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これが蒲鉾なの?アイデア光る岩内町の老舗「カネタ吉田蒲鉾店」

地元以外ではあまり知られていないかもしれませんが、岩内町は、実は北海道におけるスケトウダラ延縄漁業発祥の地。そのスケトウダラのみを使った老舗かまぼこ店が「カネタ吉田蒲鉾店」です。岩内の地で120年の長きにわたる伝統を受け継ぎながら、斬新なアイデアでどんどんと商品を生み出し、観光客もわざわざ訪れるといいます。その魅力を探るべく、岩内へと足を運びました。

地元食材を使ったアイデア満載のかまぼこ

▼カネタ吉田蒲鉾店
これが蒲鉾なの?アイデア光る岩内町の老舗「カネタ吉田蒲鉾店」

まずはカネタ吉田蒲鉾店の歴史を紐解いていきましょう。初代の吉田音吉が故郷の佐渡から北海道は岩内町へと移り住んだのが、1891(明治24)年のこと。たらこ加工の商売を始めた音吉は、やがて近くの料理店に出入りするようになります。その料理人と共同で始めたのが、かまぼこ作りでした。その時に作ったとされる「角焼」は、今も看板商品として残っています。おでんや煮物にはもちろん、薄く切ってわさび醤油で食べるのもおすすめです。

▼厚焼きかまぼこの「角焼」(1本税込373円)
これが蒲鉾なの?アイデア光る岩内町の老舗「カネタ吉田蒲鉾店」

カネタ吉田蒲鉾店が本格的に創業したのは、1899(明治32)年。実に120年の歴史を誇り、現在代表を務める吉田智一さんで5代目になります。

▼代表の吉田智一さん(右)と、妻の奏見(かなみ)さん
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角焼のような伝統的なかまぼこもありつつ、カネタ吉田蒲鉾店の商品は斬新でユニークなものが多いのも特徴です。その多くが、奏見さんのアイデアから生まれるそう。見た目に「これがかまぼこなの?」と驚くようなものもあるので、ドンとご覧に入れましょう。

▼ルックスも名前も楽しいかまぼこたち
これが蒲鉾なの?アイデア光る岩内町の老舗「カネタ吉田蒲鉾店」

棒付きのものは「スティックかまぼこ」で、写真左から枝豆、海老、ねぎ生姜(税込各220円)。そのまま時計回りに、ほうれん草やごぼうなどが入った「がっぱ」(税込275円)、地元豆腐店の油揚げにすり身を入れてお稲荷さんのようにして揚げた「あげあげ」(税込110円)、蘭越町のFARM TAMU TAMUのかぼちゃを生地にも練り込んだ「かぼちゃさん」(税込130円)、かまぼこにチーズを挟み衣をつけて揚げた「魚ろっけ」(税込190円)、新鮮なタコを刻んで生地に混ぜ込んだ「たこロール」(税込165円)、写真真ん中あたりにコロンと転がっている丸いのが「だんご天」(10個入り真空包装税込205円)です。

▼一口サイズのだんご天は、おやつとしても大人気
これが蒲鉾なの?アイデア光る岩内町の老舗「カネタ吉田蒲鉾店」

これらの商品は、すべてスケトウダラを使って作られています。また、練り込まれている食材は、地元後志管内のもの。奏見さんが、食材から「食べたい!」「面白そう!」と直感的に繰り出すアイデアを、智一さんが形にしていくのだそう。もちろん、味には定評があり。そのまま食べたり、煮物に入れたり、地元のお客さんたちは思い思いの食べ方で楽しんでいるようです。

食べ物で繋がる幸せな三角形とは

▼和菓子店のようにショーケースに並ぶかまぼこ
これが蒲鉾なの?アイデア光る岩内町の老舗「カネタ吉田蒲鉾店」

さて、奏見さんがアイデアを出し、智一さんが形にすると先述しましたが、吉田さん夫妻はかまぼこ作りにおいても阿吽の呼吸で作業を進めていきます。

▼季節によって異なるすり身作りも自らの感覚が頼り
これが蒲鉾なの?アイデア光る岩内町の老舗「カネタ吉田蒲鉾店」

カネタ吉田蒲鉾店は、生のすり身を使うことにこだわっています。そのすり身を練り上げて成形していくのが、智一さん。初代から受け継がれてきた味と技は、決して教えられるものではなく、すべて見てまねて鍛錬の末に獲得していったものなのだそう。

▼成形されたかまぼこは奏見さんの手へ
これが蒲鉾なの?アイデア光る岩内町の老舗「カネタ吉田蒲鉾店」

揚げるのは、奏見さんの担当。夫婦で培ったリズムと呼吸がおいしいかまぼこを生み出します。

▼おいしそうな黄金色に揚がったかまぼこ
これが蒲鉾なの?アイデア光る岩内町の老舗「カネタ吉田蒲鉾店」

奏見さんは言います。
「後志管内の食材にこだわるのは、生産者さんの顔が見えるから。たとえばお客さんがうちのかまぼこに入っている野菜に興味を持ってもらうなど、生産者と商店と客が、食べ物によって三角形の動線となって繋がっていくのが理想なんです」

▼揚げたかまぼこの余分な油を落とし、冷ます作業
これが蒲鉾なの?アイデア光る岩内町の老舗「カネタ吉田蒲鉾店」

また、カネタ吉田蒲鉾店の商品は、昔から地元の学校や施設の給食でも食べられてきました。そこで食育の一環として、かまぼこ作り体験などを開催することもあるのだとか。店内から工場を見学できる大きな窓を設けているのも、こうした理由からなのです。

▼工場見学できる大きな窓の他、店内にはイートインスペースも
これが蒲鉾なの?アイデア光る岩内町の老舗「カネタ吉田蒲鉾店」

最初は商品の斬新さ多彩さに惹かれるカネタ吉田蒲鉾店ですが、その思いや取り組みを知ると、老舗かまぼこ店としての矜持を感じずにはいられません。まずはぜひ来店して、おいしいかまぼこを食べてみてください。食べて味わうことこそが、カネタ吉田蒲鉾店の言う「生産者と商品と客、三角形の動線」への第一歩となるのです。

カネタ吉田蒲鉾店
所在地:北海道岩内郡岩内町御崎1-5
電話:0135-62-0245
営業時間:9時~17時
定休日:水曜日
公式サイト
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筆者について

石簾マサ

石簾マサ

すべてのしがらみを捨て札幌で永住するぞ……と移住してきた50代のおっさんライター。札幌楽し~い。移住者が見た札幌の楽しさ・良さを伝えていければ……と思っております。【編集部専属ライター】