カツ丼なのに卵でとじない?! 独自文化が根付いた訓子府たれカツ丼とは

温かいご飯の上に乗ったサクサクのトンカツ。カツとご飯が奏でるハーモニー。それがカツ丼。カツ丼と聞くと卵でとじたものを思い出す人も多いと思いますが、名古屋の味噌カツ丼、福井のソースカツ丼、岡山のデミカツ丼など、その地域だけで独自の進化をしたものもあるようです。北海道にもそんなご当地グルメが存在しました。訓子府町(くんねっぷちょう)のたれカツ丼です。

独自のカツ丼が根付いた訓子府町

訓子府町は北海道の東側、北見市のすぐ西側にある小さな町です。この訓子府町で「カツ丼とはどんなもの?」と聞いてみると、「タレがかかったトンカツがご飯の上に乗ったもの」と答えが返ってきます。では、私たちがよく食べる「卵でとじたトンカツがご飯に乗ったもの」を知らないのか聞いてみると、それも知っているけどそれは「とじカツ丼」と言うのだそうです。

▼タレがかかった豚カツが乗っているのが訓子府町でのカツ丼なのだ

たれカツ丼が訓子府町に定着した経緯を調べてみると、かなり長い歴史があることがわかりました。1933(昭和8)年にオープンした食事処福よしが、1935(昭和10)年に客からの声をヒントに出したのがはじまりなのだとか。それが口コミで広がり人気を得て、福よしで働いていた職人さんたちが独立の際、独自のたれカツ丼を開発し、自分の店のメニューとして広めていったのです。

▼現在は五代目が店を切り盛りしている福よし

小さな町でいくつかの店が出すようになったことで、訓子府町のカツ丼としてたれカツ丼が根付きました。現在では訓子府町のご当地グルメとして評判を呼び、たれカツ丼を食べるためだけに訓子府町に訪れる人も増えています。ちなみにたれカツ丼の定義はそれほど厳しいものではありません。卵でとじていないことと、タレは醤油ベースだということぐらいで、あとは自由。肉の種類も自由なのだそうです。

▼訓子府たれカツ丼イメージキャラクター「たれカツ丼乙女 くるねちゃん」

たれカツ丼発祥のお店「福よし」で実際に食べてきました。サクサクの衣をまとったトンカツ。タレは甘辛い醤油ダレ。豚丼とかうな重のタレに近いと言えばなんとなく想像できるのではないでしょうか。けっこうコッテリした印象ですが、決してくどくはなく、いくらでも箸が進む味でした。

▼福よしの「たれカツ丼」800円

現在(2017年11月)、訓子府町ではたれカツ丼を食べられるお店が福よしを含めて8店舗あります。それぞれ独自の味の醤油ダレがかかっていて、同じたれカツ丼とはいえ店ごとの特徴が異なります。訓子府町に訪れた際には、食べ比べてみるのはいかがでしょうか。

▼食事処福よし

食事処福よし
所在地:北海道常呂郡訓子府町元町37
電話:0157-47-2057
定休日:日曜日
営業時間:11時~14時、17時~20時30分

訓子府たれカツ丼が食べられるお店

ぷらっとカフェ駅茶屋

(写真提供:訓子府町商工会)

所在地:北海道常呂郡訓子府町大町170 旧訓子府駅舎内
電話:0157-47-5161
定休日:木曜日
営業時間:11時~15時、17時~20時

味処 六三四

(写真提供:訓子府町商工会)

所在地:北海道常呂郡訓子府町大町82
電話:0157-47-4532
定休日:日曜日・祝日
営業時間:11時30分~14時、17時~23時

北のあかちょうちん・扇

(写真提供:訓子府町商工会)

所在地:北海道常呂郡訓子府町旭町27
電話:0157-47-4515
定休日:日曜日
営業時間:17時~

居酒屋 藤

(写真提供:訓子府町商工会)

所在地:北海道常呂郡訓子府町元町54
電話:0157-47-3663
定休日:第2、第4火曜日
営業時間:17時~23時

そば処 清水屋

(写真提供:訓子府町商工会)

所在地:北海道常呂郡訓子府町大町5
電話: 0157-47-2772
定休日:第2、第4土曜日
営業時間:11時~15時、17時~20時

かしわ食堂

(写真提供:訓子府町商工会)

所在地:北海道常呂郡訓子府町栄町18
電話:0157-47-2058
定休日:不定休
営業時間:11時~14時、17時~20時

取材協力
訓子府町商工会

所在地:北海道常呂郡訓子府町元町92番地 訓子府町農業交流センター内
電話:0157-47-2241
公式サイト