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大豆日本一の長沼町に新名物!温泉水を利用した「源泉豆腐」とは?

石簾マサ
Written by 石簾マサ

夕張郡長沼町にある「ながぬま温泉」は、温泉大国北海道でトップクラスの湧出量を誇る温泉です。泉質は、含ヨウ素-ナトリウム-塩化物強塩温泉で、塩分濃度が高く湯冷めしづらい温泉としても有名です。

その「ながぬま温泉」で、この4月から豆腐の販売がはじまります。なんでも温泉水を利用した豆腐なのだとか。なぜ豆腐を作ることにしたのか、なぜ温泉水を利用しようと思ったのか、気になるあれこれを聞いてきました。

▼新しい豆腐の販売をはじめる「ながぬま温泉」。この向かいにあるとうふ工房に、豆腐の製造場と販売所が併設されている
大豆日本一の長沼町に新名物!温泉水を利用した「源泉豆腐」とは?

実は必然だった長沼町の豆腐作り

北海道など雪が降る地方では、冬期に営業できなくなる仕事がいくつかあります。当然問題になるのが雇用について。もちろん、長沼町でも同じ問題に悩まされていました。そこで、通年でできる事業がないかと模索しました。

思いついたのが大豆です。長沼町は大豆の生産量が日本一なので、大豆を利用した事業で行こうというのは自然の流れでした。そこで、豆腐はどうだろうかという意見がでました。なんと、それまで大豆日本一の生産量を誇りながら、豆腐屋さんがまったくないことに気づいたのです。

▼長沼町産の大豆
大豆日本一の長沼町に新名物!温泉水を利用した「源泉豆腐」とは?

豆腐なら冬場の雇用も生まれるし、農産物がなくなる冬場の特産品にもなり、町の活性化にも役立ち、一石二鳥どころか三鳥、四鳥にもなるというわけです。さらには湧出量が豊富で塩分濃度も高い温泉が、豆腐作りに適しているかもしれないということがわかりました。

そこからが試行錯誤の繰り返しでした。温泉水からにがりを作る予定でしたが、長沼の温泉水には凝固を阻害するナトリウムが多すぎることがわかりました。そこで、隠し味として温泉水を入れてみてはどうかという意見がでました。ナトリウムの多い温泉水ですから、すいかに塩をかけたような甘味を感じられる状態になるのでは、と考えたのです。

その考えは間違っていませんでした。温泉水を豆腐に入れると甘さが出ることがわかりました。しかし、温泉水を入れ過ぎると豆腐が固まらないし、少なすぎると甘さが出ません。温泉水の量やにがりなどを調整しながら100以上の試作品を作り、半年以上の期間をかけようやく豆腐が完成しました。

▼「ながぬま温泉」の向かいにある源泉豆腐工場
大豆日本一の長沼町に新名物!温泉水を利用した「源泉豆腐」とは?
大豆日本一の長沼町に新名物!温泉水を利用した「源泉豆腐」とは?

▼完成した「源泉寄せ豆腐」
大豆日本一の長沼町に新名物!温泉水を利用した「源泉豆腐」とは?

完成した豆腐は「源泉豆腐」と命名されました。この源泉豆腐ですが、作るときに温泉水を入れること以外にもこだわっているところがあります。

通常の豆腐作りでは、豆腐ができあがったらすぐに水に入れて冷やしますが、源泉豆腐はできあがったそのままをパックに入れてから冷やします。そのため、健康や美容によいとされる大豆ホエー(豆腐ホエー)が捨てられることなくパックに入っているのです。こうした行程が実現可能なのも、すべて手作りで作っているからだと教えていただきました。

▼源泉豆腐
大豆日本一の長沼町に新名物!温泉水を利用した「源泉豆腐」とは?

販売される源泉豆腐は「寄せ豆腐」、「木綿豆腐」、「絹豆腐」の3種類で、価格はすべて250円(税別)です。また、「手揚げ」という名前の揚げも250円(税別)で販売されます。「手揚げ」は、油揚げ用に作った豆腐を低温と高温の二度揚げを手作業でしたものです。厚揚げは、木綿豆腐を高温で手揚げしたものです。

▼手揚げ
大豆日本一の長沼町に新名物!温泉水を利用した「源泉豆腐」とは?

「月島と言えばもんじゃ焼き、長沼と言ったら豆腐だよね」

お話をお伺いしたながぬま温泉総支配人の栗原克行さんに、源泉豆腐の今後の展開について教えていただきました。

「夏には豆乳を利用したソフトクリームの販売を考えています。また、豆腐の試作時に家庭用のミキサーを使うことで少量から作るノウハウもできたので、手作り体験などのイベントも検討しています。家庭でもかんたんに豆腐を作れるように、広めていきたいですね」(栗原さん)

源泉豆腐を食べてみたい方は、ながぬま温泉の販売所と道の駅マオイの丘公園で4月以降購入することができます。また、ながぬま温泉とマオイの丘公園のレストラン、ながぬま温泉の宿泊客に創作料理として提供される予定です。

▼道の駅マオイの丘公園でも源泉豆腐の販売を開始する
大豆日本一の長沼町に新名物!温泉水を利用した「源泉豆腐」とは?

さらに、将来へのビジョンについてもお伺いすると、「長沼町にある外食店で、この豆腐を使った料理がメニューになればなと思います。ただ、この源泉豆腐を長沼町から外に広げていくつもりはないんです。月島と言ったらもんじゃ焼き、と言われるように、長沼と言ったら豆腐だよねと言われるようになってほしいと思っています」との答えが返ってきました。

源泉豆腐を実際に食べてみると口当たりが滑らかで、大豆本来の甘みと旨みが感じられました。豆腐そのものに説得力があり、栗原さんの言葉がきっと近い将来実現するのではないかと思わせてくれるものでした。長沼を訪れた際には、いちど食べてみてはいかがでしょうか。

ながぬま温泉
所在地:北海道夕張郡長沼町東6線北4番地
電話:0123-88-2408

道の駅マオイの丘公園
所在地:北海道夕張郡長沼町東10線南7番地
電話:0123-84-2120

筆者について

石簾マサ

石簾マサ

すべてのしがらみを捨て札幌で永住するぞ……と移住してきた50代のおっさんライター。札幌楽し~い。移住者が見た札幌の楽しさ・良さを伝えていければ……と思っております。【編集部専属ライター】