トピックス

ヒグマと間違わないで! 山奥に捨てられたクロちゃん、地元で愛され3年目

編集部
Written by 編集部

ヒグマと間違わないで! 山奥に捨てられたクロちゃん、地元で愛され3年目 【夕張市】 ダム建設が進む大夕張地区の人里離れた山奥で、野生化した一匹のイヌが地元の人のあたたかい世話を受け、話題を集めている。その名は「クロちゃん」。黒い体をした大きな犬で、それゆえかよくヒグマに間違えられて発砲を受けたこともあるという。そんなクロちゃんをハンターの手から守ろうと、地元出身の有志を中心としたグループが「ヒグマと間違わないで!」と呼びかけている。

出会い、そして広がる輪

クロちゃんと名付けられたその犬は、ふさふさした体毛は黒で大柄。ラブラドールレトリバーとマウンテンドッグの混血のようで、推定2歳とされる。

関係者によれば、クロちゃんと地元の人との出会いは2011年12月に遡る。新しく付け替えられた国道452号線沿いに捨てられているのを、シューパロダム工事関係者が見つけ、弁当の残り物やパンや惣菜などをわざわざ買い求めて与えたのが始まりという。その後、2012年4月に付近を通りかかった人が黒くて大きな犬がいるとブログで発信、大夕張を愛する有志グループ「大夕張ラヴァーズ」の目にとまり、出身者らの間で話題となった。

ヒグマと間違わないで! 山奥に捨てられたクロちゃん、地元で愛され3年目 中心的にまた献身的に給餌を行ってきたのは、地元南部町在住の主婦・安友さん。雪の降る冬季でも雪山を物ともせず、日々クロちゃんの姿が現れる道路付近で待ち構えては、大夕張ラヴァーズ提供のものや自分で購入した餌を与え続けてきた。そんなクロちゃんへの愛情に心を打たれた佐々木さんも、富良野市在住ではあるが週末に限って大夕張へ通い給餌を始めた。

『可哀想なのと、あまりにも神々しくて、涙がこぼれた』と佐々木さんが語るように、周囲に民家が一軒もない土地で"ひとり"力強く生きるクロちゃんの姿に感動し、何もせずにはいられなかったと話すメンバーは多い。現在の給餌活動は基本的に安友さんで、週末は佐々木さん、協力者に南清水在住者の平村さんがいるといい、それを大夕張ラヴァーズのメンバーが全面的にサポートしている。

▼ドッグフードや犬用缶詰、肉屋から購入した豚骨や脂身、ゆで肉など健康的で良質なものを与えられているクロちゃん
ヒグマと間違わないで! 山奥に捨てられたクロちゃん、地元で愛され3年目

保護の動き

そもそもなぜ人里離れた山奥にクロちゃんが生活しているのだろうか。発見されたのが12月でエゾシカ猟期と符合する時期であることから、関係者の間では、飼い主が猟が終わった時に放棄したか、猟の途中でクロちゃんが不明になり置き去りになったのではないかと推測する。一時は夕張保健所が捕獲しようとしたが、もともと警戒心が強いこともあり失敗に終わっている。

一方で、見た目が黒くて大きいことから大変な目に遭ったこともしばしば。2013年3月、安友さんが給餌中、通りかかったハンターにヒグマと間違えられ発砲されたことがあるのだ。当人は『クロちゃんがヒグマに見えた』と話したと言うが、こうした最悪の事態を回避するためにも「大夕張ラヴァーズ」では猟期間中に注意を促すPOPを作成、近隣の商業施設やダム工事関係者の事務所などに配布して、通りかかる観光客やドライバーへの周知活動を行っている。

ヒグマと間違わないで! 山奥に捨てられたクロちゃん、地元で愛され3年目 大夕張ラヴァーズの三浦さんは『運が良ければ飼い主が見てくれればと一縷(いちる)の可能性にも掛けている。どれだけの人の目に触れるかは未知数だが、クロちゃんがこの大夕張の地に生きてる限りは希望を持ち続け、出来る行動を続けていきたい』と話している。関係者の間では、そろそろ安全なところで暮らすようにさせたいという思いもある。

飼い主に捨てられる経験をしたものの、地元の人たちのあたたかい支援を受けて山の中で生きるクロちゃんは、今年で3シーズン目の厳しい冬を迎える。大夕張の国道沿いで見かけた際は是非あたたかい目で見守っていただきたい。

▼飼い主になってくださる方は連絡をくださいと呼びかける里親の安友さん
▼除雪業者がクロちゃんのために坂に階段を作ってくれることも。地域のみんなに愛されている
ヒグマと間違わないで! 山奥に捨てられたクロちゃん、地元で愛され3年目 ヒグマと間違わないで! 山奥に捨てられたクロちゃん、地元で愛され3年目

※画像提供:大夕張ラヴァーズ

筆者について

編集部

編集部

北海道ファンマガジン編集部。編集部スタッフが取材執筆した記事や、名前を出さないライターの記事、寄稿記事の掲載の際にもこのアカウントが使われます。