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サッポロバレー

 全国的にも注目されてきたので、ご存知の方もいるでしょう。これは、 札幌市のバレーボールではありません。分からない方は、学校で勉強した ことのあるシリコンバレーという言葉から入っていただくと分かりやすい かと思われます。今回はそんな北海道経済の一面を紹介。

サッポロバレーとは?

 シリコンバレーとは、米国カリフォルニア州北部サンフランシスコ湾南 岸にある情報産業の先端企業集積地帯のこと。同じような地域、いわば日 本版シリコンバレーが全国各地にあります。道内にもあり、それが「サッ ポロバレー」というわけ。

 サッポロバレーはその名の通り、札幌市にコンピューターソフト開発企 業やシステム開発企業が集積していることを指して用いられる言葉ですが、 主に札幌駅北口から北大にかけてと札幌テクノパークが舞台になりました。

サッポロバレーヒストリー

 はじまりは産学連携が多くなってきた1976年(マイクロコンピュータ普及 期でもある)。サッポロバレー生みの親といわれるある北大教授が「北大マ イコン(マイクロコンピュータ)研究会」を設立したことに端を発します。 このマイコン研究会から、後に起業しIT関連ベンチャー企業経営者となる 学生たちが巣立っていきました。

 そうした若いベンチャー企業を行政側が後押ししました。都市型先端産 業振興に意欲的だった札幌市が、1983年5月にIT企業の工業団地造成という インフラ整備計画を始めました。それが現在の札幌市東部にある厚別区住 宅街のはずれにある「札幌テクノパーク」です。1985年に造成・着工し、 1986年4月から分譲を開始、平成元年までに一応完成しました。

 これで終わったわけではありません。パソコンやインターネットが一般 家庭に普及し始めた1990年代には、テクノパークから派生した多くのIT関 連企業が誕生してきました。この時期の企業は主に札幌駅北口~北大のエ リアに自然と集積し始めました。ここに集まった理由は、比較的オフィス ビルの賃料が安かったし交通アクセスも良かったから。このエリアを「北 口ソフト回廊」と呼びます。

 サッポロバレーと名づけられたのは、ピークとなった2000年といわれて います。2000年には300社2000億円の売上を計上しました。近年も2003年 8月に「さっぽろベンチャー創出特区」として認定され、行政側の支援も 行われています。いまや、道内のIT産業の8割が札幌市内というほど集中 しています。

サッポロバレーの特徴とは?

 北大の学生たちは全国から集まっています。卒業して札幌で仕事をした くても、技術を生かせる会社があまりない、仕事があまりない。というこ とで自分で会社を立ち上げていったという背景があったようです。北海道 を特徴付けるフロンティア精神にも似たところがあります。また、スキル (技術)面は特にしっかりしていて、アプリケーション(ソフトウェア)開発 に秀でています。

 ほかにも、自由でオープン、企業間競争とは別に、企業間の知り合いの 人脈を生かしての横のつながりがあるのも特徴。2000年には札幌駅北口側 に彼らの拠点ともいえるビジネスカフェ「札幌BizCafe」を設立し、北大や 行政側とも交流できるようにしている(産学官連携という)のはほかにあま り例がなく、サッポロバレー最大の特徴といえるでしょう。

サッポロバレーで生まれた主なITベンチャー企業たち
・BUG(1977年創設、本社札幌、サッポロバレーITベンチャー企業の先駆け)
・デービーソフト(1980年設立、現在無活動、ゲーム・ソフトメーカー)
  ・アジェンダ(1990年設立、本社札幌、ソフト宛名職人で有名)
  ・データクラフト(1991年設立、本社札幌、写真素材の素材辞典で有名)
・ハドソン(1984年設立、本社東京、ゲームメーカー)
・ソフトフロント(1997年設立、本社東京&札幌、VoIPで日本を代表する)
・オープンループ(1997年設立、本社札幌、暗号セキュリティ)

北海道経済のその他の工業集積地帯

 サッポロバレーは札幌市の情報産業企業の集積でしたが、「e-シルクロ ード」構想(2001年~)もあります。これは札幌から始まり、韓国ソウル、 中国上海、香港、台湾、シンガポール、インドバンガロールなどアジア各 都市をIT産業(など)でつなぐもの。

 北海道経済の中心地域としているのは「道央ベルト」と呼ばれる地帯。 国内にある太平洋ベルトなど主要工業地帯にちなんで、北海道の工業地帯、 いわば「ベルト」となっているのは、小樽や石狩市石狩湾新港から、札幌 を経て恵庭、千歳、苫小牧、室蘭市室蘭港までの地帯を指します。地図上 で見ると「J」の字に似ていることから「Jベルト」とも言われます。

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