札幌市中心部の百貨店(デパート)事情


丸井さんと呼ばれて親しまれている丸井今井札幌本店

2009年、ススキノの顔ともいえる百貨店「ロビンソン」が閉店、丸井さんと呼ばれ親しまれてきた「丸井今井」が経営破綻、西武の撤退方針。札幌市中心部のデパート業界が2000年代に入ってめまぐるしく変わりましたが、その歴史を振り返りましょう。

一番最初のデパートは?

 札幌中心部のデパート(百貨店)は、昭和初期当時札幌の中心となっていた4丁目十字街が原点となりました。この交差点を中心としてデパートなど商業施設が集中してオープンしました。

 1906年に札幌初(道内初)の百貨店として札幌興農園(後に五番舘)、1916年に丸井今井百貨店札幌本店、1932年に札幌三越がオープン。これら3つの百貨店は当時の「三大デパート」であり、それぞれ現在は「札幌西武」「丸井今井」「三越札幌店」になっています。当時は「三越は見る店、丸井は遊ぶ店、五番館は買う店」と揶揄されました。

 その後、札幌駅4代目駅舎開業(10月14日)に伴い、1952年10月26日、駅地下に「ステーションデパート」がオープンし、これをあわせて4大デパートと呼ばれました。しかしこれは、札幌駅再開発に伴い、1999年10月にAPIAに変更されました。


札幌駅直結の大丸札幌店

大丸進出により変化が生じた

 札幌駅の再開発に伴って、2003年3月6日、JRタワー、ステラプレイス、核店舗となる大丸札幌店がオープン。これにより、人の流れが大きく変わりました。それ以前は、大通南部(南1条以南)の商業エリアの丸井今井、三越などのデパートを中心としていました(大通を境として南は商業エリア、北は行政エリアとおおまかに分けることができます)。

 しかし、札幌駅前に巨大な商業施設「大丸・ステラプレイス」がオープンすることにより、アクセス・交通の便が良い札幌駅前にシフトしていきました。人の流れは完全に変わり、大通以南の商業は厳しいものとなりました。

 こんにちでは大丸、丸井今井、三越を札幌三大デパートといえるでしょうが、2009年1月に丸井今井が経営破綻しました。大丸札幌店は売上高ランキングで次々と上位百貨店を抜き去り2009年はじめに首位に躍り出ました。


2009年に閉店したすすきのの顔、ロビンソン百貨店

札幌市中心部の主要百貨店


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大丸札幌店

札幌市中央区北5条西4丁目7番地
地下4階・地上8階(地下2~4階は駐車場)
面積は道内最大45000m2


2003年3月6日:オープン


※2006年の売上高は道内百貨店で第2位、2009年1月にはじめて首位浮上。JR札幌駅、札幌市営地下鉄南北線さっぽろ駅直結。日本百貨店協会札幌地区会員。

丸井今井札幌本店

札幌市中央区南1条西2丁目
地下2階・地上最大11階
大通館と一条館と南館あわせて面積44064m2


1872年:創業
1874年:丸井今井呉服店オープン
1916年10月1日:丸井今井百貨店オープン
1975年:札幌本店大通館オープン
1998年:拓銀破綻により経営再建計画
2002年:長崎屋札幌店跡地が本館南館としてオープン
2005年:伊勢丹支援
2009年1月29日:経営破綻、民事再生法適用申請、負債額約502億円は道内百貨店倒産では過去最大


※札幌本店に限っての売上高は道内百貨店のトップ(2003年・2006年)、2009年1月にはじめて首位を大丸に明け渡す。道内最大手の老舗
百貨店として知られるほか高級百貨店のイメージが強い。通称:丸井さん。日本百貨店協会札幌地区会員。2009年2月6日、経済産業省が丸井今井本店を近代化産業遺産に認定した。

三越札幌店

札幌市中央区南1条西3丁目8
地下2階・地上10階
面積26000m2


1932年5月:札幌三越オープン


※2000年の売上高は道内百貨店で第2位、2006年は第3位。日本百貨店協会札幌地区会員。

さっぽろ東急百貨店(東急百貨店さっぽろ店)

札幌市中央区北4条西2丁目
地下3階・地上10階(地下2・3階は駐車場)
面積30084m2。


1973年10月5日:オープン


※2000年の売上高は道内百貨店で第3位、2006年は第4位。札幌駅にほど近い。日本百貨店協会札幌地区会員。

札幌西武百貨店(SEIBU)

札幌市中央区北4条西3丁目
地下2階・地上8階(ロフト館は7階)
面積25008m2


1893年:農機具関連業として創業
1906年:札幌興農園百貨店開業(名前の由来は電話番号が5だったことから)
1912年:五番舘としてオープン
1990年:五番舘西武(五番舘SEIBU)へ改称
1997年:札幌西武へ改称
2009年9月30日:閉店


※2006年の売上高は道内百貨店で第5位。日本百貨店協会札幌地区会員。1906年オープンは札幌初のデパートである。2009年9月30日、百年以上の歴史を持つ札幌西武およびロフトは閉店。

丸ヨ池内(IKEUCHI札幌)

札幌市中央区南1条西2丁目18番地
地下1階・地上8階
面積6417m2


1893年:池内金物店創業
1949年:貸しビル営業スタート
1965年4月10日:百貨店営業スタート
1973年:新館オープン


※日本百貨店協会札幌地区会員

ロビンソン百貨店(閉店)

札幌市中央区南4条西4丁目1番地
地下2階・地上8階(3階以上は専門店街ラフィラ、7・8階はレストラン街)
面積25458m2


1974年6月8日:札幌松坂屋がオープン
1979年4月:「ヨークマツザカヤ」へ改称
1994年3月:「ロビンソン」へ改称しリニューアルオープン
2009年1月18日:閉店


※ススキノの顔であった百貨店。札幌市電すすきの駅前、札幌市営地下鉄南北線すすきの駅直結。後継にはイトーヨーカ堂が地下食品売り場に、地上部分はアインファーマシーズの女性向け化粧品のドラッグストア「アインズ&トルペ」。日本百貨店協会札幌地区会員

札幌そごう(閉店)

札幌市中央区北5条西2丁目
地下2階・地上10階(1階はバスターミナル)


1978年9月1日:オープン
2000年12月31日:閉店


※2000年の売上高は道内百貨店で第4位。後継には札幌エスタ(エスタ大食品街)、2001年7月、1~6階に道内初のビックカメラオープン、2004年10月、10階に札幌ら~めん共和国オープン

ステーションデパート(閉店)

札幌駅地下


1952年10月26日:オープン
1999年10月:閉店


※後継はAPIA

サンデパート(閉店)

地下2階・地上9階


1962年11月:オープン
1983年12月:閉店


※後継は旧YESそうご電器、2002年にドン・キホーテ札幌店・ゲオが入居。道内初のエスカレーター設置デパートである

札幌市中心部以外の主要百貨店

札幌市(新札幌): カテプリ(旧プランタン)
旭川市: 丸井今井旭川店(2009年7月20日閉店)、旭川西武
函館市: 丸井今井函館店、棒二森屋(中合棒二森屋店)、函館西武(2003年8月10日閉店)
室蘭市: 丸井今井室蘭店(2010年1月31日閉店)
帯広市: 藤丸

※以下、完全撤退の都市(デパートゼロ)
苫小牧市: 鶴丸(2002年10月31日閉店)、丸井今井苫小牧店(2005年10月23日閉店)
小樽市: 小樽ビブレ(2002年8月31日閉店)、丸井今井小樽店(2005年10月23日閉店)
釧路市: 丸井今井釧路店(2006年8月20日閉店)
北見市: きたみ東急百貨店(2007年10月31日閉店)