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越冬キャベツ発祥地は和寒町

 キャベツの生産量や作付面積は、北海道は圧倒的に多いというわけでは ありません。作付面積では1770haで全国5位です(2004年)。冬キャベツや春 キャベツは10位以内に入らず、しかし夏秋キャベツでは1470haで全国2位と いうランキングになっています。道内は夏秋キャベツが多く、冬季は道外 産キャベツに頼る状況です。

 道内市町村別では、伊達市が最大のキャベツ産地。十勝管内鹿追町など に続いて上川管内和寒町が登場します。道内随一のキャベツ産地ではない ものの、和寒町はある面でキャベツに革命を起こした地でもあります。

越冬キャベツの発祥地・和寒町

 上川管内和寒町は名寄盆地に位置する農業の町。実はカボチャ生産量が 日本一。しかし隠れた名産品として名高いのが越冬キャベツなるものです。 読んで字のごとく、冬季に収穫されるキャベツです。

 越冬キャベツとは、冬が到来し雪が積もる前にキャベツの根を切り、並 べて放置しておく、そして真冬の11月から遅くとも4月までに雪の中から ショベルカーなどを利用して掘り起こして収穫するという方式のキャベツ です。

 和寒町では道内のキャベツ産地で主流の夏秋キャベツはあまり生産して いません。町内の9割は冬キャベツの出荷量です。そして和寒町を中心に 道内最大の冬キャベツ産地ともなっています。

 雪の積もる道内では本来、野菜生産は難しいのですが、そんな中にあっ てキャベツを生産できるようになったのはなぜでしょう。実は和寒町で そのことが偶然に発見され、品種開発がなされてきました。

越冬キャベツの始まり

 その事実が発覚したのは1968年の冬から1969年の春にかけて。秋キャベ ツの価格が大暴落した年に、収穫されず畑に置かれたままになっていたキ ャベツが、冬を越して春になってみてあらびっくり、なんと普通のキャベ ツのままであった、しかも甘さが増していた……というのがはじまり。

 折りしも、1969年は逆に野菜不足になり、市場では高値で売られました。 さらに、ちょうどそのあと減反政策が行われたことで、和寒町でも例外で はなく稲作から畑作への転換が求められました。こうしたことがあいまっ て、数件の越冬キャベツ栽培推進農家が一致団結して越冬キャベツ普及の 立役者となったのでした。

おいしい越冬キャベツ

 偶然の所産とはいえ、メリットが多いのが特徴です。鮮度を保つことが できるだけでなく、糖度があがって旨みが増します。それはキャベツ自身 が凍結しないように糖度をあげ、タンパク質がアミノ酸に変化させるため だそうです。中には通常のキャベツの約2倍の糖度があるものもあります。

 外は氷点下で厳寒の地なのですが、不思議なことに雪の中ではかちんこ ちんには凍りません。つまり天然の冷蔵庫なのです。土壌と雪の間の温度 や湿度がキャベツ保存に最適なようです。

 越冬キャベツの代表種は年明け出荷用「冬駒」で、ほかに年内出荷用 「胡月」など、合計10種類ほどあるとされています。町内ではこの越冬キ ャベツを使って様々な商品を作り出してきました。「越冬キャベツラーメ ン」「越冬キャベツプリン」などなど。

 1972年には国の産地指定を受け、北海道遺産第2次候補にも選ばれま した(惜しくも選定されず)。道内の新聞やテレビでも旬の情報として、 季節を感じさせるニュースとして取り上げられます。

補足:南幌の特産品もキャベツ

 空知管内南幌町は、町のイメージキャラクターをキャベツでできた「キ ャベッチくん」とするキャベツ産地の代表。キャベツ天丼、特産品のキャ ベツキムチなんかは地元では有名。町内には、単一農場としては国内最大 のキャベツ畑を擁する有限会社job(ジョブ)もあったりします。

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