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広がるナショナルトラスト運動

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 2009年1月、霧多布湿原民有地の一部がNPO法人霧多布湿原トラストにより取得されま した。同じように北海道の大自然を残そうと、ナショナルトラストという動きがあり ます。ナショナルトラストとは、寄付を募って守るべき自然の土地を買い 取り、乱開発を防ぎ、自然を未来へ継承していこうという活動です。

 ナショナルトラストはイギリスが発祥地で、ピーターラビットの著者で あるビアトリクス・ポター氏が活動したことで有名です。道内でも広まり、 知床や釧路・霧多布の各湿原をはじめ10か所以上でナショナルトラスト 運動が行われています。北海道内での先駆的役割を担ったのは知床でしょう。

広がるナショナルトラスト運動

知床・100平方メートル運動の森・トラスト

 これは斜里町が行っているナショナルトラスト運動です。開拓のため入 植した人たちが土地を離れ、跡地が土地投機ブームにより不動産業者等に 渡ってしまう危機的状況から、1977年2月に当時の斜里町長が「しれとこ 100平方メートル運動」を提唱しました。

 当時は8000円一口で「しれとこで夢を買いませんか」と全国から寄付を 集めました。この運動は全国的にも注目されて寄付が集まり、1997年3月 には参加者5万人、5.2億円の寄付が集まり一応の目標を達成し終了ました。 この運動を紹介するため、町は「知床100平方メートル運動ハウス」を設置 しています。

 実は、この知床のナショナルトラスト運動が、画期的な会議を生みました。 1982年9月に知床で国内初のシンポジウムが開催され「知床アピール」採択、 現在の日本ナショナルトラスト協会が発足されるに至りました。

 「しれとこ100平方メートル運動」は目標達成されたので、今度は自然の 再生を目指す取り組みがなされています。それが1997年6月スタートの 「100平方メートル運動の森・トラスト」です。

霧多布湿原・霧多布湿原トラスト

 ラムサール条約登録湿地の霧多布湿原は周辺が民有地のため、土地を購入 し保護しようと、借り上げという形で1986年8月にナショナルトラスト運動 がスタートしました。会費は1000円です。

 当初は「霧多布湿原ファンクラブ」でしたが、2000年1月に現在の名称の NPO法人を設立しています。ナショナルトラスト目的の認定特定非営利活動 法人としては全国初の団体となりました。2009年に一度に138ヘクタールを 取得したことにより全678ヘクタールを保全、湿原の民有地では57%を取得 することになりました。

阿寒湖畔の森・前田一歩園財団

 阿寒湖畔一帯約3900ヘクタールを所有する財団。1983年4月に設立され ました。この土地は前田氏が国から払い下げを受けた土地ですが、この 全財産を新設財団に寄付する形で自然を残そうと取り組みが始まりました。ちょっと変わったタイプのナショナルトラストです。

オホーツクの村・小清水自然と語る会

 ポンヤンベツ川河口の森林伐採を防ごうということで、小清水町の農民 により1976年6月に発足しました。1981年6月28日にオホーツクの村ができ あがりました。1人10万円で出資できます。

日本野鳥の会

 日本野鳥の会は全国で野鳥保護の観点から民有地を購入し野鳥保護区と しています。石澤野鳥保護区尾幌川、渡邊野鳥保護区フレシマ、渡邊野鳥 保護区ソウサンベツ、渡邊野鳥保護区ヤウシュベツ、藤田野鳥保護区酪陽 など、寄付金の提供者の名を冠しています。全国的に見ても根室市など道 東地方に集中しています。

篠路福移湿原・カラカネイトトンボを守る会

 いまや札幌市の住宅地になっていますが、石狩川流域には湿原が広がっ ていました。埋め立てが広まり、石狩湿原の貴重な自然が失われると危惧 した人たちは、市内唯一・最後に残った篠路福移湿原の一部を購入するこ とにしました。

 2006年12月にはじめて680m2を購入、その後2008年7月までに4076m2を購 入することに成功しました。こうして、環境省レッドデータ準絶滅危惧種 に指定されているカラカネイトトンボなど貴重な動植物を守っています。

その他の主なナショナルトラスト

・釧路湿原・トラストサルン釧路
・旭山の森・日本ナショナルトラスト協会
・平取町二風谷・チコロナイ
・真駒内芸術の森緑の回廊基金
・白老町ウヨロ川・ウヨロ環境トラスト
・釧路市音別キナシベツ・キナシベツ湿原を愛する会

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