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猟見学からジビエディナーまで。冬の西興部村でエゾシカの魅力を学ぼう!

北海道の北東に位置する西興部村は、エゾシカ猟の盛んな地域です。エゾシカによる農林業被害を軽減しつつ、大切な地域資源として村の活性化につなげるためのさまざまな取り組みが行われています。

その中のひとつが、エゾシカの魅力について直に学べる「エゾシカエコツアー in Winter」です。企画したNPO法人西興部村猟区管理協会の事務局長、伊吾田順平さんに話を聞くと共に、2017年2月に行われたツアーの内容を振り返ってみましょう。

エゾシカエコツアーを企画した思いとは

エゾシカは西興部村の自然を代表する野生動物です。人間との関係における歴史は古く、北海道では先住民族アイヌの人々にとっても重要な存在でした。アイヌ語ではシカのことを食べ物を表す「ユク」と言い、いかにシカ肉をよく食べていたかをうかがい知ることができます。

▼エゾシカは古くから人間と深い関係にあった
猟見学からジビエディナーまで。冬の西興部村でエゾシカの魅力を学ぼう!

しかし、ニュースなどでも度々取り上げられるように、過剰に増えすぎたエゾシカが農林業被害や交通事故などを引き起こし、深刻な社会問題となっていることも事実です。そこでNPO法人西興部村猟区管理協会では、エゾシカを捕獲することによって被害を軽減し、地域資源として有効に活用することで、野生動物管理の地域モデルを構築したいと考えています。伊吾田順平さんは言います。

「それなのにエゾシカを捕獲する過程は、倫理的観点からテレビなどでは放送されないことがほとんどです。そこに常日頃からジレンマを感じていたのが、エコツアーを企画するきっかけとなりましたね」

▼2017年に開催されたエコツアー参加者たちの様子(写真提供:NPO法人西興部村猟区管理協会)
猟見学からジビエディナーまで。冬の西興部村でエゾシカの魅力を学ぼう!

全国的にも道内でも同様のツアーは増えてきているそうですが、西興部村で開催されているような冬のエコツアーは珍しいといいます。

「でも、実はハンティングシーズンは冬季が中心。そこで冬の寒さを逆手に取ったやり方で始めてみたんです」(伊吾田さん)

「エゾシカエコツアー in Winter」では、実際にエゾシカを捕獲する様子や解体する様子まで、見ることが可能です。2017年の参加者も、エゾシカ猟見学をメインの目的としていた人がほとんどでした。それではどんなふうにエコツアーが開催されたのか、昨年度の様子をご紹介しましょう。

生と死の境を感じる貴重な経験

「西興部エゾシカエコツアー2016 in Winter~ハンティング見学からジビエディナーまで」と題し、2017年2月10~12日にわたって開催されました。

1日目は「流し猟」の見学からスタート。「流し猟」とは北海道の主な出猟方法で、車でシカを捜索しつつ捕獲します。参加者は、ライフル銃の発砲音と共にそれまで立っていたシカがその場に倒れ込む姿に、驚きを隠せない様子でした。仕留めたシカに近づいて触って「あったかいんですね」と感想を漏らした参加者も。皆、生き物の生と死の境を実感しているようでした。

▼シカの回収を行う参加者(写真提供:NPO法人西興部村猟区管理協会)
猟見学からジビエディナーまで。冬の西興部村でエゾシカの魅力を学ぼう!

夜はティアドロップアイスキャンドルを手作りし、ジビエディナーを堪能します。

▼ツアーではこんな手作り体験も(写真提供:NPO法人西興部村猟区管理協会)
猟見学からジビエディナーまで。冬の西興部村でエゾシカの魅力を学ぼう!

完璧な処理を施され臭みのないシカ肉料理に感激しつつ、捕獲から食までを体験することによって、より命のありがたみを感じる参加者たちでした。

▼改めて命の重みを噛みしめる(写真提供:NPO法人西興部村猟区管理協会)
猟見学からジビエディナーまで。冬の西興部村でエゾシカの魅力を学ぼう!

2日目はバードウォッチングで自然に触れた後、西興部ワイルドミートで衛生的解体の見学です。剥皮、大バラシ、抜骨を経て、捕獲されたシカが食肉に変わっていきます。その後もきこり体験やキノコ狩り、渓流釣りなどを通し、西興部の自然をこれでもかと味わい尽くしていく参加者たち。

▼ランチタイムはシカのローストサンドを(写真提供:NPO法人西興部村猟区管理協会)
猟見学からジビエディナーまで。冬の西興部村でエゾシカの魅力を学ぼう!

▼本格的なドリップコーヒーも大人気(写真提供:NPO法人西興部村猟区管理協会)
猟見学からジビエディナーまで。冬の西興部村でエゾシカの魅力を学ぼう!

夜は、極寒体験と星空見学。西興部アイスバーで焚き火を囲みながら、ホットワインの「ヴァン・ショー」に舌鼓を打ちます。

▼冷えた体にホットワインが染み入る(写真提供:NPO法人西興部村猟区管理協会)
猟見学からジビエディナーまで。冬の西興部村でエゾシカの魅力を学ぼう!

3日目は室内での座学が中心です。エゾシカを取り巻く現状や鹿肉の魅力などについて、レクチャーを行います。その後、シカ革クラフト体験でキーホルダーを手作り。エコツアーの締めくくりに、大切な思い出の品ができました。

「エゾシカエコツアー in Winter」は、この冬にもまた開催されます。期間は2018年の2月9~11日。参加費は15,000円です。最後に伊吾田さんに、参加する際の注意点を伺いました。

「スキーウェアか同程度以上の防寒着は、ご用意いただきたいです。女性にもぜひ参加していただきたいし、お子さまも楽しめますので、ご家族での参加も大歓迎です。また、小さな団体が主催しているエコツアーのため、キャンセルのないようご配慮いただけたらありがたいです」

参加すれば、西興部村の自然をたっぷり堪能できるのはもちろん、命の尊さや日頃の食に対してなど、考えさせられることもたくさんあるはず。もちろん、おいしいジビエ料理が味わえるのも、大きな魅力! なかなかできない貴重な体験を求めて、申し込んでみてはいかがでしょうか。

エゾシカエコツアー in Winter
開催日:2018年2月9日(金)~11日(日)
参加費:15,000円(税込み)
申込・問い合わせ:NPO法人西興部村猟区管理協会(【メール】 junp0913@gmail.com 【電話】0158-87-2180 / 090-4618-6514)
※待ち合わせ場所など詳細はお問い合わせください。
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筆者について

石簾マサ

石簾マサ

すべてのしがらみを捨て札幌で永住するぞ……と移住してきた50代のおっさんライター。札幌楽し~い。移住者が見た札幌の楽しさ・良さを伝えていければ……と思っております。【編集部専属ライター】