室蘭の無人島「大黒島」って何がある?イベントに同行し上陸してきた

室蘭港の入口に浮かぶ大黒島(だいこくじま)をご存じでしょうか? 調べてみると、室蘭の人にはかなりなじみが深い島とのこと。以前は人が住んでいたこともあるそうですが、それは昭和初期の話。現在の大黒島は無人島で、ゴミが漂流してきて汚れ放題になっています。

そこで、漂着したゴミを清掃するイベントを発起した団体があると編集部は聞きつけました。なんでもボランティアを募り、11月5日に開催されるのだとか。以前より大黒島に興味があったこともあり、さっそく参加してきました。

廃墟マニア憧れの島、室蘭の大黒島とは?

安全祈願の為に大黒天を奉ったことから大黒島と呼ばれるようになった、周囲約700メートルのこの島。1796年に室蘭を訪れた英国探検船のプロビデンス号の水兵ハンス・オルソンが事故死し、その亡骸を埋葬した島ということでも有名です。オルソン氏の死を悼むかのようにクロユリが咲きはじめたという伝説があり、オルソン島と呼ぶ人もいるそうです。

大黒島には大正から昭和初期に使われていた灯台があり、当時は人も住んでいたようですが現在は誰も住んでおらず、灯台のみが撤去されずに廃墟として残っています。船がないと渡れないため、廃墟マニアにはかなり憧れの島なのだとか。また、この島に沈む夕日がとても美しいこともあり、室蘭市民にはなじみが深い島だと、参加されたボランティアの方に教えていただきました。

▼大黒島には以前使われていた灯台が残っている

ボランティアを募り大黒島を大掃除

無人島で荒れ果てたままになっている大黒島。そこに漂着したゴミを清掃しようとボランティアを募ったのは、「『室蘭工場夜景+α展』じっこういいんかい」。

代表を務める森氏は、自称産業遺産マニア。以前、大黒島を訪れた際、あまりにもゴミが多くて悲惨な状態になっていたため、大黒島の現状を調べてみたのだといいます。「以前は清掃する団体があったのですが、現在はその活動をされていないみたいなんです。なので、人が集まりゃなんとかなるかな~と思って企画したのが、今回のイベント『大黒島大清掃ボランティア』なんです」。

▼「室蘭工場夜景+α展」じっこういいんかい代表の森大輔氏

実は今回の清掃は去年に続き2回目なんだそう。「去年は告知が遅かったため15名しか集まりませんでした。だから今年は少し早めに告知したんです。ただ、小さな島のため、人が集まりすぎても困るので告知はfacebookのみで行いました」と森氏。参加表明をしたのは60名ほどだったそうですが、当日あいにくの大雨だったため実際に集まったのは33名でした。

▼チャーターした漁船から島に上陸したボランティアの面々

大黒島には、室蘭港のエンルムマリーナ室蘭よりチャーターした漁船で向かいました。島に上陸すると目の前には漂着物がけっこうあり、人が住んでいないということは、こういうことなんだなぁということが痛感できました。

▼波打ちぎわには漂着物がいっぱい

ボランティアの面々は上陸するなり、すぐにゴミ広いをはじめました。小さな島であること、島の西側には危険なため行けないことなどから、ゴミ拾いをする場所はそれほど広くなく、1時間ちょっとでゴミ収集は終わりました。

▼上陸するなりゴミを集めるボランティアの面々

▼ボランティアが集めた漂着物は40袋(大きなゴミは業者がボランティアで撤去してくれました)

主催者の森氏曰く「大黒島にはウサギがいるんです。たぶん飼われていたウサギだと思うのですが、今は野生化していて。足跡や糞などはありますので、どこかに巣穴を作っているんだと思います。また、今回行けなかった島の裏側にはカモメがたくさん巣を作っているんです」。ゴミばかりが漂着する島かと思いきや、大黒島にはそうした動物たちも生息しているということに驚きました。

昨年もこの寒い時期に清掃をしたとのこと。なぜ暖かい時期にしないのかお聞きすると、暖かい季節に島に行くと、草がかなり茂っていて危険だから。また、虫が多すぎて虫除けスプレーが役立たないほどだったからなのだそう。そのため、草が枯れ、虫がいなくなるこの季節を選んだということでした。

来年もまた同様のイベントを行うつもりだということなので、興味のある人はぜひ参加してみてはいかがでしょうか。島から眺める室蘭の美しさと、歴史の一端を感じることができますよ。

協力:
「室蘭工場夜景+α展」じっこういいんかい