショーの様子(写真提供:ノーザンホースパーク)

実はこの「ハッピー ポニーショー」ですが、ショーとしての完成度があまりにも高いばかりに、その「凄さ」が伝わっていないのも事実。今回は「ハッピーポニーショー」の凄さを取り上げながら、まだ、ショーを見たことの無い人だけでなく、一度、ショーを見た人にも、改めてポニーたちの姿に注目していただければと思います。

▼最近は海外からの観光客も増えているポニーショー

ハッピー ポニーショーの凄さ その1「演技では手綱を持っていない!」

ハッピー ポニーショーの凄さを説明してくれるのは、トレーナーの佐藤ひささん。動物の行動学から導き出したトレーニング方法で、国内どころか、世界でも例を見ないポニーのショーを作り上げてきました。

▼トレーナーの佐藤ひささん

その佐藤さんが「ハッピー ポニーショー」を行うに際して、まず取り組んだのは、「リード」とも呼ばれる手綱を持たないショーでした。

ポニーとは体高が147センチ以下の馬の総称であり、元を正せばサラブレッドといった馬と一緒。その馬と人間が一緒に行動するときには、頭絡と言われる顔に付ける馬具と手綱をつなげて指示を出したり、時には行動を制御するわけですが、「ハッピーポニーショー」のポニーたちは、どの馬も手綱を付けて演技をしていません。

▼ショーの会場までは手綱で移動

「一般的なホースショーとの差別を計る意味でも、ポニーショーでは手綱を使う気はありませんでした。周りからは『ポニーにそんなことは出来ない』と思われていたでしょうが、自分は『出来なくない』と思いながら取り組んでいくうちに、手綱を使わずとも演技が出来るようになった、という感じでした」(佐藤さん)

▼見事にジャンプを決めるチッチくん

ハッピー ポニーショーの凄さ その2「それぞれのポニーで演技が違う!」

手綱を持たないポニーたちが、まるでトレーナーの言葉を聞き分けるかのように、様々な演技を行っていくのも驚かされるばかり。それは、イルカショーなどでも見られる「成果報酬型」のトレーニングを行っているからこそ。ポニーたちは演技が成功する度に、ご褒美となる餌をもらえるわけです。

また、その演技をショーとして成立させるべく、佐藤さんがポニーたちの行動を、日々の生活を共にしながら観察してきたことにもあります。

▼演技が上手くできたときのご褒美

「日々、ポニーの姿を観察しながら、ふとした動作を行った時に『それ!』と言って、きょとんとしたポニーが、同じ動作を取るまで待つこともありました」(佐藤さん)

こうして、ふとした行動を習慣化させていくだけでなく、ショーの中にも組み込めて行くほどに、演技の精度を高めていったポニーたち。その中にはお辞儀をしたり、なんと「あっかんべー」のように舌を出すポニーもいます。

その他にもまるで「バンザイ」をするかのように二本の脚で立ち上がったり、自分とそれほど高さの変わらないハードルを軽々とジャンプしていくなど、身体の大きさや性格など、個性にあった演技を見せてくれます。

▼トレーナーの指示に応じてバンザイのポースを決める

▼お辞儀をするチッチくん

▼台の上に器用に立つ小次郎くん

しかも、どのポニーがショーに出てくるのかは当日のお楽しみ。中には2頭でショーに出てくることもあるので、「今日はどのポニーがショーに出てくるのかな?」との楽しみも沸いてきます。

ハッピー ポニーショーの凄さ その3「北海道コンサドーレ札幌に所属するポニーもいる!」

そのポニーとは今年で9歳のチッチくん。ポジションはフォワードで、背番号は77番を与えられています。

競馬ファンでもある野々村芳和社長からの熱い要望を受けて、ポニーでは世界唯一のサッカーチーム所属を果たしたチッチくんですが、その、野々村社長も惚れ込んだのが、ドリブル力とシュート力。この日のショーでも鼻先を使った軽快なドリブルで、トレーナーの元にボールを運んだかと思えば、ゴールに目がけてまっすぐにひた走り、まさに身体ごとゴールポストに飛び込んで見せました。

▼シュートを決めるチッチくん

「元々は鼻先で地面を押し当てる仕草を見せていたチッチに、ボールを与えてみたらどうなるだろう? と思ったのがきっかけです。コンサドーレファンの方も温かいまなざしでチッチを見てくれていますし、今後もコンサドーレを盛り上げていけるような存在になりたいです」(佐藤さん)

フィールドの上でも、その決定力を見せてもらいたいチッチくんですが、実はまだ、その目標は叶っていません。どうやら、チッチくんにはフィールドの芝生が美味しい食べ物に見えてしまうようで、試合の応援に行く際には、いつもピッチの脇で試合を、いや、美味しそうな芝生をジッと見ているそうです。

ハッピー ポニーショーの凄さ その4「季節に応じてショーの内容が変わっていく!」

先ほどは出演するポニーによって、演技が違っているとお伝えしましたが、「ハッピー ポニーショー」ではクリスマス、ハロウィンなどのイベントに応じた特別ポニーショーが開催されています。

▼ハロウィンのイベントにて(写真提供:ノーザンホースパーク)

「ショーを見に来てくださった方を、常に喜ばせたいとの思いがありました。そう考えていた時、たまたま衣装作りの得意なスタッフがいて、ポニーに衣装を着せたらどうなるのだろう? と考えたのがきっかけです」(佐藤さん)

ハロウィンの際には仮装でショーを行っただけでなく、ノーザンホースパークで繋養されている馬たちと共に、敷地内を闊歩する「ホースパレード」も実施。特別ポニーショーは当初、限られた時期だけに行われてきましたが、好評を博したこともあり、12月はクリスマスの衣装を着用したショーがロングスパンで開催されました。

ちなみに2月9日(土)~2月11日(月)までの3日間はバレンタイン特別ポニーショーとして、バレンタインデーをテーマに、ポニーのすーちゃんと、その名もバレンタインにぴったりのチョコくんが、熱い愛のこもったショーを皆さまにお届けしてくれるようです。

ハッピー ポニーショーの凄さ その5「ポニーの賢さと向上心に気付かされる!」

ポニーの中にはトレーナーの指示が出る前に演技を行う「先読み」という行動を行うこともあるそうです。その場合はトレーナー側がショーの構成を変えたりする一方で、充分なトレーニングをして、そこでは成功した演技が本番で上手くできなかった時には、成功の経験をさせるために、ショーの中で繰り返すこともあると佐藤さんは言います。

▼バイバイをするチッチくん

「その演技が上手く出来なかったときには、その演技の元となる、更に簡単な行動を成功させてあげて、それがクリアできたら、もう少し難易度を上げていくことで、最終的には目標とする演技が行えるようしています。イルカのショーを見て、イルカが賢い動物であることが理解できるのと同様に、ショーを見て、『ポニーは思ったよりも賢いな』と思ってもらえると思います。皆さんのお越しをお待ちしています!」(佐藤さん)

その他にも、ポニーとトレーナーの信頼関係がショーの中では常に垣間見えていたり、時にはアヒルのピヨちゃんもショーに参加して、実際に「ブレーメンの音楽隊」のような世界観も披露してくれるなど、「ハッピー ポニーショー」を見る度に、ポニーの賢さとショーの「凄さ」が見つかるはず。

▼ショーの後はファンとの触れ合いも

冬期営業中となる4月9日までは、通常800円(中学生以上、小学生は400円、小学生未満は無料)の入園料も無料となっていますし、「ハッピー ポニーショー」を見るなら今ですよ!

ノーザンホースパーク
所在地:北海道苫小牧市美沢114-7
電話:0144-58-2116
営業時間:11月6日から4月9日までは10時~16時、4月15日から6月30日、9月1日~11月5日は9時~17時、7月1日から8月31日までは9時~18時
定休日:無休(4月10日から14日までは休園)
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