北海道が100%生産!甜菜(てんさい・ビート)とは?

 さまざまな野菜が日本一の収穫量を誇る北海道。中でも北海道だけの作物として知られているものがあります。テンサイです。天才ではなく甜菜と書くもの。ビート・砂糖大根とも呼ばれています。

甜菜とは?

 北海道は日本一のビート(甜菜)生産量を誇ります。といいますか、100%つまり国内生産量のすべてといっていいほど北海道で生産されています。国内では北海道だけで栽培されている作物なのです。

 サトウキビ同様、甜菜は砂糖のもとになるものです(国内生産砂糖の8割は甜菜から)。甜菜の根を切って水に糖分を溶けさせ煮詰め、濾過・凝縮した結果の結晶が砂糖になるわけです。それで根は砂糖として流通、葉やビートパルプ(搾りかす)は道内で牛のえさにします。

 寒さに強い作物です。最適な気温は25度、夜の気温も熱帯夜ではダメとされており、北海道が国内で最適な環境であることがわかります。北海道は西洋の気候と似ているので、1871年に現在の函館市、1878年に札幌農学校での試作後、北海道で大規模に栽培することになりました。ビート生産を推進したのはクラーク氏や松方正義氏だったといいます。

甜菜栽培の歴史

 1879年に現在の伊達市(旧西紋鼈村)に官営甜菜製糖所を建設・操業、1887年に紋鼈製糖株式会社設立し払い下げした後1896年廃止。一方、1888年に現在の札幌市(旧苗穂村)に同じく製糖工場(札幌製糖株式会社)を建設・操業し、以上道内2工場が運営していました。台湾製糖の影響により1901年に両社廃止されました。

 道内でのビート製糖は一時中断されましたが、松方正義氏の息子正熊氏により1919年6月11日に復活します。帯広に北海道製糖の工場が設立され、後に「日本甜菜製糖」となりました。1921年にはビートを輸送するために鉄道も敷設され、一時は道内最大の私鉄となりました(十勝鉄道株式会社)。

 1968年2月5日には、大日本製糖株式会社などを統合して「北海道糖業」を設立しました。こちらも専用鉄道が北見の上常呂駅、本別の勇足駅に敷設されていました。国内ではほかにホクレンでも生産しており、ビート製糖産業はこの3社が占めています。

 本社が東京にある会社もありますが、工場は十勝や北見、士別、伊達など道内にあります。日本甜菜製糖は東京都を本社に、製糖工場は十勝管内芽室町、網走管内美幌町、士別市にあります。北海道糖業は北見市、伊達市、十勝管内本別町に工場があります。ホクレン農協は網走管内斜里町に中斜里製糖工場、十勝管内清水町に清水製糖工場を持っており、3社で8工場あることになります。

 北海道はてん菜生産振興地域であり、現在でも十勝平野や網走管内を中心に道内総面積7万haで栽培がなされています。現在では収穫も機械化で行われており、ビートハーベスターという機械が使われております。

※紋鼈製糖は国内初の機械甜菜製糖所である。
※現在のサッポロビール園は札幌製糖株式会社の工場跡地である。