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「なんこ」「がたたん」って何?炭鉱マンが愛した空知の郷土料理

「なんこ」「がたたん」って何?炭鉱マンが愛した空知の郷土料理

北海道はジンギスカンが広く定着していて、道民のスタミナ源ですが、道内の一部地域では、ジンギスカンよりもポピュラーな独自の郷土料理が根付いていたりします。そのひとつは「なんこ」。なんこって何だべ?今回は空知の産炭地でかつて人気だった名物郷土料理を2つ紹介します。

「なんこ」とは?

簡単に言うと「馬肉料理」です。もっと詳しく言うと「馬腸料理」です。この時点で受け付けない方もいますが、ホルモンが好きな方は抵抗がないかもしれません。空知の山間部にある日本一人口の少ない市「歌志内市」の料理です(かつて他の炭鉱の町でもあったようですがほぼ消滅しました)。

味はミソ味。馬腸をゆでたあと柔らかくなるまで1時間以上煮込みます。この材料は歌志内市内の精肉店などで販売されているとのこと。これに、たまねぎを加えるのが基本で、他にお好みで野菜を入れます。


名前の由来は、秋田県北部の方言で「馬肉」を指します。十二支の方角で南の位置が馬で、「南向=馬」→「なんこ(う)=馬肉」という説が有力です。秋田県から歌志内や近郊の空知の炭鉱に働きにやってきた移民から伝わったとされています。

しかし当初は「なんこ=馬肉料理」だったそうです。現在で言う「なんこ=馬腸料理」となったのは、肉よりも安く手に入ったから。理由はともあれ、炭鉱で働いて疲れて帰ってきた炭鉱マンのおなかを満たしました(あるいは酒とともに……)。これが市民に定着し、特に正月料理など寒い冬 の季節のあったまる家庭料理として浸透していったわけです。

とはいえ、炭鉱閉山と人口減少に伴って、この珍名物料理も衰退、絶滅の危機にあります。そこで「うたしない・なんこたべさす会」が発足。今では、歌志内市の道の駅うたしないチロルの湯や市内の飲食店で、「なんこ定食」を食べることが出来ます。応用編で「なんこ鍋」「なんこカレー」「なんこスナック」もあります。

「がたたん」とは?

「なんこ」「がたたん」って何?炭鉱マンが愛した空知の郷土料理

もうひとつ、空知の炭鉱の町に今に伝わる郷土料理があります。芦別市の「がたたん」です。漢字で書くと「含多湯」。こちらも炭鉱が栄えていた時代に人気料理として定着、地域に根付いていました。

始まりは戦後に芦別駅近くに誕生した飲食店のメニュー。オーナーが満州から引き揚げてきたこともあって、中国北東部の家庭料理をヒントに、中華風スープ「がたたん」をメニューの一つにしたそうです。しかし一時は閉店のために「がたたん」は途絶え、1980年代後半から復活してきたそうです。

簡単に料理の内容を言うと、中華風スープ。具材はとにかく多いです。白菜、人参、フキ、しいたけといった野菜・山菜はもちろん、イカなどの海産物、肉、団子など十数種類もの具材がたっぷり入っています。味付けは基本的には塩味で、中華風なのでスープはトロリとしています。

今回は、歌志内市の隠れた名物料理「なんこ」と、芦別市の隠れた名物料理「がたたん」を紹介しました。いずれも北海道らしく、具材に特に決まりがなく、なにを入れてもいいというのが特徴。だから各店や家庭によって味も具材もまったく違います。一度、ほぼ地域限定珍名物郷土料理、 味わってみては。

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