トーストアートの次は豆アートと顔はめ! 今年も十勝で世界一に挑戦

2013年7月7日、帯広市内に巨大なトーストアートが出現、後にギネス世界記録(TM)の認定を得、十勝を中心に話題となった。今年の夏は「豆モザイクアート」と「顔はめ」の2つで世界一を狙う予定で、主催者は『今年も十勝のいろんな人たちを巻き込んで、楽しんでやりたい』と意気込んでいる。十勝で世界一に挑戦する意味とは。仕掛け人で、十勝世界一プロジェクト代表・真浦綾子さんに話を聞いた。

「十勝の小麦をもっと広めたい」から始まった世界一への挑戦


きっかけは些細なことだった。テレビ番組「イッテQ!」で、トーストを並べて大きな絵を描くトーストアートの様子を見たのだ。そのとき、「一生に一度は世界一になってみたい」と思っていたこと、そして、知り合いのパン職人が「十勝小麦をもっと全国の人に知ってほしい」と言っていたことが結びついた。

「十勝小麦で世界一大きなトーストアートを作ってギネスワールドレコーズ(TM)の記録を狙えば、地元十勝をはじめ全国に十勝小麦を知ってもらえるのでは?とりあえずやってみよう」。こうして「世界トーストアートin十勝」プロジェクトは動き始めた。

協力者が集まって実現した巨大なトーストアートは、十勝開拓に尽力した依田勉三氏を図柄に採用、「トカチコムギ・チョー・ウマッ!!」の文字も配置した。トーストは十勝産小麦(賞味期限切れ)を使ったもので、色違いのもの約16,500枚を使用。市民らも参加して、帯広市の「とかちプラザ」館内に11m×14mのサイズで並べた。

▼トーストアート会場(2013/7/7)


それまでのギネス世界記録(TM)は、約150m2のトーストアートだったというが、十勝で行われた挑戦ではこれを上回る162.8m2のトーストアートが完成、2013年10月1日にギネス世界記録(TM)に認定された。この挑戦はメディアでも大きく取り上げられ、十勝のPRにもつながった。「十勝小麦をもっと知ってもらいたい」という想いはこうして結実したが、これで終わりではなかった。

トーストアート世界一への挑戦で気づいたこと

「終わってみれば、参加してくれた人たちも自分のことのように喜んでくれていて、その笑顔を見たとき、『わたしでもこんなに素晴らしいことができるんだ』と感じました」と真浦さんは振り返る。

さらに、トーストアートの取り組みを通じて、十勝の様々な人たちとつながれたり、地域で頑張っている人たちを知れることにも気付いた。実際、トーストアートでは、知り合いのパン職人から、十勝管内のパン屋5店舗や、帯広畜産大学の農業サークルの学生などが集まり、世界一を実現することができた。

▼トーストアートに協力したますやパン

「今度は、十勝のいろんな職業・世代の人が簡単に集まれる場、そして、十勝の発信手段として、ギネス世界記録(TM)が有効ではないか」。そう考え、2014年も別の取り組みで世界一への挑戦を行うことを決めた。

「豆モザイクアート」と「顔はめ」の2種目で世界一へ

2014年夏に挑戦するのは、「豆モザイクアート」と「顔はめ」での世界一。早くも、2013年のトーストアート挑戦が終わった瞬間から考え始めたという。

野菜アートも考えたが、収穫時期が異なるため難しい。そのため、乾物でいつでも用意できる十勝産の豆を使い、これを並べたモザイクアート作品に決めた。十勝管内ではかつて豆アートで記録を目指したこともあったというが、豆の粒数でカウントする必要があり、結局断念した経緯がある。そこで今回は、30粒ずつ入れた5cm四方の透明な袋を並べ、約300m2の巨大モザイクアートを作る。大豆、小豆、栗豆、黒千石、白花豆など、約10種類の豆を色ごとに使い分け、トリックアートの要素を取り入れる。実施日は2014年8月24日で調整している。

▼2014年4月26日に十勝ヒルズで行われた練習。10,000袋を使用。本番はこの12倍を予定。

一方、世界一長い顔はめについては、観光地でおなじみのイラストを描いた顔はめを作って連ね、顔はめの人数または長さで世界一を狙う。400人ほどの参加を予定しており、実施日は天候によるが、2014年6月28日で調整している。

▼顔はめのイメージ

○豆モザイクアート 2014年8月24日実施予定、場所未定
○顔はめ 2014年6月28日実施予定、場所未定
今後の予定や詳細はFacebookページ参照

「今回は、十勝のいろんな人同士を会わせる場にする」。そのために、全体統括の真浦さんが「人を巻き込む天才」と呼ぶ2人を、2種目のリーダーに起用した。山岸牧場さくら工房・北出愛さんには、世界一長い顔はめのリーダーを、株式会社丸勝・吉村透さんには、豆モザイクアート世界記録のリーダーをそれぞれ任せ、50名以上の実行委員を率いる。

そのほか、帯広畜産大学の農業サークル・あぐりとかちのメンバーも参加する。豆アートでは同サークルが主軸となり、あぐりとかちの名前でギネスワールドレコーズ(TM)に申請する予定。「大きなチャンスを与えて、サポートしてあげたい」と、将来を担う学生たちへの気遣いも忘れない。

「ギネス世界記録(TM)に関われることは嬉しいですが、ギネス世界記録(TM)はあくまで『おまけ』。街おこしなんてでかい事をやるつもりもありません。自分たちが無理なくできる事で、十勝の人たちが今より元気になってくれれば嬉しく思います」。真浦さんの一声で始まった十勝世界一への挑戦は今、十勝をアピールしたいという想いとともに、十勝全体を巻き込む取り組みへと広がりを見せている。