トピックス

わざわざ電柱を移設し美しい景観を実現。倶知安町八幡ビューポイント

北海道は、自然豊かで広大な風景が楽しめる観光地として人気があります。整備された場所以外、例えば移動する道中でも絶えず魅力的な景色が車窓から見え、異国を旅しているという気持ちになるため、人気に輪をかけているのでしょう。

旅の思い出にと、綺麗な景色を写真に収めようとするわけですが、眺望の良い場所であっても電柱や電線が邪魔だと感じると一気に興醒めしてしまいます。せっかく訪れたその場所のことを自分の記憶に止めようと思いませんし、写真を撮ることもしないため、訪れたことすら忘れられていくことでしょう。

メンテナンスやコストなど様々な要因があって、その場に設置された電柱や電線が悪いわけではありませんが、今一度、考えてみる必要があるのではないでしょうか。

そのような電柱や電線が景観を悪くしているという理由から、電柱を移設した駐車場があります。倶知安町の国道276号線沿いにある、八幡ビューポイントパーキングです。

▼国道沿いへ電柱を移設した八幡ビューポイントパーキング
わざわざ電柱を移設し美しい景観を実現。倶知安町八幡ビューポイント

無電柱化の取り組み

「無電柱化」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。国土交通省が推進する「無電柱化」の取り組みは、1986年(昭和61年)から計画名は変わるものの、現在も続いています。電線の地中化や裏配線といった方法をとり、電柱をなくし、震災等での道路の防災性の向上や、通行空間の確保、さらには良好な景観形成を目指したものです。

今回の倶知安町八幡ビューポイントパーキングの「電線見えない化」は、この事業とは別で北海道開発局小樽開発建設部、電線管理者、地域との連携により実施され、シーニックバイウェイ北海道の取り組みにより実現した道内初の事例とのことです。

地域と行政が連携し、実現した美しい景観。

今回の「電線見えない化」に関して国土交通省北海道開発局の上村様にお話を伺いました。

八幡ビューポイントパーキングの電柱の移設は、地域と行政が連携し、地域の個性や魅力ある美しい環境作りを目指す活動をしている組織、シーニックバイウェイ北海道の地元の活動団体(ニセコ羊蹄エリア活動団体)が2003年(平成15年)に発案。北海道開発局小樽開発建設部と共に道路景観診断を実施し、駐車場からの羊蹄山の景観を電柱、電線が阻害していることを確認しました。

その後、電線管理者との協議を続け、2017年(平成29年)8月に電柱の老朽化のための更新工事に併せて電柱の移設が行われたとのことです。

わざわざ電柱を移設し美しい景観を実現。倶知安町八幡ビューポイント

▼移設前(写真提供、北海道開発局)
わざわざ電柱を移設し美しい景観を実現。倶知安町八幡ビューポイント

わざわざ電柱を移設し美しい景観を実現。倶知安町八幡ビューポイント

▼移設後(写真提供、北海道開発局)
わざわざ電柱を移設し美しい景観を実現。倶知安町八幡ビューポイント

わざわざ電柱を移設し美しい景観を実現。倶知安町八幡ビューポイント

2017年(平成29年)9月、当初あった場所から国道沿いへ電柱の移設が完了。9月10日にはWAOニセコ羊蹄再発見の会や倶知安町等により、駐車場内のデッキテーブルのリニューアルや新設を行い、さらに快適に利用しやすくなっています。

▼八幡ビューポイントパーキングから見える現在(冬)の景色
わざわざ電柱を移設し美しい景観を実現。倶知安町八幡ビューポイント

わざわざ電柱を移設し美しい景観を実現。倶知安町八幡ビューポイント

景観を生かすという意識

ほかに事例はないのかとお聞きしたところ、留萌郡小平町の道の駅「おびら鰊番屋」でも行われていました。新たな施設等を整備する際、海側の眺望を生かすために裏配線という形をとったようですが、景観を生かすためだけに電柱を移設したのは倶知安町八幡ビューポイントパーキングが初めてとのことでした。

経緯を聞くと発案から14年もの時間がかかっていますが、移設コスト等を考えると、すぐにとはいかないことがわかります。今回の移設も電柱の老朽化というタイミングもあったものの、多くの方の努力や熱意があったからこそ実現できたことでしょう。

忙しい毎日を過ごしていると、自然豊かで魅力的な景観を持つ北海道に暮らしていることをついつい忘れがち。そのことを日ごろから意識し、未来へ美しい景観を創っていこうとする熱意が、時間がかかっても良い方向へ動きだすものだと感じました。

そう考えると、道内にはまだまだ改善するべきポイントは多くあると思います。この事例を参考に「電線見えない化」が進むことと、北海道全体の景観について少しでも皆の意識が向くことを願います。

筆者について

中瀬りあの

中瀬りあの

スポーツ万能インドア派を目指してきて、はや40代。アウトドアスポーツは何でも挑戦。インドアでは世代的にゲーム好き。(どちらも上手くはない)子供のように何にでも興味はある。