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くるみ餅で有名な美唄の老舗「長栄堂菓子店」が100年の歴史に幕

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大正時代から続く美唄市の老舗菓子店「長栄堂(ちょうえいどう)」が、後継者不足のため2017年1月末をもって閉店します。看板商品の「くるみ餅」や「べかんべ最中」が食べられなくなると、閉店を知った市民が連日同店を訪れています。

創業は大正時代初期、一世紀以上の歴史を持つ老舗

くるみ餅で有名な美唄の老舗「長栄堂菓子店」が100年の歴史に幕

長栄堂は、美唄市がまだ沼貝村だった1913年(大正2年)10月1日に創業しました。創業者の初代長岡正次郎氏は、旭川で修行して美唄入り。美唄で初となる本格生菓子を製造販売し、とりわけ定評のあった最中は炭鉱で賑わう美唄市民に広く親しまれるようになりました。

同店の二大銘菓といえる菓子は「くるみ餅」と「べかんべ最中」で、看板にもこの二つが列記されています。

美唄産クルミを使った「くるみ餅」

くるみ餅で有名な美唄の老舗「長栄堂菓子店」が100年の歴史に幕

実は美唄市は、ピーク時には全国一の生産量を誇ったクルミの名産地。1969~1972年にかけて、美唄市が水稲農家の副業を目的として東明地区開拓パイロット事業を開始し、20軒以上の農家がクルミ団地を形成してクルミを生産しました。

その美唄産クルミを使って1975年に発売したのが「くるみ餅」。クルミの香ばしい風味と、中に入っているクルミの食感が同時に楽しめるやわらかい餅です。材料となるクルミは、今や道内唯一になってしまった市内のクルミ農家から殻付きで仕入れています。店内にはかごに入ったクルミが置かれており、同店とクルミの結びつきの強さを物語っています。

この「くるみ餅」は、2003年7月に美唄に立ち寄った天皇皇后両陛下に献上したことで一気に知名度が上がりました。ただ、原材料のクルミの数も限られており、製造も数限りあるため、早めに売り切れることもしばしばです。

▼くるみがたっぷりとのった「美唄くるみ餅」も くるみ餅で有名な美唄の老舗「長栄堂菓子店」が100年の歴史に幕

美唄産ヒシの実をあんと混ぜた「べかんべ最中」

もう一つの人気菓子が美唄市章とひしの実をデザインした「べかんべ最中」。二代目長岡外喜夫氏が考案し1955年に発売した最中で、60年以上の歴史を持ちます。

くるみ餅で有名な美唄の老舗「長栄堂菓子店」が100年の歴史に幕

本来は、美唄市内の沼に自生するヒシの実(アイヌ語で「ベカンベ」)を採ってきて蒸してからあんに混ぜて作りますが、収穫量が減った今ではクリを代用しているといいます。

2014年10月には100周年を記念したパイ生地の洋菓子「美唄川」を発売しました。商品名の由来は、1886年に初めて美唄に移住した福島磯次郎氏(富山出身)が、上川仮道路が開通したのに伴って渡し守を開業した川の名前。

地元を大切にする姿勢は、初代正次郎氏から、三代目長岡正勝さんに至るまで変わっていないようです。閉店前に一度、歴史ある美唄銘菓を味わってみては。

参考文献:美唄市史

長栄堂菓子店
所在地:美唄市大通東1条南1丁目
TEL:0126-63-2011
営業時間:9:00~19:00

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