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北海道の端午の節句といえば「ベこ餅」!! そもそもべこ餅って何?

編集部
Written by 編集部

北海道の端午の節句といえば「ベこ餅」!! そもそもべこ餅って何?

5月の端午の節句が近付くと北海道内では「べこ餅」がよく売り出されます。北海道では、柏餅よりべこ餅なのです。道民の皆さんは小さい頃よく食べた記憶があるのではないでしょうか。べこ餅とは、主に木の葉の形をしたツートンカラーの餅で、道南を中心に道内各地で様々な色・形のべこ餅が作られています。古くから北海道で親しまれてきたべこ餅、そのルーツはどこにあるのでしょうか。今回は、べこ餅とは何なのか、どこから来たのか、特集します。

バリエーション豊富なべこ餅、基本は木の葉形

茶と白など二色マーブルで木の葉型が特徴のべこ餅(上ノ国ではカタコモチ)は、道民にとっておなじみの餅。古くから家庭で作られてきました。べこ餅は、米粉と砂糖を使ったもちもち・やわらかい生地で、時には餡子を入れているものにも出会います。表面に葉脈の模様を付けており、長さ5cm前後、厚さ1cm程度のサイズが多く、裏側にササの葉を付けていることも。おやつとしても子供たちに大変喜ばれてきました。

▼木の葉型、ツートンカラーは典型的なべこ餅のタイプ
北海道の端午の節句といえば「ベこ餅」!! そもそもべこ餅って何?

とはいえ、北海道内で作られるべこ餅は木の葉形に限りません。例えば、すあまのような渦巻型の餅(クジラモチとも呼ぶ)もあれば、団子状にしたものまで様々です。色も、黒と白、茶と白、緑と白の二色が混じっているもののほか、一色のみという例もあります。黒や茶は黒糖、緑色はよもぎ入りです。二色の場合、木の葉の左右や上下で色を分ける例、ランダムに混ぜたり、マーブル状に混ぜる例が見られ、家庭によって、製菓店によって、バリエーションは様々です。

北海道文教大学人間科学部健康栄養学科は2011年、北海道内の55店舗・80種類以上のべこ餅を比較した調査を実施しました。それによると、サイズは最大で8.5cm程、厚さは最大2cm程のものがあったそう。木の葉型のものは7割を超え、木の葉型であっても木型を使ったものが6割以上、手で形作るものが3割以上、また、黒一色は3割以上、二色が6割以上、わずかに三色以上のものがあったと報告しています。

木の葉型かどうか:木の葉型71.8%、それ以外28.2%
木の葉型を木型で作っているかどうか:木型63.5%、手製36.5%
二色かどうか:黒糖一色31.0%、黒糖と白色の混在64.3%
※北海道文教大学調べ

▼単色で餡子入りのべこ餅(松前町)
北海道の端午の節句といえば「ベこ餅」!! そもそもべこ餅って何?

べこ餅はどこから来たのか?クジラモチにヒントあり?

では、なぜ北海道、特に道南から道央でべこ餅が作られ食べられてきたのでしょうか。前述の調査では、道南、特に松前町・江差町・上ノ国町といった道内でも歴史ある3町で、べこ餅と似たカタコモチ、クジラモチが共存すること、青森県でも形は異なるもののべこ餅という名のものがあることに着目しています。

これら3種類は材料は同じで製法もほぼ同じ。すあまのように渦巻型でかまぼこ状にカットして作るクジラモチは、日本海沿岸で古くから見られるもので、江戸時代から明治時代まで北前船で東北や道南に伝えられ、または、青森・下北半島でべこ餅となって道南に伝えられ、木の葉型にアレンジされたり、城下町だった松前では餡子入り(あんべこ)にアレンジされた、と考えられています。

これはべこ餅に限った事ではありませんが、老舗製菓店の創業者が東北や北陸地方の出身で、移住先の北海道で、クジラモチの製法や木型を使うことなど郷土の文化を引き継いだとも考えられます。しかし、ルーツについては複数の説があり、はっきりしたことはわかっていません。

そして、端午の節句で主に作られてきたべこ餅ですが、松前や江差周辺では冠婚葬祭、小正月、お供えでも用いられていたと言い、年中食べられていたものであることも分かっています。

なんで「べこ餅」っていうの?

なぜ「べこ餅」と呼ばれるようになったのか、についても様々な説があります。白と黒の二色の模様が牛の柄に似ているという説もありますが、べこ餅が広まった当時ホルスタイン種(1890年以降導入)は北海道に登場していなかったことから、それ以前の茶色の牛の種の色に黒糖の茶色が似ていたことから付けられた、生地をカットする前の姿が牛の背中に似ているから、とする説などが有力視されています。

べこ餅ルーツのまとめ
・日本海沿岸の北陸地方からクジラモチの文化が北前船や移住者によって伝承
・クジラモチとは渦巻状のかまぼこ型をカットするもので道南にも一部存在
・青森県下北半島にもべこ餅があるが形は木の葉型ではない
・木の葉型のべこ餅は北海道オンリーで、北海道独自に進化したものである
・べこ餅とは牛の色に似ていることからつけられたとも考えられる
・一色が特徴の上ノ国町ではべこ餅ではなくカタコモチと呼ぶ
・城下町・松前町ではあんべこという餡子入りも広まった

謎は多いものの、餅そのものが木の葉型をしているのは北海道内だけ。この、北海道で独自に進化したべこ餅をこれからも大切にしていきたいものです。次の記事では、道南(函館近郊や松前)でオススメしたい主なべこ餅をご紹介していきます。

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