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全盲の写心家・大平啓朗さんが監督!世界初のユニバーサルMVが完成!

全盲の写心家・大平啓朗さんが監督!世界初のユニバーサルMVが完成!

みなさんこんにちは。 オホーツク観光大使ラウフェンCukaです。こちらの記事では、laufenが担当しているAir-G'(FM北海道)の番組「laufenのkita-note」で取材した模様を文字と写真でリポートします。

<特別編ゲスト> 全盲の写心家・大平啓朗さん(2016年3月10日放送)

―― laufenのkita-note、Cukaがお送りしています。 スマートフォンやデジカメなどで気軽に写真を撮って楽しんでいる人は多いと思いますが、目にハンディを持ちながらカメラマンとして活躍している人がいることを知っていますか? 最近は世界初となる手話、字幕、音声ガイド付きミュージックビデオの監督もされて、音楽スタッフとしてlaufenの克も参加させていただきました。 この時間は全盲の写心(しゃしん)家・大平啓朗さんにお話を伺います。イランカラプテ!(Cuka)

大平:イランカラプテ!

―― 大平さんのことを克がおーちゃんと呼んでいたので、私もおーちゃんと呼ばせていただいてもよいですか?

大平:はい。もちろんです!

▼絵本作家「のぶみ」さん(ジャケット&MVのイラスト担当)と大平さん(大平さん撮影)
全盲の写心家・大平啓朗さんが監督!世界初のユニバーサルMVが完成!

―― おーちゃんは道北の下川町の出身、現在は名寄在住。カメラを片手に全国を旅して展覧会や講演活動もされているということですが、大学院生の時に視力を失ったんですね。

大平:そうです、24歳の時でした。

―― 失明する前から写真を撮られていたのですか?

大平:写真は小学校の頃からずっと撮っていて、高校の頃には暗室にこもって現像したりもしていました。大学時代はアパートの部屋を暗室にしちゃってました。

全盲の写心家・大平啓朗さんが監督!世界初のユニバーサルMVが完成!
タイトル:「やっときたね!愛棒」/撮影日:2006年11月26日/撮影場所:沖縄県波照間島西浜

―― 視力を失うというショックは私達には計り知れないのですけども、それでも諦めずにシャッターを切り続けた理由というのは何があるのでしょうか?

大平:実は見えなくなった時あまりへこまなかったんですよ。なので諦めないで続けているというように思われがちですが、やめるという選択肢が別に無かったんです。 病院に入院しているとき、友達がお見舞いに来てくれて、「せっかくだから記念写心撮るよ」って言って撮っていたので、諦めるというイメージではなく好きだから続けているという感じですね。 もちろん撮り方は見えている頃とは違うようになりましたけど。

―― 好きだから続けたいと思うこと、とても共感します。

大平:僕の写心というのは人とコミュニケーションを取るアイテムなんです。僕が自分の撮ったものを見えるとか見えないとか、あまり関係なく、自分が撮ったものを相手と楽しめるかということが大事なんです。 だから見えている頃とあまり変わらない感覚で写心を撮っています。

全盲の写心家・大平啓朗さんが監督!世界初のユニバーサルMVが完成!
タイトル:「こぼれ陽」/撮影日時:2007年8月22日/撮影場所:函館市鮫川公園

―― 先ほど撮り方が変わったとおっしゃっていましたが、どのように写心を撮っているんですか?

大平:目では確認できないので、音や温度を感じて撮影します。 例えば街を歩いていて、木の下へ入った時は額と頬と膝だけ暖かいな、ここから太陽の日差しがこぼれてきているんだ! と温度で感じることだったり、ガサガサと葉っぱの揺れる音だとかでシャッターを切りますね。 人間には五感がありますがそのうちの視覚以外の四感を使って、香りに誘われて行った先に梅の花が咲いていたとか、そういった自分がわくわくした時にシャッターを切っているんです。 僕は見えていた記憶があるので、その時頭に浮かんだものでこれを見てもらいたい! っと思ってテンションが上がった時に、組み合わせと感覚で絵をイメージします。

―― 色んな感覚を使ってイメージした瞬間を切り取るんですね。 自分の目が見えていた頃の写真と、今の自分の写心というのは表現が違ったりしますか?

大平:そうですね、やはり見えていた頃は今よりももっと構図にすごくこだわって考え……過ぎていたかもしれませんね。 今はどちらかというと、温度と音を7:3で温度の方を大事に使おう、というように考えて撮っています。 構図というよりも色んな感覚を連想してもらえそうな……僕が感じた感覚を写心にこめるっというイメージですかね。

―― 世界初の手話、字幕、音声ガイド付きミュージックビデオというものを製作されたそうですね。

大平:はい、監督、脚本、曲の製作をしました。

全盲の写心家・大平啓朗さんが監督!世界初のユニバーサルMVが完成!

―― これはどういったものなのか教えてもらえますか?

大平:まずは曲を作ったのですが、それを聞こえない人や聞こえにくい人にも届けたいので字幕と手話を付けました。 もちろん映像もあると楽しいと思うので、曲の内容にあった映像が流れます。 ただ映像は僕らのように見えない人には届けられないので、音声ガイドとして場面を解説するものを付けました。 例えば今のこのスタジオで言うとですね……「向かい合って座る、おーちゃんと笑顔のCukaちゃん」というように説明してくれたら見えない人も一緒に楽しめますよね? 手話と字幕と音声ガイド3つを付けたものが今まで無かったので、世界初と言われています。

―― 私も先ほど見せていただいたのですが、旅の曲の方は自分も映像の場所に訪れている気持ちになりました。 そのミュージックビデオに出てくる写心は、実際におーちゃんが色々な場所で撮影されたのですよね?

大平:そうですね、今回2曲作ったのですけど、『さぁーいこう! やれるさ』の方は旅がテーマなんです。 自分が撮った写心と、動画も合わせて40カットぐらい入っています。 撮った時の周りの音も使って流しているんです。さっきCukaちゃんが言ってくれたように見えている人も見えていない人も一緒に旅をしている気持ちになってくれたら良いなというイメージで作りました。 2009年に47都道府県を一人で人の家に泊まり歩くということをやりまして、その時の写心が多く入っています。 旅の後に行った海の中のイルカと一緒に撮ったものとか、色々ありますけど。

―― あの写心は海の中に入って撮ったんですか?

大平:そうですね、東京の御蔵島という所へ行ってイルカと一緒に泳ぎながら撮りました。

―― 全国を周るにはどのくらい時間がかかりましたか?

大平:見えなくなって12年経つのですが、47都道府県をいっぺんに周った時は1年かかりましたね。 人の家に泊まるというルールにしたので、泊まる場所が決まらないと進めなかったんですよ。

―― たくさんの人と巡り逢えた1年だったんですね。

大平:視覚障がい者のことを知ってもらいたいなという気持ちがあったのですが、結局僕の方が色々なことを教えてもらった旅だったなとおもいます。

―― これはぜひ多くの人に知ってもらい、見て頂きたいなと思いました。 このミュージックビデオはどうすれば見たり手に入れたりすることができますか?

大平:amazonなどで販売中です。大平のホームページでリリースの情報などを載せていきますので、よろしくお願いします。 MVのタイトルは『プリチュー』といいます。

―― 『プリチュー』とはどういう意味なのですか?

大平:今回のMVはノーマル、副音声、字幕、カラオケなど6種類のバージョンが楽しめるようになっています。 選べることが大事というコンセプトで今回のMVを作ったので、プリーズ、チューズの略語です。

全盲の写心家・大平啓朗さんが監督!世界初のユニバーサルMVが完成!
撮影日時:2009年7月1日/撮影場所:沖縄県慶良間諸島

―― なるほど、選んでくださいということなんですね! おーちゃんの考える北海道、下川町らしい音というのはどんなものでしょうか?

大平:白い鈴の音のような感じです。やっぱりしばれるんですよね、下川町。 でも痛いとか嫌なイメージではなくて、綺麗な澄んだ音という感じです。

―― おーちゃんが監督、脚本、作曲を務めたミュージックビデオ『プリチュー』はamazonなどで発売中です。 詳しくは、ふらっとほ~むというおーちゃんのホームページでチェックしてください。 この時間は全盲の旅するフォトグラファー、おーちゃんこと大平啓朗さんにお話を伺いました! ありがとうございました。

大平:ありがとうございました、楽しかったです!

※写真=見えている時に撮ったもの
※写心=見えなくなって撮ったもの

ふらっとほ~む
『プリチュー』(amazon)

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筆者について

ラウフェンくか

ラウフェンくか

2011年4月1日、札幌を中心に活動するlaufen・Cukaの故郷が世界自然遺産知床・斜里町であることから第14代オホーツク観光大使に任命された。2013年3月に連載スタートした「オホーツクまち発見!!旅紀行」では、オホーツク各地の魅力を発信する。