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罪悪感のないカツ丼。浦河町のソウルフード「かつめし」って何?

「かつめし」と名の付く食べ物は、全国津々浦々、いろいろあります。北海道は浦河町にもかつめしと呼ばれるものがあるのですが、どうやら他とはひと味違うようです。「浦河かつめし」として地元では徐々に知名度も広がり、ソウルフードとなりつつある、いやすでにソウルフードとして愛されているのだとか。真相を確かめるべく、浦河町へと向かいました。

浦河かつめしとは? 見た目は? 味は?

浦河町に着いて、まず出会ったのが「浦河かつめし広め隊」隊長であり、浦河かつめしフェイスブックの管理人でもある愛下さん。

「百聞は一見にしかず。まずは浦河かつめしをご覧ください」

そう言われて、目の前に出されたものは……。

▼見よ、これが浦河かつめしだ!
罪悪感のないカツ丼。浦河町のソウルフード「かつめし」って何?

確かに、見たことあるようで見たことのない料理です。これが卵でとじられていればかつ丼だし、ソースがかかっていればソースかつ丼なのでしょうが、卵もソースも見当たりません。

「フェイスブックは町内外の約600名の方からフォローいただいてますし、某有名居酒屋チェーン店の地元店ではちゃんとメニューに掲載されているほど、地元では人気なんですよ」

と、胸を張る愛下さん。

▼アップで見ると、独自性がよく分かる
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それにしても見れば見るほど、浦河かつめしのオリジナリティが伝わってきます。卵もソースもないからどんな味付けなのか想像できないものの、上には青海苔がふりかけられ、かつとごはんの間には刻み海苔の姿を確認することもできます。

▼さらにアップ!
罪悪感のないカツ丼。浦河町のソウルフード「かつめし」って何?

「醤油ベースのタレがかかっているんですよ」と、愛下さんがその味付けを教えてくれました。実際に食べてみると、予想以上にあっさりしています。最近では、女性たちから『罪悪感の無い、カツ丼。』とも言われるようになったのだそう。揚げ物、特にトンカツを遠ざけている女性でもペロッと平らげてしまう、それが、浦河かつめしのすごいところなんです!

「でも、このタレを家庭で再現しようとしても、なぜか再現できないんですよねぇ」と愛下さんは言います。なんとも不思議で、奥深い。それが浦河かつめしなのです。

浦河かつめしのルーツを探る

では、浦河かつめしのルーツはいかなるものなのか。その発祥に迫ろうと、愛下さんに紹介された一軒のお店へと向かいました。堺町にある大衆割烹の「かど天」です。

▼地元の人気店「かど天」
罪悪感のないカツ丼。浦河町のソウルフード「かつめし」って何?

「浦河かつめしは、約40年前、浜町通沿いにあった『奴』という割烹料理店がはじまりです」

そう教えてくれたのは「かど天」の店主であり、かつては件の「奴」で働いていた、梶田晴之さんです。

▼「かど天」の店主、梶田さん
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奴で料理人をしていた三浦さんや梶田さんらが、安くておいしく食べられるまかないとして考案したのが、かつめしだったのです。当時は紅しょうがが乗り、重箱に入っていたといいます。

▼重箱かつめしのイメージ(写真提供:愛下さん)
罪悪感のないカツ丼。浦河町のソウルフード「かつめし」って何?

「重箱では食べづらいということで、浅めの器を使いました」

そうして梶田さんがメニュー化して自分の店で提供したところ、徐々に評判を呼びはじめました。今では「浦河かつめし」として出している店が13店舗にまで増えたというから驚きです。

▼みんな大好き、浦河かつめし。今ではランチのお客さんの7~8割はかつめしを注文しているんだとか(写真提供:愛下さん)
罪悪感のないカツ丼。浦河町のソウルフード「かつめし」って何?

トッピングや豚かつの厚さ、そしてタレの味など、店舗によってそれぞれです。どのかつめしもおいしいのですが、発祥店の伝統の味を守っているのは、やはり「かど天」のみ。「このタレの味は、なぜか再現できない」と言っていた愛下さんの言葉が、改めて意味深く響きます。

北海道には、まだまだ知られていないご当地グルメがあるのだなぁと、つくづく感じさせられます。浦河町を訪れた際は、ぜひ浦河かつめしを食べてみてください。まさにここでしか食べられない、ご当地ならではの味わいです。

かど天
所在地:北海道浦河郡浦河町堺町東1-7-9
電話:0146-22-5758
営業時間:11時30分~13時30分、17時~22時
定休日:日曜、不定休

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編集部

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