北海道に岐阜・兵庫・山梨etcがある!?

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北海道にはアイヌ語由来の地名が多い中で、数が少ないながら和名地名
もあります。その中でも今回は他県名と同じ地名を特集します。つまり
「北海道○○町字山梨」のような住所になる地名ということです。

なぜ、他県地名が道内に?

他県の地名が道内に生まれたのは明治時代の開拓のとき。北海道には本
州各地から募った入植者がたくさんやってきて道内各地で、原野を切り開
いて開拓をしました。

北海道の文化や方言は日本各地の集大成といわれることから推察できる
ように、開拓時代は日本各地から集まってきました。しかも同一県内から
数十人、数百人規模で集団移住し集落を形成しました。こうして、自らの
出身地を地名とした例が、道内各地で見られるようになったわけです。

他県地名の事例

他県名からつけた地名の代表例はなんといっても「北広島市」でしょう。
その名の通り、1884年に広島県からやってきた入植者たち(25戸103人)によ
り開拓されました。1996年に広島町を市制するにあたり、本家の広島と区
別するために北広島市と名前が変わっています。

自治体名が道外の地名にちなむのは、他に「新十津川町」があります。
奈良県十津川村で大水害の災害を受けた600戸2489人が新天地を求めて、
北海道移住を決断しました。

その他の他県地名は他にもあります。以下にその数例をあげますが、中
には本家の自治体と姉妹都市・友好都市提携を結んでいるところもあり、
歴史のつながりを感じさせます。

・その他の他県地名がある主な市町村
岐阜(岐阜県にちなむ)……北見市常呂(ところ)、岩見沢市栗沢
愛知(愛知県にちなむ)……檜山管内久遠郡せたな町(北檜山区)
徳島(徳島県にちなむ)……檜山管内久遠郡せたな町(北檜山区)
鳥取(鳥取県にちなむ)……釧路市
山口(山口県にちなむ)……札幌市手稲区(手稲山口)
福井(福井県にちなむ)……札幌市西区、後志管内ニセコ町
熊本(熊本県にちなむ)……空知管内由仁町(ゆに)
栃木(栃木県にちなむ)……網走管内佐呂間町(さろま)
山梨(山梨県にちなむ)……後志管内倶知安町(くっちゃん)、赤井川村、胆振管内豊浦町
香川(香川県にちなむ)……室蘭市(むろらん)、胆振管内洞爺湖町
福島(福島県にちなむ)……後志管内喜茂別町(きもべつ)、網走管内湧別町(ゆうべつ)
宮城(宮城県にちなむ)……伊達市大滝区
岩手(岩手県にちなむ)……宗谷管内中頓別町(なかとんべつ)
山形(山形県にちなむ)……美唄市西美唄町(びばい)、空知管内由仁町
秋田(秋田県にちなむ)……宗谷管内中頓別町、網走管内置戸町(おけと)
土佐(高知県土佐市)……・北見市常呂

「○○団体」という地名の謎……

石狩市厚田区に「兵庫県団体」という地名があります。前述の通り、開
拓のためにやってきた人たちはたいてい集団で入植することが多かったの
です(団結移住)。その際の集団名を「○○県団体」と呼んでいました。そ
れで地名までも、団体名がそのまま使われるようになりました。

○○団体という地名はあまり例がないのですが、空知管内長沼町には、
「加賀団体」という地名が登場します。加賀とは、石川県の都市ですが、
加賀団体が道内各地(赤平・倶知安・石狩・八雲など)に入植しました。
開拓時代にちなむこんな面白い地名もあるのです。