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然別峡「かんの温泉」リニューアル復活!温泉施設はどう変わる?

編集部
Written by 編集部

然別峡「かんの温泉」リニューアル復活!温泉施設はどう変わる?

【鹿追町】約100年の歴史を誇る、然別峡奥地の「かんの温泉(菅野温泉)」が、2014年8月20日の復活開業に向け、現在リニューアル工事が急ピッチで進められている。2008年12月の休業から6年弱。新たな経営者が、以前の面影を残しつつ北海道らしい温泉施設に生まれ変わらせようとしている。

※記事執筆時点で8月20日オープンでしたが、その後2014年8月19日オープンであることが正式に発表されました。ご了承願います。

明治時代から続く歴史ある「かんの温泉」

同温泉は、菅野家の遠縁にあたる本郷兵吉氏が明治末期の1910年の夏、アイヌの青年の案内により約1週間かけて探し当てた秘湯。1913年頃から湯治場「本郷温泉旅館」の営業を開始したが、当時は道路もなく、冬になるとその効能を聞き求め、近くの農家の人たちが馬そりを使い一日がかりで湯治に来たという(年については文献により異なる)。

1941年に菅野祐喜氏が本郷氏から権利を譲り受け「かんの温泉」と名称を改めた。当時は客室数5~6室、浴場は1か所しかなかった。第二次大戦末期の1944年には、陸軍の保養所にとの要請を受け、元の旧館の改装に着手。その代わりに軍が道路を作ることになっていたが、敗戦を迎えたため叶わず、菅野氏自ら道路建設を行い、1958年には車で行けるようになった。

1965年には、当時十勝管内一といわれる元の新館部分が完成。然別峡温泉として環境庁国民保養温泉指定などの効果もあり、大勢の湯治客が訪れたこともある。しかし、2008年12月、経営者が体調不良で休業を余儀なくされた。営業再開の目途がつかない状況だったが、株式会社鹿追ホットスプリングスが施設を買収し、リニューアルし再開することが報じられた。

▼地熱の影響で、温泉棟の館内は暖かく、旧館のあった場所に敷かれた道路は、冬には雪が解けるほどだという
然別峡「かんの温泉」リニューアル復活!温泉施設はどう変わる?

新しくなった温泉施設、浴槽にアイヌ語名がつけられた

同社開発本部の橋本和幸さんによれば、鹿追ホットスプリングの親会社である勝海電気社長が『休業したままであるのはもったいない』と、買収・再開に向けて動いたという。2012年7月までに購入し、2013年春まで解体、同年8月からリニューアル工事を進めていた。

従来建物は、奥に本館があり、手前側に旧館と浴室棟が並ぶ形で建っていたが、老朽化していた旧館は取り壊し、その場所を活用し本館(宿泊棟)横まで道路を伸ばした。温泉棟も浴室の一部を除いて解体、本館と共にリニューアルすることとした。

木のぬくもりが感じられる温泉棟では、かつての浴槽をそのまま活用する工夫がなされている。例えば、露天風呂のタイル面は活かしつつ石を使って全体をアレンジ。滝のある一番大きな浴槽に通じる階段下には、目隠しに大きな日高石を二つ運び入れた。宿泊棟のブルーの浴槽(旧称:クロレラの湯、寿老の湯)も、床面の隙間から湧き出してくるスタイルはそのままに、天井を木目調に新調している。滝の前にあった露天風呂浴槽前には木造の脱衣小屋が新設された。

同社によれば、源泉はこれまでと変わらず12。温泉棟に9つの浴槽があり、宿泊棟に2つ、合計11の浴槽を備える。温度も40度や42~43度の浴槽まで源泉により異なる。男湯と女湯は日替わりで、「ウヌカル」「イナンクル」にわかれており、浴槽名は七福神から、北海道らしいアイヌ語名に変更している。

▼館内案内図
然別峡「かんの温泉」リニューアル復活!温泉施設はどう変わる?

▼温泉棟「ウヌカル」(浴槽5つ)
・上段:ウヌカルアンナーの湯(また会おうね)
・上段:ウヌカルアンノーの湯(また会おうぜ)
・階段下:波切の湯
・階段下:シロカニペの湯(銀の雫)
・階段下:コンカニペの湯(金の雫)
▼温泉棟「イナンクル」(浴槽4つ)
・上段:イナンクルアンナーの湯(幸せになろうね)
・上段:イナンクルアンノーの湯(幸せになろうぜ)
・露天風呂:春鹿呼の湯
・露天風呂:秋鹿呼の湯
▼宿泊棟「こもれび荘」
・ロビー横:イコロ・ボッカの湯(宝物が湧き上がる)
・滝前の露天風呂:幾稲鳴滝(いねなるたき)の湯
※その他、屋外に足湯「パヨカ旅人の湯」(さすらう旅人)

▼イナンクル
然別峡「かんの温泉」リニューアル復活!温泉施設はどう変わる?
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▼ウヌカル
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▼宿泊棟
然別峡「かんの温泉」リニューアル復活!温泉施設はどう変わる?
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宿泊棟「こもれび荘」の姿はそのままで、外装と内装を新たに。20部屋(うち18部屋を提供)を備える宿泊施設であるとともに、レストラン「ゆーくる」を備え、十勝管内を中心とした北海道らしい食材を使った食事を提供する予定だ。日帰り温泉利用料金は、大人650円、中学生300円、小学生200円、未就学児無料で予定している。

敷地全体は斜面になっているため、高低差を利用し水車を設けたい考え。また、これまで発電機のみで電気を供給していた温泉は、新設した太陽光発電と水力発電でエコな施設を目指す。国有林ゆえの許認可、また、解体・リニューアル工事に時間がかかってしまい、オープン予定日が延びてしまったと話す橋本さん。既に浴槽に湯が張られており、少なくとも温泉棟だけは、2014年8月20日に先行オープンさせたいとしている。

温泉好きにとっては待望の復活オープンとなる「かんの温泉」。この秋は訪れてみてはいかがだろうか。

▼映像で見る新・かんの温泉

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