主力はリンゴのお菓子!砂川の菓子店「ほんだ」がリンゴを選んだ理由

毎月「すながわスイートロード」のお菓子屋さんを一店ずつ紹介していくこのコーナー、第2回目はリンゴのお菓子で有名な「お菓子のほんだ」(以降ほんだ)です。

たくさんあるお菓子の素材の中から、なぜリンゴを選んだのか、なぜすながわスイートロード協議会に加盟したのか、気になるあれこれをお聞きしてきました。

アメリカへの視察旅行が転換機に

ほんだのはじまりは1949年(昭和24年)。砂川の炭鉱で働く人々に、仕入れてきたお菓子を売る菓子店を開きました。順調に売り上げを伸ばし、1957年(昭和32年)には法人化することに。

その後、多少の波はあったものの業績を伸ばしていったほんだですが、平成に入ってから売り上げが減少し、低迷する時代が続きました。 そんなほんだが大きく変わったのは1998年(平成10年)になってからでした。

▼話をしてくださった三代目店主の本田啓輔さん(写真提供:ほんだ菓子司)

1995年(平成7年)にアメリカに視察に行った前店主(現在の会長)は、大手スーパーも、個人商店も、どちらも流行っていることに驚きました。個人商店は、大手スーパーよりも価格が倍以上も高いのにきちんと売り上げがある。

調べてみると、すべての商品をオーガニックで揃えたり、特化した品揃えにこだわっていたり、大手スーパーとは違う、その店オリジナルの取り組みをしていることに気づきました。

「うちの店は『ほんだ』という看板を掲げているけど、単にお菓子を売っているだけでまったく独自性がない、看板が変わってもお客さんは気づかないんじゃないか」と思ったのだそう。

ちょうど同じ頃、商品にならないリンゴをお菓子作りに利用する機会がありました。当時は、砂川だけでなく滝川や深川でもリンゴを作っている農家が多く、形が悪い、傷が付いているなど、リンゴそのものとしては売れないものがたくさん余っていたのです。

▼主力商品をリンゴに絞った「ほんだ」

そうしたリンゴを使って作ったお菓子はなかなかのヒット商品に。そこでリンゴのお菓子の種類を増やしたところ、さらに売り上げが伸びました。お客さんからも「ほんださんってリンゴのお菓子がたくさんあっていいね」と好意的な意見がいくつか寄せられたこともあり、リンゴのお菓子を主力商品として作るようになったというわけです。

現在「ほんだ」では、青森産の紅玉を使っています。いろいろ試してみたところ、酸味が強く、加工したあとにリンゴの味がぼけずに残るのが紅玉だったそう。そこで紅玉を使い出したのですが、北海道では紅玉を作っている農家が少なく、商品化するほど入手できないことがわかりました。それが青森産のリンゴを使っている理由です。

ただ、この先は北海道産の紅玉でやりたいと思っていて、どこかで紅玉を作ってくれるところがないか、作れないかと探しているところなのだそうです。

▼店内に一歩入ると目移りしていまいそう

「すながわスイートロード」協議会へ参加したいきさつも聞いてみました。「すながわスイートロード」協議会が発足したのは前店主時代のこと。砂川菓子組合の会長をしていた前店主は「行政が主導してコントロールされるのは困る」ということで最初は反対していたのだそうです。

しかし「行政は裏側にまわりお店をサポートする役割で、主役はお菓子屋さんだ」という行政側からの説明を受け、さらにスイートロードの「スイート」には「甘い」、「お菓子」という意味以外に「優しさ」が含まれるということを知り、すながわスイートロード協議会に加盟。2002年にすながわスイートロード協議会が発足したときには納得して加盟していました。

苦労の末に生み出された人気商品の数々

ここで「ほんだ」の人気のお菓子を紹介しておきましょう。

林檎ロマン

サブレでリンゴの入ったホワイトチョコクリームを挟んだシンプルなお菓子です。発売して5~6年経ちますがいまだにいちばん人気を誇るお菓子です。開発するのに3年かかった苦心の末の自信作だそうです。中に挟んだホワイトチョコはほんだオリジナルで、砂糖や粉乳もすべて道産のものを利用しています。140円(税込)

笑福(えみ)どら

小麦粉を使わず米粉を使って作ったどら焼きです。生地がモチモチしていて、中に入っている自家製あん(本別町産の大納言あずき)との相性も抜群で、大人気の商品です。小麦粉を単に米粉に変えただけではこの食感は達成できませんでした。仕込み方、寝かせ方、砂糖の量など、試行錯誤を繰り返して作られたお菓子です。140円(税込)

北海道とうきびポンスナック「ポンタベール」

シリアルやコーンスターチの原料にもなっている飼料用のトウモロコシを使ったポン菓子です。飼料用のトウモロコシはこれまで北海道でほとんど生産されていなかったので、加工施設もありませんでした。しかし、JAそらち南が北海道立総合研究機構(道総研)の技術協力を得て供給事業を開始。ほんだは、この事業に協力することで、「ポンタベール」を共同開発しました。540円(税込)。だし、しお、黒胡椒味があります。

▼イートインスペースには無料のコーヒーも

ほんだに受け継がれているのは、「ものを売るだけではなく、お客さんに楽しんでもらいたい」という精神。たとえば、店の一角には自家焙煎コーヒーが誰でも自由に飲めるコーナーがあります。そんなちょっとしたおもてなしの心が、店内にも、スタッフにも、そしてもちろん商品にも息づいています。

地元の人が、市外や道外から訪れたお客さんを伴って訪れることも多いというほんだ。その理由は、こうしたところにあるのかもしれません。

ほんだ砂川本店
所在地:北海道砂川市西1条北11丁目
電話:0125-52-6321
営業時間:9時~19時
定休日:不定休
公式サイト