道内唯一!「森町」はなぜ「もりまち」と読むのか?

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 市町村の中で「市」は「し」と読みますが、町村については、「まち」または「ちょう」、「むら」または「そん」と、自治体によって読み方が異なります。道内では「村」はすべて「むら」。「町」は原則「ちょう」ですが、道内で唯一、道南の森町が「もりまち」と読みます。なぜそうなったのでしょうか。

 全国的にみると、「町」を「ちょう」と読むことが多いのは中部・西日本、「まち」と読むことが多いのは東日本です。「村」については、「むら」と読むことが多いのは東日本~中部、「そん」と読むことがあるのは西日本ということになります。

 道内では、原則として「町」は「ちょう」、「村」は「むら」と読みます。村についてはすべて「むら」ですが、「町」は1つの町を除いてすべて「ちょう」と読みます。しかし、「森町」だけは「もりまち」と読んでいます。どうしてそう読むことになったのでしょうか。

 この件について森町に聞いてみると、1987年に町内で話題になったことがあり、関係機関などに調査を依頼したことがありました。しかし、当時、由来について示した確たる証拠は見いだせなかったようです。

 こうした状況であることから、町、町史編集者や森高校国語教諭等が協議し、以下の点を根拠に「もりまち」が正式な呼称であることを確認しました。

  • 北海道総務部監修の北海道市町村行政区画便覧で「まち」となっている
  • 地方自治法は慣習で名称を決める(従来の名称による)
  • 1938年8月23日付の電報に「まち」と表示されている

 問題となった1987年以前は、町民だけでなく、町幹部さえも「もりちょう」「もりまち」と混用していたわけです。町教育委員会が編集した小学生用の社会科副読本では「もりちょう」とふりがながふられていました。しかし、この時の確認により「もりまち」が正式な呼称として統一されたことになります。

 このことは、森町広報誌「広報もり」同年6月号で町民に知らされたほか、6月5日付の北海道新聞(夕刊)でも報じられました。ただし、町長、町民などの読み方は「ちょうちょう」「ちょうみん」で読み、市町村名の「森町」において「もりまち」と読んでいます。

 結局由来は分からないままではありますが、森町は「もりまち」ですので、読み方に注意しましょう。