トピックス

デジタルアートとアイヌ古式舞踊が融合!阿寒ユーカラ「ロストカムイ」上演

阿寒アイヌ工芸協同組合とNPO法人 阿寒観光協会まちづくり推進機構(いずれも釧路市阿寒町)は、デジタルアートとアイヌ古式舞踊を融合した「阿寒ユーカラ『ロストカムイ』」を制作し、2019年3月19日(火)から阿寒湖アイヌシアター「イコㇿ」にて一般上演を開始しました。いったいどんな作品なのか、その物語の概要と、前日の18日に開催されたオープニングセレモニーの様子をご紹介します。

阿寒湖アイヌシアター「イコㇿ」の新プログラムとして制作

日本初のアイヌ文化専用屋内劇場として2012年にオープンした阿寒湖アイヌシアター「イコㇿ」は、国の重要無形文化財に指定され、ユネスコ世界無形文化遺産でもある「アイヌ古式舞踊」やイオマンテの火まつりを上演。年間約6万人の観客を動員しています。

アイヌ文化の普及啓発活動に取り組む阿寒アイヌ工芸協同組合と、日本版地域DMOとして観光地域づくりに取り組むNPO法人 阿寒観光協会まちづくり推進機構は、アイヌ文化への国内外からの注目が集まる中、より多くの人々にアイヌ文化に触れ、より深く理解してもらうため、阿寒湖アイヌシアター「イコㇿ」の演目を一新することを決定。これまでの二大演目「アイヌ古式舞踊」と「イオマンテの火まつり」を新版としてリニューアルするほか、新しいプログラムとして「ロストカムイ」が加わります。

デジタルアートとアイヌ古式舞踊が融合!阿寒ユーカラ「ロストカムイ」上演
撮影:ヨシダ ナギ

新プログラムの「ロストカムイ」は、現在も約120人が暮らす北海道最大規模のアイヌコタン(集落)がある阿寒湖温泉で継承されてきた歌や踊りなどのアイヌ伝統文化を、国内外から阿寒湖を訪れる人々に知ってもらうために企画されたものです。

制作に当たり、ヨシダ ナギ(フォトグラファー)、Kuniyuki Takahashi(サウンドデザイナー・プロデューサー・DJ)、UNO(ダンサー・ライブディレクター・イラストレーター)、WOW inc.(3DCG映像制作・演出)、坂本大輔(クリエイティブディレクター/JTBコミュニケーションデザイン)といった注目のクリエイターが阿寒湖に集結。アイヌの人々、床州生(阿寒アイヌ工芸協同組合理事/イコㇿ舞台監督)とともに、アイヌ古式舞踊、現代舞踊、3DCG、臨場感あふれる7.1chサラウンドを組み合わせ、5台のプロジェクターで舞台を立体化しました。

物語は、「アイヌとエゾオオカミとの共生」がテーマ。アイヌは「動物、草木、水、火、風にもカムイ(アイヌ語で神様の意味)が宿る」と信じています。特にエゾオオカミは「ホロケウカムイ」と呼ばれ、アイヌに狩りを教え、時に助ける特別なカムイとして、畏怖し敬われました。

「ロストカムイ」は自然との共生のあり方を問う物語として、絶滅し失われてしまったホロケウカムイを、阿寒の森ととも舞台化。これまでにない独創的なパフォーマンスで、世界でもここにしかない新しいエンターテイメントが誕生しました。

オープニングセレモニーを開催

一般上演に先立ち、3月16日(土)17日(日)に無料プレビュー公演が開催され、地元アイヌや釧路・北見・網走など近隣住民を中心に約500人が鑑賞。「鳥肌が立つほどゾクゾクした」「立体的でリアル、エゾオオカミがすぐそばまで来ている感じがした」など称賛の声が寄せられました。

▼阿寒ユーカラ「ロストカムイ」公演の様子
デジタルアートとアイヌ古式舞踊が融合!阿寒ユーカラ「ロストカムイ」上演

デジタルアートとアイヌ古式舞踊が融合!阿寒ユーカラ「ロストカムイ」上演

デジタルアートとアイヌ古式舞踊が融合!阿寒ユーカラ「ロストカムイ」上演

デジタルアートとアイヌ古式舞踊が融合!阿寒ユーカラ「ロストカムイ」上演

デジタルアートとアイヌ古式舞踊が融合!阿寒ユーカラ「ロストカムイ」上演

3月18日(月)にはオープニングセレモニーを開催。アイヌ湖畔在住のアイヌをはじめ、自治体・観光業界関係者など約130人が出席しました。阿寒アイヌ工芸協同組合の西田正男代表理事は、「お客様に何度も観たいと思っていただけるような、これまでにない新演目を生み出したいという強い想いから誕生した」と、「ロストカムイ」誕生のいきさつを語りました。

▼あいさつをする阿寒アイヌ工芸協同組合の西田正男代表理事
デジタルアートとアイヌ古式舞踊が融合!阿寒ユーカラ「ロストカムイ」上演

セレモニーでは、制作に携わったフォトグラファー、ヨシダ ナギ氏のトークショー、サウンドデザイナーKuniyuki Takahashi氏のライブが行われたほか、アイヌの伝統酒「トノト」、鹿肉や山菜などを使った伝統的なアイヌ料理も振る舞われ、出席者はアイヌの味覚も堪能しました。

釧路市の名塚昭副市長は、「アイヌ文化周遊ルート『ユーカラ街道』が推進されることで、北海道全域にとっても非常に重要な滞在コンテンツの一つになると大いに期待している」と話しました。2019年7月には阿寒湖の夜の森を舞台に、国立公園では世界初の試みとなるデジタルアートプログラム「KAMUY LUMINA / カムイ ルミナ」がオープンする予定で、阿寒湖からますます目がはなせません。

2019年3月19日以降、阿寒湖アイヌシアター「イコㇿ」では、下記の3つの演目が上演されることになります(イオマンテの火まつり(新版)は4月21日から)。「ロストカムイ」は唯一、通年公演がある演目となります。

阿寒ユーカラ「ロストカムイ」(新演目)
上演時間:約40分
公演時間:通年21時15分~。5・6月の土日祝日と7~10月は15時~も公演
当日入場料:大人2,200円、小学生600円
阿寒ユーカラ「古式舞踊」(新版)
上演時間:約30分
公演時間:5~10月は1日3公演(11時~、13時30分~、16時30分~)、12月~4月20日は20時15分~の1日1公演
当日入場料:大人1,080円、小学生600円
阿寒ユーカラ「イオマンテの火まつり」(新版)
上演時間:約30分
公演時間:4月21日~11月30日の20時15分から1日1公演
当日入場料:大人1,200円、小学生600円

筆者について

編集部

編集部

北海道ファンマガジン編集部。編集部スタッフが取材執筆した記事や、名前を出さないライターの記事、寄稿記事の掲載の際にもこのアカウントが使われます。