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あの老舗すき焼き店も認める味!もはや脇役とは言わせない絶品白滝

佐々木康弘
Written by 佐々木康弘

白滝といえばすき焼きなどに欠かせない食材ですが、かなりの脇役であることは否めません。実際に白滝についてのイメージを数人に尋ねてみたところ、「入れないと見た目的に寂しいから入れるけど、別になくてもいい」「おいしいと思ったことがない」「なるべく自分の器に入らないようにする」「ぶよぶよした食感と独特のにおいが苦手」など、さんざんな答えが返ってきました。

ですが函館には、そんなネガティブなイメージを覆す白滝が存在します。あの老舗すき焼き店「阿佐利」でも使われており、日本全国の優れた食品を知り尽くした商社マンをも驚嘆させたというその白滝の製造元を訪ねました。

おいしさの秘密は「昔ながらの製法」

絶品白滝を製造しているのは、函館市内の住宅街にある「有限会社ツチヤ」。玄関を開けてすぐの1畳ほどのスペースに商品が並び、そのすぐ奥が工場になっています。さっそく、白滝の製造工程を見学させてもらうことにしました。

あの老舗すき焼き店も認める味!もはや脇役とは言わせない絶品白滝
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ツチヤの白滝は、機械から細く押し出したこんにゃく原料をお湯の中でかき混ぜて固めるという製法を採っています。機械から少し押し出してはいったん止めて棒でかき混ぜ、白滝が固まったらお湯から引き上げて何度も水洗いし、再び機械を動かしてお湯の中で固めるという作業の繰り返し。非常に手間と時間を要するので、1日に製造できる量は180g入りのパック700袋ほどに留まります。

▼こんにゃく原料を機械に流し込み、シャワーのように細く押し出す
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ちなみに市販されている一般的な白滝は、こんにゃく原料に凝固剤の水酸化カルシウムを加えてから細く押し出して成形します。いったん機械を動かせば勝手に固まるので、大量生産に向いています。

なぜツチヤはこんな手間のかかる製法で白滝を作るのでしょうか。16歳でこの業界に入ってから58年間こんにゃくを作り続けているというベテラン職人であり、同社社長を務める土谷泰造さんは、「昔からそうしてきたから」と事もなげに語ります。

▼お湯の中で何度もかき混ぜながら固まるのを待つ
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▼固まった白滝をお湯から引き上げ、何度も水で洗う
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長年別のメーカーに勤め、この製法で白滝づくりを続けてきた土谷さん。15年ほど前に独立して有限会社ツチヤを立ち上げましたが、その後もおいしい白滝づくりにこだわり、昔ながらの製法を守り続けています。大半のメーカーは採算性や効率性などの面から大量生産に舵を切ったため、気付けば昔ながらの製法を続けているメーカーは国内でも珍しくなったといいます。

「これどこの白滝?」と尋ねずにいられないおいしさ

あの老舗すき焼き店も認める味!もはや脇役とは言わせない絶品白滝

土谷さんが昔ながらの製法で作った白滝は一般的な白滝に比べるとかなり細く、春雨に近い細さ。それなのにサクッとした歯ごたえがあり、ほかの白滝とはまったくの別モノ。何度も丁寧に水洗いしているので、こんにゃく製品特有のにおいもありません。独自の製法で表面に凹凸を作ることで味が染みるのも早くなり、火を通してもしこしことした独自の食感が保たれます。

▼一般的な白滝(左)よりもかなり細いが、しっかりとした食感がある
あの老舗すき焼き店も認める味!もはや脇役とは言わせない絶品白滝

すき焼きにこの白滝を使うと、あまりのおいしさに肉よりも先に白滝がなくなってしまい、白滝のお替わりが必要になるというウソのような本当の話も。冒頭で触れたとおり、数々のガイドブックやテレビ番組にも取り上げられている函館の老舗すき焼き店「阿佐利」もツチヤの白滝を使っています。

阿佐利ですき焼きを食べて白滝のおいしさに驚き、それ以来ツチヤの白滝を買い求めるようになったという人も少なくないとか。たまたま阿佐利ですき焼きを食べた商社マンが「ぜひ取引したい」と連絡をくれたこともありました。今ではその商社を通して、関西を中心に複数の有名百貨店の店頭にツチヤの白滝が並ぶようになりました。

▼すき焼きに入れると抜群のおいしさ(写真はイメージ)
あの老舗すき焼き店も認める味!もはや脇役とは言わせない絶品白滝

「すき焼きや鍋物だけでなく、炒めて食べるのもおいしいですよ」とお勧めしてくれたのは、土谷さんの娘で専務の佐々木美和さん。野菜と肉を炒めてから水を切った白滝を加え、調味料で味を整えるだけで立派なおかずに。焼きビーフンよりも食感が良く、食べごたえと満足感があるのにカロリーが少ない、良いことづくめのメニューです。イタリアで人気だという白滝パスタ(ゼンパスタ)も、ツチヤの白滝なら飽きずに食べられそう。「まずいけどダイエットのために我慢して食べる」のではなく、おいしく食べてダイエットできるという点でも優れた食材と言えそうです。賞味期限も長いので、まとめ買いして常備しておけるのもうれしいところです。

▼水を切り、肉や野菜と炒めるだけでも十分なおかずに
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函館では工場併設店舗のほか、すき焼きの阿佐利を経営する阿佐利精肉店とコープさっぽろの一部店舗などで取り扱っており、札幌でも大丸札幌店や宮の森のフーズバラエティすぎはら(杉原商店)で買うことができます。

有限会社ツチヤ
所在地:函館市花園町25-6
営業時間:9:00~18:00
定休日:日曜日
TEL:0138-31-6668

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筆者について

佐々木康弘

佐々木康弘

札幌市北区新琴似出身。30歳で函館に移住してからふとしたきっかけでライターの道へ進み、旅行情報誌やネット媒体などを中心に年間70万字以上を執筆。道南地域で毎年100本以上のイベントに足を運ぶイベントウオッチャーとしても活動。【Sクラス認定ライター】