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札幌芸術の森・野外ステージはPMFのために作られた?! その誕生の経緯とは

毎年、札幌の夏の風物詩となっているPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)。夏に開催されるということは、冬はオフシーズン? いえいえ、そんなことはありません。既に来年に向けて、PMFアカデミー生のオーディションの準備は始まっています。着々とプロジェクトは進行しているのです。何しろ来年2018年は、PMF創設者であるバーンスタイン生誕100周年というメモリアルイヤー! ますます盛り上がること間違いなしのPMFについて今からあれこれを予習&復習しておきましょう。

PMFと芸術の森、その深い関係とは

▼野外ステージで指揮を執るバーンスタイン(1990年7月7日)
札幌芸術の森・野外ステージはPMFのために作られた?! その誕生の経緯とは

札幌芸術の森・野外ステージといえば、開幕を飾るオープニング・コンサートと、野外での締めを飾るピクニックコンサートに欠かせない舞台。芝生に座ったり寝転がったりしながら音楽に親しむ観客の姿は、もはやPMFを象徴する自由で牧歌的な光景です。この野外ステージ、実はPMFの誕生と深く関わっているのです。

そもそもPMFは、20世紀を代表する音楽家であるレナード・バーンスタインの提唱で始まった国際教育音楽祭。世界の若手音楽家の育成を目的とし、音楽教育を通じて世界平和を願った氏の思いが込められています。

PMFの開催地が札幌に正式決定したのは、1989年10月のこと。第1回目の開催は翌1990年夏とあって、準備が急ピッチで進められることになりました。

PMFのモデルとなったのはボストン郊外で行われるタングルウッド音楽祭。タングルウッド音楽祭といえば、野外コンサートを実施していることで有名です。この音楽祭に特別に思い入れのあったバーンスタインは、アジアでの音楽祭でもぜひ野外コンサートを、となったのです。札幌にはもともと野外ステージの建設計画も含め、芸術の森を建設中でしたが、オーケストラが演奏できるほどの規模ではなかったため、PMFのために急きょ計画を変更。突貫工事で建設が進められました。この野外コンサートができる環境は、PMFが札幌で開かれる大きな理由の一つとなりました。

▼オープニング・セレモニーでスピーチをするバーンスタイン(1990年6月26日)
札幌芸術の森・野外ステージはPMFのために作られた?! その誕生の経緯とは

こうして急ピッチで準備が進められたPMFは、1990年6月26日に無事、第1回目の開幕にこぎつけたのです。驚くべきことに、野外ステージが完成したのは6月25日、開会式の前日でした。

開会式で行われたレナード・バーンスタインのスピーチは、実に感動的なものでした。一音楽家として残された時間を、いかに使うべきなのか。一芸術家として若い世代と、いかに分かち合うべきなのか。そして、PMF創設者としての思い。

「PMFこそ、私の残された人生を捧げるべき献身と情熱の対象なのです」(バーンスタインのスピーチより)

その3ヵ月後の10月14日、バーンスタインは帰らぬ人となりました。偉大なる巨匠は人生の最後にPMFという素晴らしい贈り物を、後世へ遺してくれたのです。

▼バーンスタイン指揮によるPMFオーケストラのリハーサル
札幌芸術の森・野外ステージはPMFのために作られた?! その誕生の経緯とは

バーンスタインの代表曲について学ぼう・♯1『キャンディード序曲』

PMFでは、毎年恒例として必ず演奏される曲目があります。知っている人は復習のつもりで、知らない人は来年の予習のつもりで、ここで改めてお勉強しておきませんか?

第一回目の今回は『キャンディード序曲』です。言わずと知れたバーンスタインの代表曲で、PMFではオープニング・コンサートで演奏されます。『キャンディード』はフランスの思想家ヴォルテール原作のミュージカルで、1956年に初演されて以来、劇の冒頭で演奏される『序曲』が特に注目を集めました。華やかで躍動感たっぷり。聴いているだけで胸が高まる楽曲なので、瞬く間に人気を博したというのも頷けます。

PMFアカデミーのオーケストラがお披露目する最初の1曲ということもあり、その初々しさと相まって、これから1ヵ月に及ぶPMFが始まるんだというワクワク感を高めてくれる、まさにオープニングに相応しい1曲でもあります。

筆者について

石簾マサ

石簾マサ

すべてのしがらみを捨て札幌で永住するぞ……と移住してきた50代のおっさんライター。札幌楽し~い。移住者が見た札幌の楽しさ・良さを伝えていければ……と思っております。【編集部専属ライター】