JR留萌本線・留萌~増毛間の廃止がほぼ決定―JR北海道が公式発表

JR北海道は2015年8月10日付で、留萌本線の末端部・留萌~増毛間(16.7㎞)について、2016年度中の鉄道事業廃止を公式に発表した。事実上の廃止確定で、1921年の全通から100年を待たずして廃止されることになる。(写真:増毛駅)

留萌本線の歴史

留萌本線は深川~増毛間(66.8㎞)を結ぶ。深川市、秩父別町、沼田町、留萌市、増毛町の5市町を通り、深川駅を含め20駅ある。留萌港への石炭・木材・海産物を輸送するために建設され、1910年11月23日に留萌(漢字は当初、留萠)まで開通し、1921年11月5日に増毛まで延伸、全通。1927年には留萌から後の羽幌線が分岐し、1931年に深川~増毛間を留萌本線に改称した。

最盛期の1960年代には、準急「るもい」や急行「はぼろ」が小樽や札幌、後に旭川とを結んでいた。石炭産業の衰退、沿線過疎化、自動車普及を要因として、1978年に貨物輸送廃止、1980年代になると急行も廃止。1987年度の輸送密度は480人だったが、2014年度に39人(1列車あたり3人)と、12分の1以下に減少してきた。JR北海道の試算では年間約1億6千万円以上の赤字という。

また、2005年3月、2012年3月に、線路に雪や土砂等が流入し列車脱線事故が発生しているほか、大雨による土砂崩れも頻発。長期間の運休期間もたびたび発生してきた。今後も安全を確保するために数十億円に及ぶ防災工事費が必要とのことで、廃止が検討されてきた。

2016年度中に廃止

2015年6月27日に、留萌~増毛間の廃止を検討していることが沿線自治体に伝えられたとの報道がなされ衝撃が走った。そして本日8月10日には、留萌市長・増毛町長に鉄道事業廃止について説明及びリリース発表があり、鉄道事業廃止はほぼ確実となった。

廃止時期は2016年度中で、留萌本線の中で特に利用客の少ない留萌以遠を先行して廃止する方針。上り7本・下り6本あり、留萌駅を除く8駅はすべて無人駅(瀬越駅・礼受駅(以上留萌市)・阿分駅・信砂駅・舎熊駅・朱文別駅・箸別駅・増毛駅。1989年~1995年までは瀬越~礼受間に浜中海水浴場臨時駅があった)。部分廃止後は留萌駅が終着駅となる。鉄路の廃止は、2014年5月の江差線・木古内~江差間以来。

終着駅の増毛駅の木造駅舎は味わい深く、1981年に公開された映画「駅 STATION」ではロケ地の一つとなった。無人駅ではあるが、そば処、売店が営業。観光客に喜ばれている。

2016年4月8日追記:最終日は12月4日に決定

増毛町が廃止に同意し、最終運行日は2016年12月4日と決まった。