スギ花粉が少ないって本当?北海道特有の花粉・花粉症事情

春の訪れの遅い北海道ですが、新年度も迎え、日差しのまぶしい日やぽかぽか陽気の日もあり、着実に季節が進んでいるのを実感できるようになりました。

気温の上昇とともに気になるのが、花粉です。日本では50種類以上の花粉が報告されていて、スギ花粉は本州で毎年のように話題になっています。しかし、北海道では道南の一部をのぞき、スギ花粉は非常に少ない土地とされています。本当に北海道はスギ花粉が少ないのでしょうか?

スギ花粉が本当に少ない。でもその代わり北海道特有の花粉が!

北海道がスギ花粉の少ない地域であるかどうかは、全国各地のスギ花粉飛散量を示した「全国のスギ・ヒノキ花粉データベース」から読み解くことができます。

全国のスギ・ヒノキ花粉データベース(2007~2016年の10年間平均:単位㎝2)


(出典:『平成28年度 花粉症に関する予測検討業務報告書』(環境省)より一部改変)

北海道において、スギ花粉の飛散量が少ないのは、一目瞭然。青森県以南は1000~10000cm2の間ですが、北海道の3都市は1000cm2を切っており、札幌や旭川に至っては47cm2、32cm2と極端に少ないことがわかりますね。

▼北海道では花粉飛散量が極端に少ないスギ

北海道には、道南の一部地域を除き、スギの木はほとんど自生していません。それで北上するにしたがってスギ花粉は少なくなっていきます。

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北海道はスギ花粉が少なくてラッキー! ……そう思いきや、スギ花粉は少なくても、北海道特有の花粉が存在します。それを示すのが、次のグラフです。

北海道の花粉と飛散時期

(出典:『鼻アレルギー診療ガイドライン2016』より一部改変。濃い部分は飛散量が多いことを示す)

このように北海道では、春のシラカバやハンノキ、スギから始まり、夏はイネ、秋はヨモギの花粉などが飛散しています。どの時期に症状が出るかで、大体どの植物の花粉症なのかが判断できます。

▼北海道特有のシラカバ花粉症をもたらすシラカバ

中でも北海道特有の「シラカバ花粉症」に最近では悩まされる患者さんが急増していて、突然、発症してしまうこともあるようです。

原因は、ストレスや食生活、そして都市化などがあげられます。アスファルトの舗装が増加したために、地面に落ちた花粉が再び舞い上がってしまい、いつまでも空気中を飛散してしまうのです。

花粉の飛散量は前年夏の気候次第

気になる花粉の飛散量は、その年によって多かったり、少なかったりしますが、その量は前年の夏の気候に大きく左右されます。日照時間が長く猛暑だと、雄花の成長が良く、翌春は花粉が多く飛ぶことになります。

昨年の北海道の夏は気温・日照時間はともに平年並み、降水量は多い傾向となりましたが、7月は中旬にかけて真夏日となる日が多く、道東では猛暑日もありました。

道立衛生研究所では毎年3月に花粉飛散の時期と量の予測をしています。例年の飛散だと4月中旬から徐々に始まりますが、今年は春の歩みと同様、各地で若干早まりそうで、ちょうど大型連休のあたりには全道で飛散が開始となっていそうです。飛散量は例年と比較して同程度かやや多いと予想されています。

花粉症対策をしっかりと

花粉症対策の基本は、徹底的に花粉を断つということです。外出の際はマスクをする、飛散量の多い日には、洗濯物は外干しを控えましょう。帰宅時には服を払って花粉を落とします。

そして花粉の季節がきたら、その日の天気予報にも注意しましょう。春の3K「乾燥・強風・高温」は、花粉がよく飛ぶ条件となります。特に雨上がりの天気の良い日は、たまっている花粉が一気に飛んでしまうため、飛散量が急増します。

さきほども述べましたが、花粉アレルギーは、今まで症状のなかった人でも、身体の許容の量を超えてしまい、突然発症することがあります。現時点で花粉症でない方も、飛散量が多くなる日は、気を付けておくと良さそうです。