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普通の冬キャベツと何が違う?和寒町「越冬キャベツ」が特別なわけ。

「越冬キャベツ」を商品にするための課題

キャベツは越冬できるとは言っても、安定供給が可能な「商品」とするためには、そして「越冬キャベツ」が商標として認められるまでには、乗り越えるべき課題がいくつもあったようです。市場に売り出し、お馴染みの食材とするためには、収穫量、収穫法、貯蔵法などさまざまな条件が高レベルで整わなければなりません。

このブランド確立までの道のりはキャベツ部会総員の努力ですが、町をあげて良いものを作り、ブランドを盛り立てるためには、当然、農家さんそれぞれの努力が必要です。

▼ユンボで慎重に雪をはがしながら、雪中のキャベツを探す
普通の冬キャベツと何が違う?和寒町「越冬キャベツ」が特別なわけ。

佐藤ファームさんでは、はじめクレーンのあるユンボではなく除雪車を利用して収穫をしていたので、非常に大変だったと言います。作業に適した機材でなければ、収穫の手間はけた違い。

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雪中からキャベツを掘り出すと、一つひとつ拾い上げ、外側の不要な葉(おにっ葉)を剥いてから鉄製のコンテナへ。重ければひとつ3㎏ほどになるキャベツを積んでいく作業は、楽ではありません。

▼傷つけないよう、一つひとつ手作業
普通の冬キャベツと何が違う?和寒町「越冬キャベツ」が特別なわけ。

冬の収穫作業は過酷ですが、和寒町の地の利が上手に働いていることは間違いないようです。

和寒町では上質なパウダースノーが降り積もるという点も「越冬キャベツ」には重要なポイント。雪は軽く、通気性もほど良く、確実に深く積もる。雪が足りなければもちろん「越冬キャベツ」はできませんし、雪が重ければキャベツに負担がかかり、腐れが出る可能性も高く、収穫も大変です。

カボチャの倉庫も役に立った

和寒のカボチャの生産地としての面も「越冬キャベツ」を生み出すには重要でした。もともとカボチャの作付け面積が一位の和寒町では、「越冬キャベツ」を適切に保存、出荷するにあたって必要な倉庫がはじめから整っていた農家さんが多かったという背景があります。

せっかく収穫したキャベツが室内で凍ってしまっては仕方ありません。冬場は0度以下が当たり前の北海道では、雪中よりもむしろ室内の保温能力に気を使わなければならないのです。

「それでも、少し倉庫の吹き付けを厚くする必要はあった」「一からキャベツのために倉庫を拵えるのはけっこう大変なんじゃないかな」と佐藤さんは言います。「冬キャベツは雪に埋めればできるけど、誰でもすぐにできるものじゃないよね」。

▼倉庫の様子。ピーク時は、ここにコンテナ一杯のキャベツが15基近く並ぶ
普通の冬キャベツと何が違う?和寒町「越冬キャベツ」が特別なわけ。

特別じゃないけど特別な越冬キャベツ

冬キャベツは決して特別なものではありません。工夫次第では、ご家庭でも雪の下に一定期間保管し、甘みが増す美味しい冬キャベツを作ることが可能でしょう。しかし、和寒町の「越冬キャベツ」を作るには、様々な条件が揃っている必要がありました。

普通の冬キャベツと何が違う?和寒町「越冬キャベツ」が特別なわけ。

お馴染みの冬の味覚として、「越冬キャベツ」が私たちの食卓にあがるまでには、数々の偶然と各農家さんの工夫がありました。

冬キャベツはどれも一緒と思うかもしれません。しかし、もし試したことがないのであれば、時間をかけて実を結んだ和寒町の安心ブランドにして元祖の風格を保ち続ける「越冬キャベツ」を召しあがってみてはいかがでしょうか。

取材協力
佐藤ファーム
所在地:北海道上川郡和寒町大成20
電話・FAX:0165-32-3628
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筆者について

ツカダカズシ

ツカダカズシ

北海道士別市朝日町出身。ふるさとで引きこもりながら文芸友達を作るべく、公開・共有型の書斎作りと私設図書館作りを行っている。
創作合宿をするのが直近の夢。