神恵内のカレーはサクラマス入り? 神恵内の郷土料理・マスカレーとは

【神恵内村】 積丹半島西部に位置する神恵内村の「マスカレー」をご存じだろうか。神恵内村では何とサクラマスを贅沢に入れたカレーライスが食されているという。これを「マスカレー」と呼んでおり、今も郷土料理の一つとして村民に親しまれている。マスカレーとは一体どのような料理なのだろうか。なぜ神恵内でマスカレーが広まったのだろうか。

生マスタイプと素揚げタイプ

マスカレーは、肉の代わりにサクラマスを入れること以外は通常のカレーとほぼ同じ調理法。野菜はタマネギやニンジン、ジャガイモを使う。生のマスをそのまま使うタイプでは、生のマスを三枚におろし、中骨を抜いて皮をはいでおき、カレールーを入れとろみがつくまで煮込んだ後、最後にそのマスを入れ、ひと煮立ちさせる。

もう一つのマスカレーは、サクラマスを素揚げするタイプ。身崩れ防止のためマスの皮は残しておき、塩・酒・カレー粉を軽くまぶし、小麦粉を付けて油で素揚げ、最後にカレーに入れ、ひと煮立ちさせる。こうすることで、マスの身をしっかりとカレーの中に残すことができる。

細かいレシピは各家庭により異なるが、主にこのような調理法でマスカレーは作られる。

肉の代用としてのサクラマス

ところで、なぜ神恵内村でマスカレーが広まったのだろうか。その理由として、神恵内村の交通と産業が関係するとされている。

積丹半島の海岸は複雑で断崖が多く、陸路の道路工事は遅れをとっていた。1922年9月に泊村茂岩~神恵内間に道路が延伸開通したが、大正時代まで神恵内村は陸の孤島だった。その苦労は、国道229号線最後の不通区間だった神恵内村川白~積丹町沼前間が1996年11月にようやく開通したことからもわかる。そのようなわけで、昭和時代初期までは食糧の流通も厳しく、肉も手に入りにくかったという。

一方で、積丹半島は漁業が盛んで、春の時期にはサクラマスが手に入る。神恵内村では3月から6月中旬くらいまでが漁期だ。そこで、肉の代用品として、比較的入手しやすく春の定番の魚として知られるサクラマスをカレーに入れるようになったとされる。特に、道路開通が1976年と遅かった北部地区で多かったようで、今でも村内では一部の家庭でマスカレーが食べられている。

郷土料理マスカレーを広めたい

現在、神恵内村内の飲食店でマスカレーを提供しているお店はない。そこで、2012年9月に村の若者有志で発足した神恵内村魅力創造研究会では、もっと浸透してほしいという願いのもと、マスカレーをイベント時に限り提供してきた。

同研究会の松本遊さんは「地方から来ていただいた方に常に提供できないという弱みも抱えており、今後の商品化に向けて様々な機関と協力し開発に取り組んでいる」と話しており、今後の展開が期待される。

同研究会では、2013年5月にイベント「前略 道の駅から~春の神恵内 魅力みせ鱒~」を道の駅オスコイ!かもえないにて初開催、マスカレー試食会を実施した。メンバーであるきのえ荘が協力し限定150食を用意したところ、1時間ほどで完売、アンケートでも大好評だったという。2014年も同イベントでマスカレーを提供する。是非現地でマスカレーの味を味わっていただきたい。

マスカレーを食べよう!
「前略 道の駅から~春の神恵内 魅力みせ鱒~」

開催日程:2014年5月18日(日)11:00~14:00
開催場所:道の駅オスコイ!かもえない
限定郷土料理:「マスカレー」1皿300円、「たけのこ煮たやつ」1皿200円、各限定150食
主催:神恵内村魅力創造研究会
問い合わせ:0135-76-5480(民宿きのえ荘)
※写真提供:神恵内村魅力創造研究会