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なぜガラナは北海道だけで人気なのか?「打倒コーラ」の歴史に迫る

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Written by 編集部

なぜガラナは北海道だけで人気なのか?「打倒コーラ」の歴史に迫る

前頁では、そもそもガラナって何のか、そしてガラナ飲料はそれとどんな関係があるのか?についてとりあげました。北海道限定として北海道で根強い人気を誇るガラナ飲料は、なぜ「北海道限定」なのでしょうか。1950年代後半、全国の清涼飲料メーカーの「打倒!コーラ」という取り組みが関係していました。

コーラに対抗すべくガラナを作ろう!

国内には海外のガラナ飲料の製品が早くも1920年代半ばには入り込んでいたことがわかっています。その後国産のガラナエキスを使った飲料が発売され、高級ドリンクとして扱われていました。

戦後の1950年代、世界を席巻してきたアメリカ発のコカ・コーラが、数年後には日本にも本格的に上陸すると言われていました。1950年代当時の飲料メーカーは、ラムネやサイダーの生産が中心(9割)で、コカ・コーラが上陸し広まることへの危機感を募らせていました。そこで、全国の中小清涼飲料メーカーが結束して、対抗できるドリンクを開発しようということになったのです。

参考にしたのは、ブラジルではコーラが苦戦しているという情報。ガラナが普及しているブラジルではコカ・コーラが上陸してもなかなか売れ行きが良くなかったそうです。そこに目を付けた全国清涼飲料協同組合連合会は、在ブラジルの大使館に協力を仰ぎ、原料を輸入。統一した製法で、日本独自の統一ブランド(商標)で元祖ガラナ「コアップガラナ」を生み出しました。アルファベットでは「CO-UP」、「Co-operation(協同)」と「up」を組み合わせた造語です。

コアップガラナ開発に当たっては、日本人に合わせ、ブラジルのガラナより甘みを強くし、京都の舞妓の立ち姿をイメージした瓶に入れることに(当時のコカ・コーラは西洋女性をイメージした瓶だったので外観も対抗)。一般的なサイダーの値段より少し高めの1本45円以上(北海道は60円以上)とし、1960年4月に販売を開始しました。

翌年6月には日本コアップ・ガラナ株式会社が設立。当初は全国各地で製造されており、ピーク時には全国約70社が製造していたとされています。現在は日本コアップ株式会社がコアップガラナの商標を管理しています。

なぜガラナは北海道だけで人気なのか?「打倒コーラ」の歴史に迫る

なぜ北海道ではガラナが広く浸透した?

ここで一つ疑問が生じます。全国各地で製造・販売されていながら、なぜ北海道に残ったのか、という疑問です。

1960年に統一ガラナブランド「コアップガラナ」が発売される前までは、コカ・コーラの輸入は一部制限されていましたが、1961年10月に輸入自由化を受け、コカ・コーラが本格上陸するようになりました。ガラナ飲料は最初の5年で年間2000万本を販売するまでになったものの、コーラが飛躍的に国内シェアを伸ばしはじめ、コーラより先に発売したはずのガラナ飲料も徐々に苦戦するようになっていきました。その結果、生産する会社も徐々に減っていきました。

このように全国的に苦戦するガラナ飲料でしたが、北海道だけは別でした。1960年当時、本州と異なって、北海道ではまだコーラが販売(上陸)されておらず、北海道にコーラが上陸するまで3年かかりました。また、寒さのある北海道では甘さの強いものが受け入れられる傾向もあります。

諸説あるとはいえ、こうした背景もあってか、道内におけるガラナ飲料の勢力拡大は順調に進み、北海道限定飲料として北海道で広く浸透するようになりました。道内では道南の小原が勢力を拡大しましたが、ほかにも各地に製造工場があったそう。

なぜガラナは北海道だけで人気なのか?「打倒コーラ」の歴史に迫る 例えば、オホーツク管内湧別町中湧別の株式会社小池商店はかつて、きれいな地下水を利用して清涼飲料を製造していましたが、その一つとして「アサヒスーパーガラナ」を製造していました。建て替えのため工場もなくなり、当時を知る担当者も亡くなってしまいましたが、この写真にある袋が、かつて湧別産ガラナがあったことを教えてくれています。湧別町小池商店についてはこちらを参照。

こうして、コアップガラナの「打倒!コーラ」の戦略は、北海道でのみ実を結びました。現在はこれほどガラナが販売されているにもかかわらず、広告宣伝はほとんど見られません。それでも売れ続ける、ここに、北海道民の根強いガラナ愛を感じます。

では、ガラナ飲料にはどんな種類があるのでしょうか。各社によって味わいにどんな違いがあるのでしょうか。次の記事では、代表的なガラナ飲料を飲み比べてみました。

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