味わう

「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る

「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る

今、旭川を中心に流行しつつあるホルモン系ラーメン。人気は次第に加熱しており、すでに新たな旭川ラーメンとして地元では知られている。

ただ、全国区でみれば旭川ラーメンといえば豚骨、鶏ガラ、魚介のトリプルスープにラード、そしてちぢれ麺が有名だ。それだけに、旭川ラーメンの上にホルモンが乗っているとなると、旭川市民以外はなかなかその味を想像できないかもしれない。

そこで、現在旭川で革命を起こしつつある謎のホルモン系ラーメンについて調査してみた。

ラーメン・モルメン「ひまわり」のモルメン

モルメン辛いの (830円)
「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る

「ひまわり」は旭川市大雪通3丁目にあるラーメン店だ。営業は1981年と古く、現在は本店以外にも三店舗を経営している。

スープはトンコツと鶏ガラをベースに、昆布や煮干しなどを長時間煮込んで作られている。濃厚なスープが特徴で、一番人気の「モルメン辛いの(みそ味のみ)」はスタミナ抜群の濃厚スープがたまらない。ほかにもモルメン正油も人気だ。

「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る

ラーメンの上に乗るのは肉厚なホルモン。 一見すると焦げ目もあり、焼肉で食べるホルモンに近い。

しかし一口食べると、その違いにすぐに気が付く。ホルモン独特のクサみが無いばかりか、さらにしっかりとタレが付いており、一口でかみ切れるほど柔らかいのだ。

このホルモンの秘密について店長に尋ねると、「時間を掛けて煮るたあと、再度味を付けをし、再び煮込んでいます。そのあと焼き目をつけて、メニューに合わせて再度調理をしている」と語る。見た目と相反するホルモンの美味しさは、繊細な努力によって支えられているのだ。

「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る

人気店らしく、店内はかなりこみあっていた。しかしこの味なら惹かれるのも頷ける。開店前から並ぶ人も多く、本州からわざわざモルメンを食べに来たお客さんもいた程だ。

人気店を切り盛りする人々は、店長も含めて全て女性だ。サービスも女性らしいきめ細やかさが目立つ。店内が満席となると、車のナンバーを控え、車の中で待つお客さんを呼びに来てくれる。

「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る 「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る

それにしても、なぜホルモンをラーメンに乗せようと思ったのか?  その大胆な試みの理由について尋ねてみると、意外にも温かい答えが返ってきた。

「実は商売が忙しくて、昔はなかなか外に出ることが出来なかったんです。けれど子供も小さいものですから、外食もさせてあげたい。そんな時に、主人がラーメンをホルモンに乗せて食べることを思いついたんです」

もともと店は旭川教育大学の近くにあり、大学生のお客さんも多かったという。そこで学生向けのスタミナラーメンとして、家庭で食べていたホルモンラーメンを「モルメン」として売り出したという。

初めの頃は今のように売れることは無かったというが、10年ほど前から徐々に人気が出始めたという。若者から高齢者まで幅広い層に愛されており、仕事帰りに店に立ち寄る人も多い名店だ。

店舗名称:ひまわり 大雪通店
営業時間:11:00~14:20、17:00~19:30
定休日:水曜日
住所:旭川市大雪通3丁目特一ビル1階
電話番号:0166-25-8780
駐車場:あり

「旭川らーめん いってつ庵」のホルメン

旭川しょうゆホルメン (850円)
「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る

続いてご紹介したいのが、旭川観光の重要スポット、あさひかわラーメン村にある「いってつ庵」だ。 同店のスープはコクがありながらとてもまろや。とんこつをベースに、そこへ数種類の野菜や果物、煮干しと魚の骨などが入る。それを数時間かけて煮込んだスープは濃厚ながらも、女性でも飲み干せるほどバランスが良い。

「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る

こちらが同店のホルモンだ。 口に入れてすぐその柔らかさに驚かされた。こんなホルモンは中々お目にかかれない。サイズも食べやすく、スープとの相性は抜群である。

このホルモンの秘密について、特別に店長である山中さんに教えてもらった。

「ホルモンは圧力を掛け、その後3時間は煮ます。全ての工程を終えるのに2日は掛かっているので、ものすごく手間が掛かっていますね」

多くの工程を経るからこそ、これほどの柔らかさが生み出されるのだろう。最近はしょうゆホルメンの売れ行きが良く、ホルモンが足り無い時もあるという。

「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る

スッキリとした店内には柔らかい照明が灯る。道外や海外からのお客さんも多いが、女性だけでやってくるお客さんも目立つ。著名人の来客も多く、人気店らしいたたずまいだ。

「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る 「ホルモン」×「ラーメン」? 新たな旭川ラーメンの魅力と謎に迫る

この店でホルモン系ラーメンを始めたのは、旭川しょうゆホルメンの会がきっかけだったという。

旭川市では数年前からB級グルメとしてホルモン系ラーメンを押していたそうだ。その中で生まれた旭川しょうゆホルメンの会の活動はめざましく、各地で多くのイベントに参加。誕生からわずか数年の間にホルメンの名前を知らしめた。

同店でも、やはりしょうゆホルメンの売れ行きは好調らしく「ここ数年でホルメンの売れ行きが伸びている」と山中さんは語る。旭川ラーメン村におとずれた際には、いってつ庵の売れ筋のホルメンをぜひ食べてもらいたい。

店舗名称:旭川らーめん いってつ庵
営業時間:11:00~20:30(LO20:00)※時期によって変動あり
定休日:不定休
住所:旭川市永山11条4丁目 あさひかわラーメン村
電話番号:0166-47-7855
駐車場:あり

ホルメンとモルメンの違いは?

旭川に存在するホルモン系ラーメンには現在は2種類の名称がつけられている。一つ目は、ひまわり考案の「モルメン」。もう一方は、いってつ庵をはじめ、旭川しょうゆホルメンの会が提供する「しょうゆホルメン」だ。

なぜ似たラーメンに2つの名前が付いたのか? その謎について調べてみた所、古くから旭川では細々とホルモン×ラーメンというメニューが作られていたことが分かった。

旭川は明治初期より養豚業が盛んであったが、廃棄されがちだったトンコツをスープにして使うという発想が生まれ、現在の旭川ラーメンのベースが作られた。

一方、トンコツと同じく豚の部位の中でも余りがちであったホルモンも戦後から食べられるようになった。つまり、旭川ラーメンもホルモンも、旭川の養豚業から誕生していたのである。

その結果、次第にホルモンをラーメンにトッピングするメニューが生まれはじめ、1981年創業のひまわりが「モルメン」を開発。現在確認できる限り、ホルモン系ラーメンの元祖とされている。

やがて、ホルモン系ラーメンが旭川市民の間に知られ始めると、2012年、いってつ庵が参加する旭川しょうゆホルメンの会が誕生。その精力的な活動により一気にムーブメントへと加速させたのである。

ホルモン系ラーメンの勢いは止まらない

ホルモン系ラーメンの流行は今や道内を飛び出しつつある。このままの勢いが続けば、新たな旭川ラーメンとして認知される日も近いだろう。

旭川観光に行くと、つい旭川ラーメンを頼んでしまいがちだ。しかし、今こそホルモン系ラーメンのインパクトに酔いしれて欲しい。

筆者について

サナダ・テツヤ

サナダ・テツヤ

道北に数年前に移住。元探偵。フリー・ライターとしての活動をはじめる。せっかく道北に来たということで、この地域に魅力を伝えきりたい。