札幌駅西口に突如設置された弓矢を持つ木彫りの男性像は一体なに?

【札幌市】 JR札幌駅西コンコースに突如、リアルな人物を模した木彫り像が設置された。札幌駅西改札口を出ると、台座の上に髭を生やした男性の姿が目に飛び込んでくる。手に弓を持ち、口元には弓矢をはさんでいるかのように見える。人通りの多い道内一の鉄道駅に設置されているのだから、当然のごとく設置後早速注目を浴びている。見たことがあると言う人も多いのでは?これは果たして何なのだろうか?

ウレシパモシリ北海道イランカラプテ像


この像が設置され、伝統儀式カムイノミを含む設置セレモニーが開催されたのは2014年2月2日10:00。設置した一般社団法人札幌大学ウレシパクラブによると、アイヌアートモニュメント「ウレシパモシリ北海道イランカラプテ像」と命名。「育てあう大地(=ウレシパモシリ)」、そして「こんにちは(=イランカラプテ=アイヌ語のやや丁寧な挨拶)」に基づき、平和と共生の願いが込められているという。2013年にはじまった、北海道のおもてなしの合言葉として広める「イランカラプテ・キャンペーン」の一環として、同年に企画されていた。

7人の道内在住の工芸家が制作

中央の台座に立つひときわ目を引く男性像は、伝統衣装を身にまとい、弓矢を持って弓の舞(=クリムセ)を踊り祈るアイヌ民族の長老(=エカシ)を忠実に表現した「エカシ像」。楠製で、高さは約1.6m、台座を含めると約2.5mにもなる。この像を、釧路市阿寒在住の有名工芸家・藤戸竹喜さんが2013年夏から制作を担当した。



このメインモニュメントが特に目立ってはいるが、それだけではない。エカシ像を囲むように細長い木製祭具である捧酒箸(=イクパスイ)も6本設置されている。6という数字にも意味があり、アイヌ文化では「たくさん」を意味する。これら6本のイクパスイは、同じく釧路市阿寒の瀧口政満さん、津別町の藤戸幸夫さん、平取町二風谷の貝澤貢男さん、貝澤徹さん、貝澤幸司さん、貝澤守さんの計6人の工芸家に依頼した。

設置に当たってはJR北海道の協力を得、また、ウレシパクラブ会員の企業・個人、一般企業や個人から寄付を集めて費用を賄った。制作後は木にひびが入る部分も見られるようで、その旨 表記もされている。

設置後、札幌駅西コンコースを通る人々の中には立ち止まって見上げる人の姿も。「やばい、何これ!」と言いながら写真を撮る若い女性も見られた。札幌駅に行く際は見つけてみてはいかが。