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札幌「月と太陽 BREWING」で北海道愛に溢れた自家醸造クラフトビールを

胆振東部地震の後、大きな被害を受けた厚真町のハスカップを使って、クラフトビールを醸造した北海道のお店があると聞き、調べたところ、札幌市の二条市場のすぐ隣にあることを知りました。実際に訪ねて、ハスカップビールを味わい、そのクラフトビールに込められた熱い思いを伺いました。

震災でイベントが中止になったのが、ハスカップビール誕生のきっかけです

▼今回お話を伺った高身長・イケメンオーナーの森谷祐至さん
札幌「月と太陽 BREWING」で北海道愛に溢れた自家醸造クラフトビールを

「実は2018年10月に旧北海道庁舎前で予定していたクラフトビールのイベントが、胆振東部地震の影響で中止になったのです。北海道庁の方々も多く関わっていたイベントだったので、震災後の復興でそれどころではなくなってしまいました。多くの方が復興に奮闘するなか、クラフトビールを造る私にもできることはないかと考えたのが、ハスカップビールです」と、「月と太陽 BREWING」オーナーで醸造家の森谷祐至さんはいいます。

胆振東部地震では大きな被害があったのは事実ですが、その後「元気です北海道」のキャッチフレーズに代表されるように、自粛ではなく消費をいったムーブメントが起きました。2019年2月16日〜18日には、3日間で「北海道ビアトピア」が札幌三越の催事場で行われることが決定。このイベントに間に合うように東胆振や厚真町を応援できるようなクラフトビールを造りたいと思い、厚真町山口農園さんのハスカップ「あつまみらい」を使って醸造したのが、今回のハスカップビールです。

▼イベントのための醸造されたハスカップビールは色も美しい
札幌「月と太陽 BREWING」で北海道愛に溢れた自家醸造クラフトビールを

さっそく、「あつまみらい」を使ったハスカップビールをいただきました。美しい色に、果実の香り、クラフトビールならではの豊かな酵母臭、酸味と甘みのバランスもよく、グイグイ飲めてしまいます。(残念ながら、ハスカップビールは「北海道ビアトピア」のための特別に醸造したもので、現在店舗などでは提供されていません。今回は取材のために特別にご用意いただきました。)

厚真の特産品を使ってビールを造りたいと考えた森谷さんが実際に厚真町を訪れたのは、2018年11月30日。クラフトビールの醸造には約1カ月間必要なので、残された時間はあまりありませんでした。糖度が高く生食にも向く「あつまみらい」をビールにどう使うかが課題だったといいます。

▼オリジナルのクラフトビールはもちろん、ゲストビールも充実
札幌「月と太陽 BREWING」で北海道愛に溢れた自家醸造クラフトビールを

「余市産のぶどうや洋なし、札幌市清田区産のいちごなど、すでに果実を使ったクラフトビールは何度か醸造した経験がありました。それで、山口さんからいただいたサンプルのハスカップを使って、色味や酸味のバランスを研究して、実際の醸造を行いました。ハスカップビールは予定にありませんが、北海道の果実を使ったクラフトビールは今後もお店でも提供していく予定です」と森谷さん。

ハスカップビールはイベント限定でしたが、「月と太陽 BREWING」の店舗で北海道産果実を使ったクラフトビールを味わうチャンスはありそうです。取材を行った「月と太陽 BREWING」は、オリジナルクラフトビールの醸造所であり、それらと一緒にとびきりのおつまみを味わえる店舗でもあります。

ふるさと、北海道にこだわったおつまみは美しくおいしい

▼いちばん人気の一品、北海道産じゃがいものフライドポテト
札幌「月と太陽 BREWING」で北海道愛に溢れた自家醸造クラフトビールを

▼おまかせ前菜三点盛りの満月プレート(写真)は4人前
札幌「月と太陽 BREWING」で北海道愛に溢れた自家醸造クラフトビールを

クラフトビールや醸造関連のお仕事されていたのかと思いきや、実は小樽出身でずっと料理人をしていたという森谷さん。「ものを作るのが好きで、料理人は天職だと思っていたのですが、独立を考えているときに出会ったのがクラフトビールでした。毎日ビールを飲んでいるのにどうやって作るかすら知らなかったのですよ」と笑います。しかし、「5年前にクラフトビール屋を始めると決めて、オープンまでの忙しさはもう忘れてしまいたいほどでした。いえ、人間は辛いことを忘れるようにできているので忘れました」と語るほど大変だったそうです。

店舗では、びっくりするほどカラフルな「北海道産じゃがいものフライドポテト〜自家製オーロラソースで」(550円)や、美しく盛り付けられたおまかせメニューの「本日の前菜三点盛り 満月プレート(4人前)」(1,400円)(2人前は「半月プレート」(1,100円)、ひとり用は「三日月プレート」(700円))などのフードメニューも提供。

「おいしいのはもちろんですが、食を通じてもっと北海道を盛り上げたいという気持ちがあります。ただおいしいだけでなく、食にも観光と同じようにエンターテイメント的な側面があると思います。季節の問題などもありますが、可能な限り地元北海道の食材を使ったおいしくて、食べていて楽しくなるようなメニューを提供したいと考えています」と北海道愛に満ちた答えをいただきました。

▼少人数はもちろん、ひとりでも立ち寄りやすいカウンター席も充実
札幌「月と太陽 BREWING」で北海道愛に溢れた自家醸造クラフトビールを

▼常時10種類+シークレット1種の充実したクラフトビール
札幌「月と太陽 BREWING」で北海道愛に溢れた自家醸造クラフトビールを

▼少しずつたくさんの種類のビールを楽しみたい方に5テイスティングセット
札幌「月と太陽 BREWING」で北海道愛に溢れた自家醸造クラフトビールを

クラフトビール専門店というと、やはりちょっと高いのではと思ってしまいますが、「私自身もビールが大好きですし、日常的に飲みたいのです。原価などを考えると本当はオーナーとしてはいけないのでしょうが、1パイント(450ml)で900円にしています。1杯1,000円を超えると、私自身も身構えてしまいますので」と庶民的なご意見をいただきました。

注目したいのがテイスティングセットです。150mlが3杯で1,100円、5杯で1,500円と非常にリーズナブルになっています。常時10種類にシークレットの1種があることも多いそうなので、充実したクラフトビールをすべて試したいという方にはおすすめのメニューです。クラフトビール専門店でありながら、自身の店舗のオリジナルだけでなく、ゲストビールと呼んでいるほかの醸造所で造られたクラフトビールがそろっているのも、うれしいところです。

▼北海道食材へのこだわりを感じるスペシャルメニューの黒板
札幌「月と太陽 BREWING」で北海道愛に溢れた自家醸造クラフトビールを

▼「月と太陽」の白いのれんとビールの醸造機器が目印の店頭
札幌「月と太陽 BREWING」で北海道愛に溢れた自家醸造クラフトビールを

お客さんに心の底から楽しんでほしいという森谷さん

ハスカップビールからたどり着いた「月と太陽 BREWING」さんですが、クラフトビールはもちろん、おつまみの一点一点にまで、確かなこだわりを感じるお店でした。

現在のところハスカップビールの再販の予定はありませんが、北海道産の果実のクラフトビールなどは予定されています。北海道産の食材にこだわった北海道愛の溢れるおつまみと、一緒にできたてのクラフトビールを楽しんでみてはどうでしょうか。地元の方はもちろん、観光のみなさまにもおすすめできるお店ですよ。

月と太陽 BREWING
所在地:札幌市中央区南3条東1丁目3番地
営業時間:月〜土17時30分〜24時/日曜日17時30分〜23時(L.O 22時30分)
※7月〜9月のみ15時から営業
定休日:不定休(詳細は電話もしくはWEB、Facebookにて)
電話:011-218-5311
WEBサイト
Facebookページ

筆者について

齋藤千歳

齋藤千歳

ぼろフォト解決シリーズ代表。北海道・千歳市を拠点にAmazon Kindleを中心に400冊以上のカメラ・写真関連の電子書籍を積極的に出版。元月刊カメラ誌編集者でライター兼フォトグラファー。撮影のために毎月数千km道内をクルマで走る生活の旁ら、北海道の地元情報を発信するお手伝いも行っています。【Sクラス認定ライター】