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パウダーで知られるニセコ「チセヌプリスキー場」が売りに出される

編集部
Written by 編集部

パウダーで知られるニセコ「チセヌプリスキー場」が売りに出される

【蘭越町】ニセコエリアで2013シーズン以来休止が続き、廃止寸前といわれてきたチセヌプリスキー場。自然に近いパウダースノーが自慢として、スキーヤーの中にもファンが多い同スキー場について、蘭越町は2014年12月8日から譲渡希望者を公募している。

チセヌプリスキー場とは

蘭越町、ニセコ山系のほぼ中央、標高1,135mのチセヌプリの南斜面にある蘭越町営のスキー場。面積664,194.71㎡。1967年12月に国民宿舎雪秩父の付帯施設としてオープン。2人乗りフード付き高速リフトが1本あり、中級・初級向けの中央コースと、2つの上級向け林間コース、中級・上級向けの林間コースの4コースがある。世界一といわれるパウダースノーのニセコにおいて最も奥地に位置し、圧雪コースは1本だけで、原生林にパウダーの深雪という、自然のままのゲレンデを楽しめるとあって、愛好家は多い。

また、2014年7月にニセコ観光圏が認定されており、チセヌプリスキー場を含めた湯本温泉郷が「奥ニセコ・昆布川地区」として、国際リゾート観光地を目指す滞在促進地区とされているなど、貴重な観光資源だ。

▼リフト山頂
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▼リフト山麓
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▼搬器
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2013年度からチセヌプリスキー場が休止中

そんな貴重な存在であるチセヌプリスキー場は、全国的なスキー人口の減少傾向と隣接するニセコ周辺スキー場の利用で、1991年度の16万人をピークに年々利用者数が減少。2000年度以降は10万人を割り、約8万人でほぼ横ばい状態だったという。また、リフト施設や圧雪車(ともに2013年時点で21年経過)の老朽化により、維持経費が年々増大していた。そのような状況下で、2012年10月以降、事態は休止に向かって動いた。まとめると、休止の経緯は以下の通り。

2012年10月 町からスキー場の運営を一時休止して検討したいと総務文教常任委員会に報告あり
2012年11月~町が町民を対象に行う町政懇談会で一時休止検討の報告あり
2012年12月 町議会で総務文教委員会(冨樫委員長)から所管事務調査の報告あり
「チセヌプリスキー場について、町民をはじめ多くの方から愛着を得ていると推察いたしますが、施設の維持更新、安全管理に多額の経費を要することから、休止などの一定の方向性を検討されることはやむを得ないと思慮いたします。今後の情勢の変化に柔軟に対応できるような方策を検討されたい」
2013年 9月 町から町議会で今シーズンはスキー場を休止すると報告あり
「平成25年度以降は当面休止。平成26年度以降は、町政懇談会等で町民への説明と周知を行い、経済の動向や財源等の確保も考えながら、再開について検討していく」
2013-2014シーズン 休止
2014-2015シーズン 休止

札幌の愛好家が中心となり署名活動が行われる

「こんな素敵な素朴で自然に近いスキー場を絶やすわけには行きません。どうか皆さんの声が必要です」。札幌の愛好家・市村さんはそう訴え、スキー場の存続の署名活動を行った。こうして2013年3月に7566名の署名を付した存続を求める請願書が町に、さらに同月、町議会にも陳情書が提出され採択された。

中には「なくなったらどこに行けばパウダーが満足に滑れるのか」「パウダースキーを好きにさせてくれた」「深雪が楽しめる日本一のスキー場」などの意見が寄せられたという。こうした声が議会や行政を動かしたことについて、町議の琵琶博之さんは『この署名活動の影響は大きい』と話す。

休止の動きが新聞等で報じられたこともあり、2012年シーズンが最後になるのではと多くのファンが同スキー場を利用した。結果、年度の利用者数(リフト利用人数)は98,870人と、1998年度の利用者数とほぼ同じになった。それでも2013年9月、町長から2013年度以降の営業休止決定が報告された。

再開へ向けて、民間譲渡決定

営業休止はしたものの、町では再開に向けて検討と努力を続けてきた。2014年8月、今後は民間等への譲渡を一定の条件のもとで募集していくのが最善策だと報告。2014年12月8日から2015年4月30日までの間、スキー場譲渡希望者を公募することとなった。

主な公募条件は下記の通り。詳細は町公式サイトの案内参照
・譲渡金額5000万円。リフト、駅舎、休憩所1棟、格納庫1棟を譲渡
・道有林敷地で道有林使用権も譲渡するが、道有林にかかる年間使用料200万円も負担する
・既存リフト(1991年民間の寄付で整備)は十分な安全対策が確保できる補修・改修を行う

スキー場では毎年、スキー訓練契約を交わしている陸上自衛隊(約2万8000人)の利用が2~3割程度ある。町によると、公募前に既に3社から問い合わせがあり、公募開始以降も問い合わせが入っているという。譲渡先が決定すれば、2015年に新しくなる国民宿舎雪秩父と相乗効果を図っていくと想定される。

再開へ向けて目に見える形で動き出したチセヌプリスキー場。近いうち再び深雪パウダースノーを楽しめるか、今後の動向に注目だ。(写真提供:蘭越町)

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