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今回で10周年!節目を迎えた「札幌国際短編映画祭」の見どころとは?

編集部
Written by 編集部

今回で10周年!節目を迎えた「札幌国際短編映画祭」の見どころとは?

2015年の今年、「札幌国際短編映画祭」が第10回の節目を迎える。2006年9月に第1回を開催し、早10年。同映画祭を立ち上げた久保俊哉プロデューサーに、これまでの10年、そして今回の見どころと今後の展望について話を伺った。

札幌国際短編映画祭10年を振り返って

今回で10周年!節目を迎えた「札幌国際短編映画祭」の見どころとは?

―― 10周年を迎えられたわけですが、端的に言ってどんな10年だったでしょうか。

久保:気がついたら10年経っていたと言う感じです。映画祭は、募集開始が1月で、開催が10月。終了したらその直後から次の年の募集開始の作業や海外映画祭へのプロモーション等があり、年中事務局は稼働しているので、ほぼ休む暇がないような感じです。

ただ、10年という月日はそれなりに重みがありますし、今まで関わって来た多くの方々に支えられてここまで来られたことを改めて感じ、感謝の気持で一杯です。

―― 映画祭はそもそもどのような経緯でスタートしたのでしょうか。

今回で10周年!節目を迎えた「札幌国際短編映画祭」の見どころとは?

久保:広告代理店に務めていた1990年に、大学の後輩に見せてもらったフランスのショートフィルムの面白さに出逢い、早速仲間とショートフィルムの映画祭の企画(写真)を作りました。その同僚はその後ガンで亡くなってしまったのですが、その企画はずっと自分の心の中にありました。そして、1999年に俳優の別所哲也さんが「アメリカン・ショート・ショート・フィルム・フェスティバル」を東京で立ち上げたという新聞記事を見て、すぐに東京に飛び、「自分もショートフィルムの映画祭をやりたかったんです」と別所さんと話をし、その翌年の2000年に、「アメリカン・ショート・ショート・フィルム・フェスティバル in 北海道」というかたちでスタートしたのが一番はじめの出来事でした。

その際に、地元の若者を応援する仲間を集め実行委員を組織しましたが、我々の目標は、最終的には 「札幌・北海道オリジナルの国際映画祭を目指す」というものでした。その後も着実に地元の理解と観客動員を重ねた結果、その時は思いのほか早く訪れ、2006年に自分たちの映画祭の構想が固まり、札幌市も主催に加わり「札幌国際短編映画祭(SAPPOROショートフェスト)」が誕生しました。

―― この10年で、内容や規模の点で、どのように成長してきたでしょうか。

久保:10年間の大きな変化は無いものの、着実に定着して来た感じがします。6日間で13,000人の来場者があり、映画祭の規模としても国内最大級となりました。あと、地元では感じられないかもしれませんが、これだけの年月をかけて世界中にこの映画祭が知られるようになり、毎年直近1年の最新作が、100カ国近いところから3,000以上の作品が応募され、10年間では147の国と地域から約28,000作品がこの映画祭に応募されました。札幌がこの映画祭を通して国際的なポジションを獲得したと感じています。

多くの在日本の国際機関(大使館や領事館)は、この映画祭をサポートし、各国監督を札幌国際短編映画祭に参加すると公費等の支援を行っていたり、この映画祭の中での各国のショートフィルムの特集を組んだりしています。また同時に、世界各国の映画祭から札幌国際短編映画祭のプログラムの招聘や招待を頂き、日本の作品等の海外プロモーションの機会を作ってもらえるまでになりました。

札幌で誕生した映画祭が、世界から認められてきているのはとても大きな成長かと思います。また、国内でも、海外進出への登竜門として位置づけられ、国内の多くの監督方も一目置かれるようになったと感じています。

第10回札幌国際短編映画祭は「10年の感謝を表す取り組み」を

―― 10回目ならではの特別な取り組みがあれば教えてください。

久保:シンプルに言えば、10年の感謝を表す取り組みを考えました。多くの方はまだこの映画祭をマニアックな映画の上映や、学生の自主制作映画祭のように思っていらっしゃる方がまだまだ多く、ショートフィルム(短編)魅力を伝えきれていないかと思います。見てくれた観客の皆様や、ショートフィルムファンからも、もっと宣伝した方がよいとアドバイスなどを毎回頂きます。そうした声にも答えていきたく、地道なプロモーション活動(図書館でのPR上映や、札幌駅前通地下歩行空間でのイベントなど)も数多く行い、高校生以下を無料にしたりしています。

そして、今年は親しみを感じてもらう意味でも、『ひつじのショーン』で有名なアードマン・スタジオの特集や、地元への感謝をこめて、過去5年の北海道ゆかりの監督作品などをWEBで投票してもらいアンコール上映のプログラムを無料上映するなどの企画もあります。

また、ショートフィルムの未来の映像表現としての可能性を考える意味で、企業が作るショートフィルム「ブランデッド・ショート」という分野も紹介するプログラムを用意しました。その他、誰もが楽しめ感動できる、ベスト・アニメーションのプログラムもあり、間違いなく、感動と喜びを感じてもらえるプログラムばかりです!

▼プレス上映会に参加した「ベスト・オブ・北海道セレクション」の監督たち
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「ベスト・オブ・北海道セレクション」中鉢貴啓監督作品『夕泣き』
今回で10周年!節目を迎えた「札幌国際短編映画祭」の見どころとは?

―― 今回の見どころを教えてください。

久保:ショートフィルムの魅力は、商業映画には無いピュアな表現形態のものも多く、様々な価値観や多様な表現を発見する事ができます。その年、その年で世界中が何を見て、どんな事を伝えようとしているかの発見もあります。25の国と地域の作品100作品がコンペティションで上映されますが、今年はコソボ、チュニジア、ウクライナなどの国からの作品もノミネートしています。その多様性を楽しんでもらえるのがこのショートフィルムの魅力でもあります。

今年は特に、戦争や紛争が背景になっている作品があります。ウクライナの内戦を描くドキュメンタリーや、コソボの青春ドラマのほか、若い女性を主人公に、徴兵制度があるイスラエルの最前線で起こるドラマ等があります(I-D「世界の今」)。

また、世界的にコンピュータが発達し、バーチャルとリアルの世界の境界線があやふやになりつつあります。特に、日常的にスマートフォンを使ったコミュニケーションなど、気づかないうちにネット社会に人間が取り込まれているような現象も起きています。そんな、時代を映し出すような社会風刺やその後の未来を予言するようなSF作品が多く見られます。

齊藤工と板谷由夏が製作総指揮の『ALL FOR CINEMA』、桃井かおりさん主演の『OH LUCY! (オー ルーシー!)』、寺島しのぶさん主演の『サベージ・ナイト』、石田えりさん主演作品など、人気俳優が出演する作品も多くあります。海外作品では、ブレード・ランナーなどで有名なルトガー・ハウアー主演『クローンズ』(F-A)があります。海外からはフィルムメーカー部門の監督たちが来札し、今年はスイスから2名、オランダ、イランからの参加もあります。

『オールーシー!』
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『サベージ・ナイト』
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『クローンズ』
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札幌国際短編映画祭のこれから

―― 次回以降の展開について考えておられることがありましたら教えてください。

久保:ショートフィルムの未来の可能性はまだまだあります。可能性を実現していけるよう、様々なメディアとの連携を考えていきたいです。テクノロジーの発達や、メディアの変化。それに伴って、普通の人が様々な映像表現を可能にし、新たな産業にも繋がると思います。そのためにも、様々なイベントとの連携やオール北海道で出来る事があると考えています。

第10回札幌国際短編映画祭
開催期間:2015年10月7日~12日
公式サイト
※画像提供:久保俊哉氏

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