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廃止決定でも前を向いて。JR石勝線夕張支線と盛り上げ図る夕張市民

2019年4月1日に廃止されることが決定している、JR北海道石勝線夕張支線。北海道ファンマガジンでは、10月の連載テーマにこの「夕張支線」を取り上げています。

第3回目の今回は「夕張支線と市民」。実際にこの地に住み、夕張支線を利用してきた人々にお話を伺い、夕張支線と市民との関わりにスポットを当てます。取材にご協力いただいたのは、「NPO法人ゆうばり観光協会」と「ありがとう夕張支線実行委員会」。団体貸切列車の情報もあるので、鉄道ファン必見ですよ!

財政破綻から10年以上を経た今

まずはNPO法人ゆうばり観光協会の理事長である多喜雄基さんにお話を伺いました。夕張支線の廃止が決定して、現在の率直な気持ちはどうなのでしょうか。

「いよいよここまで来たか、来るところまで来たか、という気持ちです。夕張市が財政破綻した時の人口が約1万4,000人だったのが、それから約10年を経た現在、人口は8,000人にまで減っています。正直、6,000人くらいになったら廃止かなと思っていたので、自分が予想していたよりは早かったですね」

それでも遅かれ早かれ2~3年後には同じことになっていたでしょうけどねと、サバサバした様子で話す多喜さん。

▼夕張市の人口は減少の一途
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では、夕張支線が廃止された後、どんな影響が考えられるでしょう。

「バスは運行しますが、当然のことながら電車とバスの運行時間は違うので、しばらくは混乱するかもしれません。仕事に間に合わないと心配している人も、結構いますね」(多喜さん)

地元の人にとっては重要な「足」だった夕張支線。やはり廃止による日常生活への影響は、既に見え隠れしているようです。

▼新夕張駅はそのまま継続される
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最後に、廃止前や廃止後に何かやってみたいことはないかとお伺いしたところ、多喜さんの顔がパッと輝きました。

「夕張支線があったことを残すような、廃線の記念になるような何かがあればいいですね。たとえば、夕張支線の終着地点にSLを持ってくるとか。バッジや記念切手を販売するのも、鉄道ファンに喜ばれるかも」(多喜さん)

廃止が決定事項なら、せめて目に見える何かで夕張支線の痕跡を残したいというのは、地元民に共通する思いなのかもしれません。

廃止決定でも前を向いて。JR石勝線夕張支線と盛り上げ図る夕張市民

廃止までの1年間をイベントで盛り上げる!

一方、夕張支線が廃止されるまでの1年間をイベント期間としてとらえ、盛り上げようと、2018年4月1日に発足したのが「ありがとう夕張支線実行委員会」です。前出の観光協会を含め、市内の飲食店や事業者などの民間団体が中心となって活動しています。まずは、夕張支線の各駅にのぼりを立てました。

▼清水沢駅に立てられたのぼり(写真提供:ありがとう夕張支線実行委員会)
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のぼりには、あえて「夕張始まる。」と記載し、これからが新しい夕張のはじまりであることを感じさせます。また、札幌、新千歳、夕張の位置関係も地図で示され、意外と近いことをアピールしています。

さらに実行委員会では、各駅で歴史年表やミニ写真展などを展示する他「ファイナルイヤーフォトコンテスト」も開催。コンテスト第1期は盛況のうちに終了しましたが、第2期の募集期間も始まっているので、気になる人は公式サイトをチェックしてみてください。

▼ポスター(B2サイズ・1350円)(写真提供:ありがとう夕張支線実行委員会)
廃止決定でも前を向いて。JR石勝線夕張支線と盛り上げ図る夕張市民

記念グッズも製作しました。なんと、漫画家松本零士さんによる、夕張支線ラストラン告知ポスター、そしてイラストをあしらったクリアファイルです。ホテルマウントレースイ2階の売店にて販売中で、在庫がなくなり次第販売終了ということなので、欲しい人は夕張駅近くのホテルマウントレースイへ急いでください。

▼クリアファイル(700円)(写真提供:ありがとう夕張支線実行委員会)
廃止決定でも前を向いて。JR石勝線夕張支線と盛り上げ図る夕張市民

そして実行委員会が仕掛ける最大のイベントのひとつが、団体貸切列車の運行です。夕張支線が生まれたのは1892(明治25)年11月1日。今年、実に126回目の誕生日を迎える夕張支線、そしてこれが最後の誕生日となることを記念して、11月3日(土)に団体臨時列車が運行されることが決定しました。

当日は車内にて乗車証明書が配布される他、記念弁当なども販売される予定。料金の振込期日は10月25日と迫っているので、こちらも参加希望者は急いでありがとう夕張支線実行委員会の公式サイトをチェックしてください。

最後に、実行委員会の林幹翁さんにお話を伺ったところ、返ってきた答えはしっかりと現実を見据え、前を向いたものでした。

「夕張支線が廃止されるのは仕方のないこと。それならば、新夕張駅から代替バスをいかに連携させるか、いかに観光客も使いやすいようにするか、考える必要があると思います。今後の課題は、まだまだたくさんあるはずなのです」(林さん)

廃止決定でも前を向いて。JR石勝線夕張支線と盛り上げ図る夕張市民

取材協力
NPO法人ゆうばり観光協会
ありがとう夕張支線実行委員会

筆者について

石簾マサ

石簾マサ

すべてのしがらみを捨て札幌で永住するぞ……と移住してきた50代のおっさんライター。札幌楽し~い。移住者が見た札幌の楽しさ・良さを伝えていければ……と思っております。【編集部専属ライター】