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「失楽園」「愛ルケ」の作家渡辺淳一氏

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 「光と影」「失楽園」、最近では「愛の流刑地(愛ルケ)」が人気の道内 出身作家、渡辺淳一氏。1933年10月24日生まれ、空知管内上砂川町出身で、 高校・大学など学生時代を札幌市で過ごしました。

「失楽園」「愛ルケ」の作家渡辺淳一氏

医学の人から作家の人へ!

 小説家として有名ですが、医学博士。札幌医科大学医学部を卒業(1958年) すると、1960年代には同大学で助手として、また、整形外科教室講師とし て働いていたという、医学の人でした。

 その一方で、在学中から作家としての道も歩み始めました。同人誌には 数々の小説を発表しており、医科大学勤務中で30代になった1965年、「死 化粧」で新潮同人雑誌賞を受賞します。この小説は主人公の医師が母の手 術に立会うという、医療ストーリー。

 この大学で実際に行われた日本で始めての心臓移植手術(1968年)直後に 大学を去り上京、1969年3月、この手術を題材にしたドキュメント小説「小 説・心臓移植(後の白い宴)」を発表します。本格的に作家として活躍する ようになる転換点ともいえる出来事でした。

 1970年、「光と影」は第63回直木賞を受賞。その後も、「遠き落日」と 「長崎ロシア遊女館」で吉川英治文学賞を受賞(1979年)、「静寂の声~」 で文藝春秋読者賞受賞(1983年)し、2003年には各分野の功労者に与えられ る紫綬褒章(しじゅほうしょう)や菊池寛賞も授与した、まさに近現代日本 を代表する作家の一人です。

代表作!「失楽園」から「愛ルケ」まで

 受賞した作品のほかに、話題となった作品は数多くあり、中には映画化 されたものまであります。上述の通り、初期の作品には医学作品が多くあ りましたが、他に伝記的小説、男女の愛と性を過激に描写した恋愛小説が あります。

 「失楽園」。1997年の流行語大賞を受賞したほどの人気振りでした。日 本経済新聞に連載されたわけですが、連載中から話題騒然となります。内 容は、一言で言うなら不倫。失楽園は、同年に黒木瞳さんなどを主要キャ ストに迎え映画化されたほか、同年夏季の連続テレビドラマ(月曜22:00)で は最終回で27%という視聴率を獲得し、社会現象になりました。

 原作「無影燈」をもとにしたテレビドラマ「白い影」。1973年と2001年 の2回放送されました。ある町の病院で働く外科医と看護士の恋物語。「エ ・アロール それがどうしたの」は2003年にテレビドラマ化されました。高 級高齢者住宅「ヴィラ・エ・アロール」に入居する老人たちのお話。他に 「くれなゐ」は1998年にテレビドラマ化、「麻酔」は1994年にテレビドラ マ化されています。

 「リラ冷えの街」は札幌を舞台にした愛の物語ですが、北海道用語「リ ラ冷え」が広まるきかっけになった作品です。「阿寒に果つ」は阿寒湖付 近で自殺した天才少女画家をめぐるお話。この少女は高校時代の同級生が モデルだそうです。1985年「化身」も話題となりました。

 2004年11月から2006年1月にかけて日本経済新聞に連載され、2006年に出 版された超話題作にして問題作といわれるのが「愛の流刑地」「愛ルケ」 と略されて親しまれる同作品は、55歳になる一人暮らしの小説家と人妻と の過激な愛を描いたもの。2007年1月映画化(R-15指定)のほか、春にはドラ マ化も予定されています。

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