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宗谷黒牛は日本最北の牛肉ブランド

 日本本土最北端の地「宗谷岬」がある稚内市。その宗谷岬から南側に広 がる広大な丘陵地帯を「宗谷丘陵」と呼びます。周氷河地形の波打つなだ らかな丘陵は北海道遺産にも選定されており、日本とは思えない美しい牧 歌的風景が広がっています。そんな宗谷丘陵には「宗谷黒牛」が放牧され ています。今回のテーマはこれです。

宗谷黒牛を飼育しているところとは?

宗谷黒牛は日本最北の牛肉ブランド

 稚内市など宗谷管内7市町村、及び7農協が出資者となって1983年に設立 された、社団法人宗谷畜産開発公社が運営する肉牛専門の直営牧場「宗谷 岬肉牛牧場」で飼育しているのが「宗谷黒牛」です。

 広大な丘陵地帯を生かして肉牛を育てようと、宗谷丘陵広域農業開発事 業をおこして計画されました。宗谷岬肉牛牧場は、公設農場では国内最大 級といわれています。その面積は1600ha、約2300頭もの牛たちが放牧され 飼育されています(2006年7月1日現在)。

 基本理念は「大地の健康」「牛の健康」「消費者の健康」の3つ。だか ら情報公開もするし、固体識別番号といって、飼育歴や流通経路を追跡で きるシステムもいち早く導入しています。

 牧草も自家製、無農薬で無化学肥料、除草剤一切なしで栽培。仕上用穀 物飼料のとうもろこしなどは遺伝子組み替えでないものを使用、というこ とで飼料にも気を配っています。牛の糞尿はオガクズに吸着させて有機堆 肥化し牧草地へ、という循環型飼育。牛の飲む水は病原菌が入らないよう に公共上水道使用。衛生検査なども定期的。

 この牧場がある場所の環境も、おいしい牛肉にする要素のひとつです。 平均気温15度という冷涼な気候なので病害虫もあまりなく、牛さんのスト レスもあまりありません。強い潮風がある地域なので海水が牧草にあたり、 ミネラルの多い牧草に育つんだとか。より自然に近い環境の牧場で安全に 育てられているわけです。

 そんなわけで、BSE(狂牛病)問題で大騒ぎだった頃の2000年7月、宗谷黒 牛は「全農安心システム」の記念すべき第一号認証産品となりました。そ の管理方法などがマスコミでたびたび取り上げられるほどでした。

宗谷黒牛とは?

 宗谷黒牛とは、肉質のよい「黒毛和牛(但馬和牛など)」と、放牧に適し 寒さに強い「アンガス種」または「ホルスタイン種」をかけあわせた一代 雑種です。お互いの良いところがあわさった肉牛といえます。旧わっかな い牛で、名称統一し宗谷黒牛となりました。

 ほとんどが本州に出荷されてしまい、道内では生産地である稚内を中心 にわずかながら流通していて、道民でさえあまり味わう機会がない(とい うか知らない人すらいる)"幻の牛肉"です。牛肉はやわらかく、風味が 良いことで評判です。稚内に行く際は忘れずに。

 ところで札幌駅の駅弁で「北の黒牛弁当」というのがあります。この黒 牛とは宗谷黒牛のこと。2003年5月に登場した駅弁で、1000円なり。お米 はほしのゆめ(北海道産)、たまねぎは札幌産、昆布は日高産。高いけど美 味しいと評判なので、稚内に行く機会がなければ、この駅弁でもいかが?

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